春昼の野球テレビで観戦す
球音に一喜一憂春の昼
新緑や若草色の外出着
もう若葉キャッチボールの音がして
この家に移り越しひと芝桜
春愁や小さき傷跡ギター弾く
春の風邪女医の勧める葛根湯
春の風邪カルテ記載の女医の指
傷負ひし猫の去り行く月おぼろ
やや西へ福岡タワー月おぼろ
黄砂来て今日の予定を変更す
旅したる彼の地の黄砂飛び来たる
沈丁のこぼれてもなお香の名残り
妣の忌や身罷りし日の沈丁花
垣根ごし匂ひあふるる沈丁花
墓地に来て四囲に漂ふ沈丁花
子は厭きてパパは夢中の浅利堀り
手を引かれ入学の子の半ズボン
莢剥けばそら豆仲良く並びおり
子の皿にそら豆数粒多く盛り
受診日に子の運転ではや四月
春の陽を浴びよと主治医手を取りて