風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

熱中症

2011-07-24 22:41:01 | 健康

  今年の夏は、テレビでも新聞でも熱中症に気をつけましょうとやたらに騒ぐ。
  ごもっともではあるが、いくらか大きなお世話という気がしないでもない。

  気をつけましょう……と言って気をつける人たちは、ほっといても気をつける人たちだ。
  気をつけない人たちというのは、どんなに報道されても、カンカン照りに草むしりをするだろう。

  あるいは、風子ばあさんの知人で、
 「わたし、熱中症で死にたい」などと言う人もいる。

 「あまり苦しまないで、暑くてぼうっとしているうちにすっと逝けるなんて、よさそう!」

  目の前で倒れた人をほっとけとはいわないが、
  人はそれぞれだから、あまりお節介が過ぎるのもどうかと思う。

  お年寄りはことに気をつけましょう……というが、
  90も100にもなって、草むしりをしていて熱中症で死んだからと言って
  そう大騒ぎしないでも、よかろうに。

  年寄りのことはほっといていいから、子供と若者の健康を脅かす放射能のことをもっと論じた方がいい。

紙おむつ

2011-07-23 10:45:09 | 健康
  齢をとるとトイレが近くなる。
 旅行の際など、もっとも気がかりなことのひとつである。

  旅好きな友だちが一計を案じた。
 紙おむつの着用である。

 「それがね、よかったのよう! なにがいいってね、つけ心地……。
 ふっかふっかで気持ちいいの。思わずウフフって嬉しくなっちゃった」

  ほう! である。

  人のすることなら何でも真似してみたい風子ばあさん、
 シルクロード旅行のときに早速試しに穿いてみた。

  う~ん? 
 ふっかふっか……というより、モゾモゾだなあ。
 穿き心地 × だった。

  せっかくの試着だから本来の用も足してみようと気ばってみたが、
 気温40度の砂漠のまんなか。
 塩を吹くほどの汗をかいているから、ほかからの水分排泄はゼロだった。

  あのとき買った紙おむつが、まだ押し入れの一画をふさいでいる。
 邪魔だから捨てようと思ったが、永久にご縁がないとは考えられない。
 それどころか、そろそろ出番が近いかもしれないので、
 手前の取りだしやすい場所に移動させた。

 さあ、ばあさん度アップ! 用意万端、こわいものないぞ!

マチュピチュ

2011-07-21 22:24:58 | 旅行
   数年ぶりの知人にばったり出会った。
  「どうしてるう?」
  「わたしねえ、脳の手術したのよ」
 
   年寄りが顔を合わせるとすぐに病気の話になる。
  「ここ、ここ、まだ傷があるよ、さわってごらん」
   いやあ、いいよ遠慮するよ……。

   自分の病気の話が終わると、次ぎは60歳になる妹さんのことになる。
  「鬱でねえ」
  「まあ、それはお気の毒」
  「認知症も交じっててねえ」
   これは線引きが難しいらしい。
 
   それから、バイクマニアのお兄さんの話になった。
  お兄さんと言っても、70半ばの高齢者である。

   ツーリングでマチュペチュに行き、坂道でバイクを
  転げ落ちて両足複雑骨折の重傷を負ったそうである。
 
  うわあ、大変、帰って来れないじゃん!
 「それがそうでもないの、ちゃんと向こうの医師が飛行機で付き添って連れて帰ってくれたの」
  こんなカッコウで……と、彼女は仰向いて両足を突き出して見せた。

  すべて旅行保険でまかなわれたそうである。
  ほうっ!
  いいこと聞いちゃったなあ。

  風子ばあさんは、最近とみに体力気力の衰えを感じ、
 旅先から帰れなくなったら困ると、海外旅行は諦めていた。

  歩けなくなっても世界の果てから連れ帰ってくれるなんて、思ってもみなかった。
 まだまだ諦めるのは早いかなあ。
 だけど、……人騒がせだなあ。

  どうするかなあ。 やっぱり一泊の温泉にするかなあ。

Jポップ ISIS

2011-07-20 11:07:03 | ギター、映画など他
   日曜日のことだった。
  西鉄電車を下りたら、
  コンコースの一画に人だかりが出来て、歌声が響いていた。

   仮設の舞台の周りを若いファンが取り囲んでいる。

   離れたところから様子を窺う。
  どう考えてもばあさんの立ち寄るところではない。
  行き過ぎようとしたが、なぜか立ち去りがたい。 

   で、一歩前へ。
  舞台では、ギターとボーカル二人、それにキイボードの女性は浴衣姿である。
  ふんふん……いいぞ、いいぞとステージにもう一歩近づく。

   一曲終わると、
  彼らは、汗を拭いつつ客席に語りかけ ファンサービスにこれつとめる。

   この日の気温は34度。
  クーラーなしで唄って踊るのだからたまらない。
  その上、ステージ頭上の照明が、かなり熱そう。
  よく頑張ってるねえと ばあさん、また一歩前へ。

   踊る、唄う、ギター、キイボードが奏でる。
    いいぞ、いいぞぉ!

   ばあさん、さらにさらにもう一歩前に。

   ボーカルが
  エイエエ~イ♪ エイエエ~イ♪と腕を高々と上げる。
  他のメンバーも エイエエ~イ♪である。

   浴衣姿のキイボードのお姉さんもエイエエ~イ……とやるから、
  そのつど浴衣の片袖から、にゅっと腕がつき出る。

   ばあさん、すっかり渦にはまった。
  エイエエイ♪にノリたいが、70のばあさんだもんね。
  ノリ過ぎて人が驚くといけないから、
  周りに見えないように下の方でこっそり手を振る。

   ところで、
  バアサンはクラシックと演歌、せめてジャズとフォークくらいしかジャンル分けが出来ない。
  この音楽はちなみになんというジャンルですか?
  恥を忍んで隣の若者に訊いたら、Jポップというそうである。

  ISISプラスサポートメンバーということらしい。
 POPSユニットでは、九州総合チャートで第一位だそうな。

  応援するよ、バアサンで悪いけど。  ♪エイエエ~イ♪

大鹿村騒動記

2011-07-19 22:29:33 | ギター、映画など他
  虫の知らせだろうか、映画大鹿村騒動記を、
 明日ではなく今日見たいと思った。

  午後の上映時間にぎりぎり、
 友だちの車で映画館まで送ってもらって滑り込んだ。

  夕刊で原田芳雄の死亡記事を見た。

  大鹿村騒動記は、長野県の300年の伝統を持つ村歌舞伎をテーマにして
 原田芳雄が主演している。
 彼自身がどうしても演りたかったという映画である。

  三国連太郎、佐藤浩一、岸部一徳、石橋蓮司、
 女優は大楠道代、松たか子、 どうだ、まいったか! というメンバーがそろっている。

  一週間前の完成試写会に、車椅子で挨拶に出たのが原田芳雄の最後であった。
 見事な覚悟だった。

  風子ばあさんの好きな、いい役者だった。

高島野十郎展

2011-07-18 11:45:24 | 日記
   久留米の石橋美術館で高島野十郎展を見て来た。

   絵のことはよくわからないくせに、
  新聞の写真で見たら現物を見たくなり出かけた。

   有名な「からすうり」の絵も、それから渓谷の「流」もよかったが、
  彼の描く風景の中にある、あちこちの道がよかった。
  描かれた道のその先を想像してしばらく見惚れた。

   絵の中にある動きの表現がすばらしいと眺めた。

  川の流れ、煙草の煙の行方、陽射しの移ろい、たちこめる霧……。

   う~ん、暑い一日だったが出かけてよかった。

デンデラ

2011-07-17 10:15:28 | ギター、映画など他
  数日前のことになるが、映画「デンデラ」を見た。
 姥捨てのその後である。

  浅丘ルリ子、草笛光子、山本陽子ら大御所が汚れ役で好演していた。

  物語りのはじまり、これから捨てられに行く浅丘の死装束が妙に色っぽかった。

  息子に向かって深ぶかとお辞儀をするのだが、
 その腰の丸みがとても年寄りには見えず、美しい。
 
  風子ばあさんのようなブスは、どんなに頑張って化粧して着飾ってもみっともないだけだけど、
 きれいな人はメイクや衣装で汚してもやっぱり美しい。
  
  生まれ変わるときはやっぱり美人で生まれたい。

  天瀬大輔監督は、かの名作「楢山節考」の今村正平監督の子息とのこと。

  さあて、ばあさんパワーを見せつけられたのだから、
 風子ばあさんも昼寝ばかりしているわけにはいかないなあ。
 

昼寝

2011-07-15 10:05:42 | 日記

   風子ばあさん、ただいまお昼寝中です。

  覗いてくださった あなた……ありがとうございます。
  興味のありそうなカテゴリーの中から、ひとつふたつお読みいただけたら幸いです。

 

皮膚科の名医

2011-07-08 22:26:14 | 健康
  風子ばあさんの仲間うちで、ちょっと知られた皮膚科の名医がいる。
 ある美人が手の湿疹を診せたら、
 「すました顔で隠してもダメ、足に水虫があるだろう」
 と、二コリともせずに見破ったそうである。

  さて、昨日、べつの仲間が、
 お尻に茶色の湿疹が出来て受診した。
 
  先生の診たてでは、
 皮膚の下、お尻の内部で骨格や筋肉、その他もろもろの老化や変形が進んでいるそうである。
 その結果が表面に出てきたと言うことらしい。
 
 「どうしたら治るのでしょうか」と彼女が訊いたら、
 先生いわく、
 「老人をやめなければ治りません」ですって。

  当ブログ、カテゴリー「健康」内に、
 この先生の「珍」診断を綴った「名医」および「名医の続き」があります。
 興味ある方はこちらも合わせてごらんください。

  受診してみたくなること請け合いです。

眉墨

2011-07-07 22:05:26 | 旅行
  風子ばあさんは、十年前に買った鉛筆型の眉墨を使っている。
 今どきは眉墨などと言わず、アイブロウとでもいうのかもしれない。

  鉛筆型だから、ときどき電動の鉛筆削り機で、先の方をちょこっと削る。

 
  旅先で、この眉墨を使って片方の眉を描いた。

 もう片方を描こうとしたとたん、ぽろっと見事に芯の奥から折れてしまった。

 旅先だから、電動削り機はもちろん、ナイフなどはない。

 フロントに行く手もあるが、ちびた眉墨を削ってくれと頼みに行くのは恥ずかしい。

 え~い、知らぬ土地である、片眉だけの顔でそのまま出かけた。

  旅の恥は掻き捨て……というではないか。

 
  掻き捨て、描き捨て……ダジャレです。