風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

父のこと

2019-02-18 15:52:28 | 家族

 わたしの実家では、バナナは洗ってから皮をむき、卵も洗ってから割った。

それが当り前と思っていたら、大人になってから、みんなに笑われた。

 今になって、あれは父の衛生志向だったのだろうと考える。

明治生まれの父の父(私の祖父)はキリスト教の牧師兼英語教師だったと聞く。

新しい西洋思想にカブレたかと思えば、父の刺身嫌いも沢庵きらいも多少納得がいく。

 父は、ただ、キライだ! と食べなかっただけで、理屈は言わなかったけど。

いずれにしても、我が家で沢庵は厳禁、父が留守の日は、今日はお父さんがいないからと

母親がいそいそと沢庵を食卓に並べた。父は見るだけでもいやがった。

 青魚も一切食べなかった。肉もおよそ食べなかった。漬物類もダメだった。

 もっぱら卵と豆腐と芋の煮っころがしを好んで食べて、82歳まで生き、たいして患わずに逝った。


洗う

2019-02-15 11:40:04 | 家族

 生卵は洗ってから割る。それが当り前だと思っていたら、いつか友達に笑われた。

さっきバナナを食べながら子供のころを思いだした。わたしの家ではバナナも皮を剥く前に洗って食べた。

これはどうやら普通じゃなさそうと気づいてから、いきなり剥くようになった。

 それぞれの「当たり前」が当たり前でないことがあるんだと、今頃になって気づいている。


ともだちの俳句、ちょっと失礼

2019-02-06 16:50:23 | 俳句、川柳、エッセイ

   古い本の間から、メモ用紙が出てきた。

友だちの俳句である。いやあ、うまいなあと感心したので無断借用する。

怒るような友だちではない。

  

  壺の奥暗きに挿して曼珠沙華

  夕焼けのごとき柿あるたなごころ

  淋しさの一口ごとにむかご飯

 

  春暁を覚めてひとりの奈落ある

  息すれば大気匂ひて春隣 ……今の季節ならこの二句だろうが、

上記、秋の句がわたしは好きである。