写真はバスの中から撮影したものである。
わたしは運転をしないから、こうしてのんびり外を観ながら公共の乗り物を利用する。
先週、地下鉄に乗った。
地下鉄では外を観るというわけにはいかないから
吊り広告を眺めた。
「そもそもヒゲってなくても困らないよな」という広告があった。
ヒゲ脱毛コースのご案内のようである。
いやいや、ヒゲがあるから、男ではないか。
男のヒゲほど男を語るものはない、と風子ばあさんはひそかに思うのである。
青々とそり上げたヒゲあと、うっすらと伸びかけたたヒゲ。
無精ひげが似合う男なんか、男の中の男である。
ちくちくする男のヒゲ、ざらざら触れる男のヒゲ。
「ヒゲってなくても困らない」というようなコマーシャルは無粋にもほどがある、
と眺めているうちに目的駅に到着した。