風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

夫の呼称

2010-07-10 10:34:26 | 口は災いのもと
 ひと昔前までは、人さまの前で、夫のことを話すときは、主人が……、というのが普通だった。
 しばらく前から、夫の家来ではないから、主人とは呼びません、という女性が増えてきている。では、どう呼ぶか。
 うちの夫が、と言う人や、連れ合いが、とかいう人が多い。
 伴侶が、などと舌を噛みそうなことを言う人もいる。
 彼が、を連発する知人がいる。彼に会ったことはないが、話の端々から、今も恋人夫婦のようないい雰囲気を想像していた。
 たまたま、その彼を紹介してもらう機会がきた。
 顔だちがどうというようなことではないが、妻を呼ぶのに、おい、おい、としゃがれ声を出し、彼、と呼ぶには、彼らしいムードに欠けていた。
 彼には、彼らしい要素が必要なのである。
 せいぜい「うちの人」くらいの方が似合うような気がした。

 ついでにいえば、風子ばあさんは、嫁、という言葉もきらいである。
 だから、息子が結婚しても、嫁という言葉では呼ばないように心がけてきた。
 先日、街かどでばったり出会った知人に、その息子の妻を人に紹介しなければならない場面がきた。
「息子の妻の×子さんです」とはとっさに口が回らず、ヨメです、と口をついて出てしまった。
 あとから、おヨメちゃんに、ごめんね、と謝ったら、なんでですか? と言ってくれた。
コメント
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