風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

名医

2010-08-31 10:15:08 | 健康
 目じり、耳たぶが痒くて痛い。
 どこの皮膚科に受診しようか?

 友だちに相談したら、駅前のあそこがいいよ、と教えてくれた。

 彼女が、腕の湿疹が中々治らずに受診したら、先生は、ひと目、見て、「隠してもダメだ、足に水虫があるだろう」と見破ったそうである。
 たいしたもんだ、あの先生は名医だと感心していた。

 それではと、風子ばあさんも、診てもらいに行った。

 たいしたことはない……、と先生は重々しい口調で言われた。
 お薬を出しましょう、というが、病名と原因はおっしゃらない

 これはいったいどういう皮膚病でしょうか? とばあさんは訊ねた。

「なにか哀しいことはないかね」と先生。
 はっ?
「いや毎晩泣いているんじゃないのかね」
 にこりともせずにおっしゃる。

 つまり涙が刺激して、炎症をおこしているという意味のようだが、これではあまりに文学的? にすぎる診断である。

 では、耳の方は、とお訊きしたら、
「誰かが悪口言ってるんだよ」
 これもにこりとも笑わずにおっしゃった。

 どちらも同じ軟膏が処方された。
 一応軟膏で炎症はおさまっているが、はてさて彼は名医か否か。