9月28日(日) 天気=晴れ
03:05笹ヶ峰登山口→ 03:53黒沢橋→ 05:02富士見平分岐→ 05:39~06:04高谷池ヒュッテ→ 07:12~25火打山→ 07:38影火打→ 08:24最低鞍部→ 09:22~44焼山→ 10:24~30最低鞍部→ 11:24影火打→ 11:42~54火打山→ 12:44~50高谷池ヒュッテ→ 13:22~25富士見平分岐→ 14:08黒沢橋→ 14:40笹ヶ峰登山口
焼山は妙高、火打と共に頸城三名山の一つで3百名山でもあり、何時か登ろうと思っていた。前日は笹ヶ峰高原の登山口駐車場で車中泊、ビールを飲みつつ夕食を取っていたら、ラジオから御嶽山が噴火して多数の死傷者が出たと聞こえてきた。明日登る焼山も活火山で6年前に登山禁止が解除されたばかり、他人事じゃないと不安な思いにかられた。
翌朝は3時前に眼が醒め朝食を食べぬまま3時過ぎに出発する。暗闇を懸念したが道が明瞭だからヘッドライトの明りだけで支障なく歩ける。それと私より少し前に出発した単独男性が居たので、途中で追い越すまでその人が良い先導役になってくれた。
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登山口の門(下山時)
黒沢橋を渡り12曲りの急登も暗闇の中なので歩きに集中できて疲れを感じなかった。出発して2時間、黒沢ヒュッテへの道が右へ分岐する富士見平に着いた頃、ようやく薄明が訪れてきた。富士見平でも歩みを止めず分岐を左へ進み、登山口から約2時間半で高谷池ヒュッテに着いた。
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黒沢橋(下山時)
ヒュッテ前のベンチでパンとジュースの朝食を取る。標高2100mの朝は身震いするほど寒く、ベンチには霜が降りていた。食事を終え、火打山へと出発する。ヒュッテから15分程で幾つもの池塘が点在する天狗ノ庭湿原に着く。湿原に敷かれた木道は霜が付着して滑り易い。頭上の火打山は朝陽に輝き、火打~影火打間の稜線を白雲がまるで滝のように北から南斜面へ流落ち圧巻の眺めだ。
湿原を過ぎると火打へ向け急登が始まる。朝食前に登頂したのだろうか小屋やテント泊りの人が続々と山頂から降って来る。ヒュッテから約1時間で火打山(2462m)に到着した。
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火打山山頂
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山頂から妙高山方面
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山頂から焼山方面
今朝は絶好の登山日和で山頂からの展望が素晴らしい。居合わせた中年女性が「噴煙が見える。」と言った。その方向を見ると槍ヶ岳の左側稜線の奥から白い雲のようなものがポンポンと噴き出しているのが見えた。新潟県の山から岐阜県の御嶽山の噴煙が見えるとは驚きだ。(御嶽山本体は山波に隠れて見えない。)災害に遭われた方々の無事を祈るのみである。
先が長いので早々に出発する、影火打までは緩やかに降って登る快適な道、陰火打はゆったりした山で何処がピークか判らないので、道端に小さな木製標識があった所を山頂と記した。
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影火打の降りから焼山
影火打から焼山間のアップダウンが凄い。標高差400m以上を一気に降り再び一気に登らねばならない。あの雲の下まで降るのかと見てるだけで疲れが増す。懸念していた登山道の荒廃はそれ程進んでおらず踏み跡はかなり明瞭だ。最低鞍部の手前に一箇所4~5m程の岩場があり鎖やロープが付いて無いので少し嫌らしい。だが手掛かりが豊富なので慎重に降れば問題は無い。
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最低暗部手前の岩場
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最低暗部付近
最低鞍部の所で先行していた男女二人と単独男性を追い抜いた。焼山への登りも相当に急で気を抜くと滑り落ちそうだ。でも剣岳長次郎雪渓みたいに滑ったら一巻の終わりでは無いから気は楽だけど、登るにつれて周囲に巨大な溶岩石が点在するようになった。砂礫のよう斜面をジグザグに登り山頂一角の稜線に着き、此処を左折して50m程で焼山(2400m)に到着した。
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登山道沿いの溶岩石
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辿り着いた山頂稜線の一角
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焼山山頂
山頂からの展望は素晴らしい。妙高、火打に標高では劣るものの眺望の良さはここが一番ではなかろうか。何と言っても西に長々と延びる北アルプス全貌が雄大な眺めである。
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山頂から金山と奥に北アルプス
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山頂から火打山方面
帰路も長いので20分程滞在し山頂を後にする。下山は稜線を50m程進み右に曲るのだが目印が無いのでガス等で視界の効かぬ時は迷い易いだろう。そのまま直進すると噴煙を上げる噴火口の方へ行ってしまう。私も一寸覗きに行ったが岩場の下で直接噴火口を見る事はできなかった。
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焼山噴火口(岩塔の下)付近
最低鞍部の所で焼山に向かう単独男性と出会った。「火打を越えて笹ヶ峰に戻るのは大変だねえ。富士見峠から杉野沢橋に下ればよかったのに」と言う。「でも道が悪いんでしょう。」と聞けば「整備したから迷う事は無いよ。」と言われた。一寸残念な気もするが今更引き返せない。
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最低暗部への下りから影火打方面
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最低暗部から焼山
最低鞍部から影火打への登りもキツイ。何も考えずに修行の精神で頑張るのみ、背後に見える焼山の高さが徐々に低くなるのと紅葉の美しい風景が励みになる。最低鞍部から1時間足らずで影火打まで戻った。此処まで来れば火打山までは僅かな距離、しかし火打への最後の登りは大して急でも無いのにけっこうきつかった。
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影火打から火打山
戻り着いた火打の山頂は20名以上の人々で大賑わい、予定では此処へ戻り着くのは午後3時過ぎになるはずだったが、午前中に戻れたのは嬉しい誤算だった。
火打山から下山の途中、早朝はあまり見栄えはしなかった天狗ノ庭湿原付近の紅葉も、真上から降り注ぐ秋の陽差しを浴びて一段と艶やかだ。池塘の水面に映る火打山の姿が美しい。又 高谷池の池塘とヒュッテの雰囲気ある建物の風景もまるで絵葉書のように見える。
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火打山の下りから天狗ノ庭方面
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天狗ノ庭湿原から火打山
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高谷池と高谷ヒュッテ
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ヒュッテから高谷池と火打山
下山の道は登山者が多く、人々の列が絶えない。私のザックに付けた熊避け鈴が警報の役目を果たし、音に気付いた登山者が気持ちよく道を譲ってくれたので、大した渋滞にも巻き込まれず高谷池から1時間50分程で登山口の駐車場へ戻る事が出来た。
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富士見平への下山道から焼山(左)と火打山(右)
車に乗るとさっそく山麓の杉野沢集落にある苗名の湯に向かい登山の汗を流す。ここは大人450円とリーズナブルで、スキーに来た時など時折利用していたお気に入りの日帰り温泉です。風呂から上がると上信道信濃町IC近くにある道の駅「しなの」に立寄り食事をする。一番飲みたかったノンアルコールビールが売っておらずガッカリ、注文した蕎麦も値段の割にちっとも美味くなかった。
早く帰ってビールを飲みたいと気は焦るが、日曜の関越道は紅葉帰りの車で大渋滞、これではラチがあかないと途中の本庄児玉ICで降り、一般道を走って暗くなった8時頃我が家に戻り着き念願のビールにありつけた。
御嶽山の噴火で心に一抹の不安はあったけれど、念願の3百名山の一つ焼山に登頂できたし素晴らしい紅葉も見る事ができた。それから最後までバテずに約12時間を歩き通す事が出来たのも、体力的に随分と自信になり実りある山行だった。