「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

BPDへの精神療法の効果

2013年08月15日 21時56分34秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 精神分析的精神療法を受けたBPD患者は、 標準的治療を受けた 人たちと比べて、

 うつ症状, 対人関係機能, 自殺企図と自殺行為の回数, 入院回数が

 有意義に改善したという 研究結果があります。

 BPDに対する 応急処置はないけれど、 長期間 精神力動的精神療法を続けると、

 大いに改善する可能性があると 結論付けられています。

 DBT (弁証法的行動療法) を 1年間受けた患者では、

 自殺関連行動と入院日数が 少なくなりました。

 また 同じ治療者の下に 長く留まっていたことや、

 薬物使用を減らす効果も 明らかになりました。

○ 精神療法のまとめ

 BPDは 特別のアプローチが必要な 精神障害です。

 充分な期間 適切な治療を受けることで、 大多数の患者が 確かに回復すると、

 臨床的にも実証研究からも 裏付けられています。

 古典的な精神分析の 初期の試みは成功しませんでしたが、

 それを修正した治療法は 多くの患者に有効です。

 精神分析理論に基づく 精神力動的精神療法では、

 意識されない思考, 感情, 行動のパターンを 患者が認識することが援助されます。

 認知行動療法では 技能訓練を通して、

 思考と行動の 破壊的なパターンの 認識と修正が行なわれます。

 全ての精神療法において、

 患者と治療者との治療同盟は、 成功に欠かすことができません。

 第一に優先すべきは、 患者が自分を傷つけないよう 安全を確保することです。

 薬物療法やその他のプログラムが 並行して必要なこともあります。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より