風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

少子化対策

2010-07-15 10:04:35 | 家族
 所用があり、思いがけず手間取った。
 夜の九時近くになってバス停に立った。情報システムの会社や、医療、マスコミ関連などのビルが建ちならぶオフィス街である。周りでバスを待つのはほとんど若い男性だった。

 満員のバスの中も男ばかりで、みんなひどく疲れた顔をしていた。ばあさんに席を譲ってくれる気配など、微塵もなかった。
 それはいい、風子ばあさんはこう見えてもまだまだ元気である。
 ばあさんの心配はほかのところにある。

 彼らはバスのその先もまだ電車に揺られないといけない。
 これから家に帰りつけば十時だろうか、十一時だろうか。
 帰りつけば、食事もしなければならない、風呂も入らなければならない、ちょっとはテレビも見ないと世間の話題についていけない。忙しいよねえ。

 政府は少子化対策、少子化対策というけれど、ことは簡単な話である。この男たちを早く家に帰らせればいいのである。
 定時の五時きっかりに帰らせる、夕飯を食べてもすることがない、早く寝ようか、ということになる。 

 五時にみんなを退社させて仕事が終わらないのなら、ハローワークにすぐ電話して、社員をふやすべし!
 すなわちワーキングシェアである。
 
 昔から、貧乏人の子沢山というではないか。貧乏では困るが、するべきことには、それなりの時間がかかるのである。
 疲労困憊の男どもに囲まれて、ばあさんはいらぬ思案をしながらため息をつくのである。
コメント (2)
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