11月16日(土)
「終活」という言葉が最近よく聞かれます。要約すれば、「自分はどのような最期を望むか。それに備えてどうするか。」とでも言えばいいんでしょうか。私も「千の風になって」の歌詞じゃないですけど、自分の遺骨は暗くて陰気なお墓の中より、灰となって大自然の中へ葬って欲しいと漠然とながら考えています。
そんな訳で随分以前から自然葬を実践するNPO法人の「葬送の自由をすすめる会」に入会していたのですが、そこの会報誌で自然葬を模擬体験する行事があると知り、申し込んで今日参加して来ました。
開催場所が横浜港沖なので、今朝早く我家から電車に乗って船が出港する横浜港の帆船日本丸が係留されている傍の乗船場へ集合した。行事の募集定員は30名程度だったそうだが2倍以上の申し込みがあり、午前と午後の2回に分けて出港する事になったそうです。
ランドマークタワー近くの乗船場(裏側に日本丸が係留されている。)
写真の小さな船に乗ります。
我々は午前の部に参加となり、予定より少し早い10時40分頃スタッフの人達に見送られ出航しました。乗船したのは東京湾の遊覧に使うような小さな船でしたが、青空の下爽やかな潮風でとても快適な乗り心地でした。
横浜ベイブリッジの下を潜り抜け、30分程沖へ出た東京湾のど真ん中が散骨場所でした。停船しユッタリ~ユッタリ揺れる船の中、スタッフの人の進行で散骨の模擬体験が始まった。
横浜ベイブリッジの下を潜る。
かなりのスピードで沖合に向かう。
散骨場所に到着
法的な規制がある為に、散骨にはいろいろな制約があるようです。海に撒けるものは、「粉末化した遺灰を水溶性紙につつんだもの」「花びら、もしくはガクから上の花の部分のみ」「故人が好きだった飲み物の中身だけ」と言う事です。
参加者は最初に、遺灰に模した粉末入りの紙袋を海へ投下し、その後手の平の花びらを海へばら撒きます。その後1分間の黙とうをして、汽笛の長音を3度鳴らし後、船は海面に漂う花びらの周りを3周廻って横浜港へと戻って行きました。
花びらを海へ撒く。
海面に漂う花びらが物悲しい。
模擬体験なので何だかお遊び事みたいでしたが、スタッフの方の話では、実際の散骨は凄くドラマチックで、遺族の方は悲嘆の涙にくれるそうです。
沖合を行きかう船々や羽田空港から次々と飛び立つ白い飛行機、西方を見れば横浜高層ビル群の奥に真白き富士の高嶺、あまりにも素晴らしいロケーションで、こんな場所で自然に還してもらうのも悪くは無いなあと何だか前向きな気持ちになれました。
ただ山への散骨もあるそうなので、山好きな私としてはそちらも体験もしてみなければ、結論を出せぬと思っているところです。普段はノホホンと過ごしている私ですが、今日は人生の深淵の一端に触れたような貴重な体験ができました。