monologue
夜明けに向けて
 



蜂窩織炎の患部は右脚だったが左脚を動かしてみると腰椎の辺りに疼痛が走り身体が跳ねるように揺れた。2019年6月にかかった帯状疱疹とは違う種類の痛みだった。その時は抗ウイルス薬アシュクロビルの点滴治療で治癒した。今回は原因がウイルスではなく細菌なのでセフェム系抗菌薬ゼファゾリン点滴治療になったということらしい。そして翌日、部屋が713号から711号室に換わった。車輪付きベッドでふたつ隣の部屋の窓際に運ばれたのだ。その部屋ではだれもラジオをかけていなくて聞こえるのは人が寝入った時のイビキぐらいだった。それで治療中、世俗のニュースに接する機会は全くなくなり世間と全く隔絶した生活になった。病院のカーテンと天井だけを見て過ごしていると以前から曲想だけあるけれど置きっぱなしになっていた曲をこの機会に形にしなければいけないという気になった。音を出して確かめるためのギターも音符を打ち込めるパソコンもなく頭の中だけでメロデイと歌詞を組み立てる作業にかかった。それで一晩でなんとか新しい歌の形が出来上がった。退院した時パソコンに打ち込んで仕上げることにしたのだった。
fumio

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