風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

興ざめ

2019-09-23 11:10:43 | バス

 バス待ちしてたら、横で若い女性がスマホで喋っている。

ちらと見たら、なかなかの美女である。

 どうやら話の内容は社用のようで、ときどき軽くお辞儀などしている。

ふむふむ中々いい雰囲気の女性。

 失礼ながら、老婆のあつかましさで、あらためてしげしげと眺めた。

 なんと、スカートの両膝の間で、かばんを挟んでいる。

 さぞかし、大事なものなのだろうが、なにもそこで持たないでもなあ。

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あそこ

2019-09-14 12:00:34 | バス

 バスの中で。

降りようとしてタッチしたおばあさんのカードが

エラーになったらしい。

 運転手さん「どちらから乗られました?」

 どうやらおばあさんは乗車時にバスカードをタッチせずに乗ったようである。

 すっかりあわてたおばあさん「あそこです、あそこから乗りました」

 運転手さんは、もう一回、 「どちらから?」と尋ねる。 

おばあさん、 「だから、あそこ、あそこですよ」

 運転手さん、わかりました、もういいです、どうぞ。

 ええっ、大丈夫?と思ったが、

バスは始発から二停留所目だったからね。

 あそこで判ってよかったね。

 

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ムズムズ

2019-08-18 13:18:33 | バス

 バス待ちをしていた。

わたしが待つバスは5停留所前まで来ている。

アプリで確認できる。

 

 目の前に時刻表と自分のスマホを睨めっこしている女性がいる。

なかなか確認できずに何やら入力している。

わたしよりずっと若い。

 せっかくスマホを持っているのに、

アプリをダウンロードしていないようである。

 ああ、ムズムズする、時刻表アプリ便利ですよ~と言いたい。

教えてあげたい。

 でも、ここが我慢、バアサンが出しゃばるのはろくなことはない。

 まだ目的を達せられない女性はしきりに標識と手もとを見ている。

ああ、じれったい、ついに声をかけてしまった、

 どこまで行かれますか?

かくかくしかじか、このアプリが便利ですよう、云々……。

このお節介根性、多分終世直りそうにない。

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相席

2019-08-07 17:17:37 | バス

 バスにひとりで乗ってきたひとは必ず一人がけの席に座る。

ひとりがけの席が埋まっていると、二人がけの席にひとりずつ座る。

あとから乗ってきたひとは立っているか、

すでに横に座っている二人がけの椅子の片方に座ることになる。

 観察していると、このとき、とっさに選ぶのは、

男なら男のとなり、女なら女の隣の席である。

さらに言えば、老人は老人の隣を、若者は若者の隣を選んでいることに気がついた。

 多分みな無意識にそうしているのだろうが、そう思って見ていると面白い。

女は女どうしで、年齢もほぼ近いと見える相手を選ぶ。

 もっと意地悪な見方でみていたら、

どうやら小奇麗な装いどうし、あるいは庶民派どうしと

これもおそらくは無意識な選別がなされているように見受けられた。

 そうしてみると、隣の席に座る人は、

人の振り見て我が身と同じと思えばいいのだと教えられている。

 もうひとつ。男性が座っている席しかない場合、

若いハンサムな男性の横には行きにくい。オジイサンなら気安い。

これは個人的な偏見かな。

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愚痴のつづき

2019-05-16 11:03:48 | バス

  真新しいランドセルを背負った新入生がバス通学する集団と乗り合わせた。

バスは始発で、わたしのように一般の乗客もいる。

 乗り込むや、若い女性教師が、早くすわりなさ~いと号令をかけた。

チビッ子たちはにぎやかに席とりをして座った。

 可愛いわねえ、などと目を細めていた爺さんバアサンは後れをとり、

立ったままである。

 チビッ子たちはまだ幼く、立ったままでは不安定なので、先生が座れというのも

判らぬではない。

しかし、しかし、である。遠足みたいにはしゃぐ子供たちはともかくとして

先生はこれでいいのだろうか。せめて優先席だけは、お年寄りに譲りなさいとか、

オジイサンおばあさんの手荷物だけでも膝の上に預かりなさいとか

こういう場面こそ社会教育にふさわしいのではなかろうか。

 ばあさんの愚痴の種はつきない。

              

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ばあちゃんの叱言

2019-05-15 21:48:22 | バス

  ばあちゃんの愚痴や叱言(こごと)は聞き苦しいと判ってはいるが。

  バスの優先席に、制服姿の女学生などをみると、見苦しいなと思う。

自分が座りたいからではない、……(まあ、譲ってくれれば有り難く座りたいけど)

艶々とした髪をなびかせた今が人生で一番美しいはずの女学生が、こともあろうに

学校名の分かる制服を着て、ぞろぞろと優先席を占拠しているのをみると、情けない。

恥ずかしくないのか! と一喝したくなる。

 しかし百歩譲って、彼女たちはまだ世間知らずだからと許すとして、

先生は何をしているのか! 

 自分たちが座ったすぐ横で老人がよろめきながら立っているのに、

これは恥ずかしいことだとなぜ教えてやらないのか。

 たいがいの場合、こういうとき、彼女たちは徒党を組んでいる。

座っているだけでなく、わーわー、金切り声をあげて喚きあう。

 学業も大事だが、こうしたことが恥ずかしいと教えるのも

 教育者の使命だと思うがどうだろうか。

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お節介

2018-08-09 22:42:07 | バス

          

バスに乗っていたら、前の座席の男性が運転手さんに

「両替できますか」と訊いている。できません、と運転手さんはにべもない。

たまたま今日は千円札が十数枚財布に入っていた。

で、「前の方?もしもし」と後ろから声をかけた。

一万円両替できますけどと言ったら、彼は硬貨のほうの両替がしたかったという。

わたしの手持ちで細かい両替はできない。

運転手さんとはその後、次に乗ったバスで事情を話して払ってくださいと話がついたようである。

嬉しかったのは、彼が下りる時、わたしのほうを振り向き、さきほどはありがとうございました、

と言ってくれた。お役にたちませんでとわたし。

お節介なばあさんだなあと自覚しつつ、いいの、いいの、人さまが笑顔を見せてくれたのだから。

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ラスト・ストップ

2018-05-18 17:21:41 | バス

 バス待ちをしてたら、ご夫婦らしい外国人が不安そうに時刻表をみていた。

どうやら、藤崎へ行きたいらしい。幸い、藤崎行きがすぐに来たので、

表示を指差してオーケー、と教えて一緒に乗車した。

いつ降りたらいいのかと運転手に訊いても要領を得ないようである。

隣席だったので、通路越しに、「ラストストップ」と言ってみた。

通じたかなあと、心配したが、

ご亭主のほうが満面の笑みを浮かべて、ドウモアリガトウゴザイマスと言ってくれた。

ハハん、「終点」と分かったようだと嬉しかった。

 ひとつ手前で降りるとき、調子にのって

「バーイ、ネクスト フジサキ」と言ってみた。

ご夫婦で、声をそろえて ドモウアリガトウゴザイマスと言ってくれた。

日本語は 「ドウモアリガトウゴザイマス」のほか知らない様子だった。

 降りて振り返ったら、身を乗り出すようにしてバスの中から、

金髪の奥さんが手を振ってくれた。むろん、ノンも振り返した。

 カタコトでも通じたので嬉しかった。

そして、また思った。日本語でいくらでも自由に喋れるのに、

家族と、友人と、はたまた他人と、会話を楽しんでいるかなあと。

 

 

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いまどき

2012-09-13 22:30:53 | バス
          バスに乗ったら、空席があるのに高齢の男性がこちらに背を向けて立っていた。
            立ってはいるが、後ろ姿からして、どこか不自由そうな気配が漂っていた。
            
             次の停留所で、彼は降車するのに、あちこちつかまりながら移動した。
                片手はどこかにつかまっていないとよろけるらしい。

             胸のポケットからバスカードを出そうとするが、片手なのでうまくいかない。
               ずいぶんと時間がかかる。
              お手伝いしましょうか、と言おうかどうしようかと迷う。

              多少の障害があっても自立したい人もいるだろう。
            急かされずにゆっくり気長に待ってくれと思うかもしれない。

                   それにしても時間がかかった。
                 運転手さんも待ち長かったのだろう。
              
             ようやく、彼がバスカードをタッチして下りると、すぐにドアを閉めた。
                   
                   閉めたが、またすぐに開いた。
                  風子のところから降車場所は見えない。

                前方に座っていた若い女性が、すっと立ち、慌てた様子で下りていった。
                  続いて運転手さんも下りて様子を見ている気配だった。

                「うるさい! かまうな」
               呶鳴り声がして、運転手さんと若い女性が戻ってきた。

           バスが動きだした。老人が道路に倒れ横たわっているのが見えた。
               先ほどの女性がまた立ちあがった。
               もう一人の女学生も立ち上がった。
               もう一人ものびあがって振り向いた。

             「あなた、一緒に介抱してくれます? わたしも下ります」
          バスは次の停留所まで走ったが、三人の若い女性が声を掛け合いながら下りると、
                小走りになってあと戻っていった。

      いまどきの若いもんは……というが、いまどきもまんざら捨てたものではない、と風子は安堵のため息をついた。
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男の子

2012-09-03 17:19:58 | バス
            バスに乗っていたら、3歳くらいの男の子とママが乗って来た。
               車内は空席が多く、どこでも好きなところに座れる。

            男の子は、嬉しそうに運転席のすぐ後ろを選び、一人で座った。

               そのすぐ後ろにママが座った。

            バスが動き出すとすぐに、男の子は言った。
             「ママ、さびしくなあい?」

                うふふ、可愛いなあ。

             ママは、大丈夫よう、と答えた。

             10数えないうちに、また言った。
             「ママ、さびしくなあい?」
             「大丈夫よ」

              男の子には、意地がある。
       ママと一緒に二人掛けの方に座ればよかった、などとは、とても言えまい。

             「ママ、さびしくなあい?」
              だんだん涙声になってきた。

               可愛いなあ。
           
        この子もいつかヒゲが生えて、声変わりして、反抗期がきて、ヨメサン貰う。

              その時、もう一度言ってほしいなあ、
              「ママ、さびしくなあい?」

コメント (2)
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