バスの中はおよそ満席であった。
途中から乗ってきたよぼよぼのバアサンが、風子の前に立った。
杖を持っていて、バスが振動するたびによろける。
あたりを見回したが、誰も席を代わってやる人がいない。
風子ばあさんは自分も年寄りだが、見かねて、どうぞ、と立ち上がった。
「あらら、まあ、あなたのような方に代わって頂いて、ありがとうございます」
むむむ、 あなたのような方……とは、いったい、どういう意味だ!
くそ! 口だけ達者なバアサンだなあ、と、内心むっとした。
しかし、ここで腹をたてては気分が悪い。
替れる体力気力があるのだから、これはこれで有難いと思うことにした。
「いえいえ、どういたしまして……」
とにっこり微笑んで見せたが、 美しく齢を取るのはなかなか難しいものである。
途中から乗ってきたよぼよぼのバアサンが、風子の前に立った。
杖を持っていて、バスが振動するたびによろける。
あたりを見回したが、誰も席を代わってやる人がいない。
風子ばあさんは自分も年寄りだが、見かねて、どうぞ、と立ち上がった。
「あらら、まあ、あなたのような方に代わって頂いて、ありがとうございます」
むむむ、 あなたのような方……とは、いったい、どういう意味だ!
くそ! 口だけ達者なバアサンだなあ、と、内心むっとした。
しかし、ここで腹をたてては気分が悪い。
替れる体力気力があるのだから、これはこれで有難いと思うことにした。
「いえいえ、どういたしまして……」
とにっこり微笑んで見せたが、 美しく齢を取るのはなかなか難しいものである。