群馬県北部に聳える武尊山は、幾つものピークを持つ雄大な山だが、谷川岳や赤城山、日光白根山など人気の名山が周囲にあるせいか百名山の中では地味な存在です。
その武尊山へ最初に登ったのは、昭和58年10月2日(日)の事でした。遠い昔の話で記憶も朧気ですが、前夜は川場村の旭小屋に泊り居合わせた地元の人達の宴に誘われてご馳走になった事を覚えています。
翌朝早く小屋を出発し、不動岳から前武尊山を経由して最高峰の沖武尊山(2158m)に登頂、その後利根川沿いの上の原入口バス停まで長い道程を降りました。
前武尊山から沖武尊山(左奥の山)方面
前武尊山から剣ヶ峰(右奥の山は谷川岳)
沖武尊山山頂
沖武尊山から登って来た稜線
沖武尊山から剣ヶ峰
沖武尊山から尾瀬の至仏山(左)と燧ケ岳(右)
沖武尊山の降りから利根川上流の谷間
下山の道から沖武尊山を振り返る
2回目は、平成15年9月15日(月)に片品村のほたか牧場から、妻と二人日帰りで沖武尊山を登りました。この時山頂は雲に覆われて展望も無く、数枚の写真がアルバムに残されただけで記憶の薄い山行でした。
ほたか牧場の白樺林
登山道から岩鞍スキー場方面(下界は晴れていたようだ)
沖武尊山山頂
3回目は平成23年9月8日に、水上町の武尊神社から単独での山行でした。この時の記録が古いブログに残されていたので、下記に転載してみます。
上州武尊山登山
9月8日(木) 天気=晴れ
06:15武尊神社→ 06:51登山道分岐→ 07:33武尊沢出合→ 08:37~09:00剣ヶ峰山→ 09:53~10:10武尊山→ 11:04~10手小屋沢避難小屋分岐→ 11:42登山道分岐→ 12:12武尊神社
上州、武尊山は、尾瀬と谷川連峰の間を取持つような位置にある膨大な山塊で,稜線には最高峰、沖武尊を始め幾つかのピークが連なっています。未踏であった剣ヶ峰を今回目指す事にしました。
深夜割引で高速料金が安くなるので、朝4時前に鶴ヶ島ICから関越道に入る。上里SAで吉野家の牛丼を喰ってエネルギーを注入し、水上ICで高速を降りる。平日ゆえガラガラの一般道を北上し、登山口になる武尊神社には予定より早く6時頃着いてしまった。駐車場には数台の車が停っている。多分登山者のものだろう。
登山口の武尊神社
手早く準備を終え出発する。この先も林道が伸びているが、ゲートで閉ざされ車は進入できない。少し進むと土砂崩れで道は塞がっていた。これではマウンテンバイク以外は走行できないだろう。
林道は進むにつれて荒廃の度合いを増していく。数日来の大雨の影響か、道の至る所で流水が迸っている。30分余で道が二手に分かれる。左は手小屋沢避難小屋経由で沖武尊山へ向かう道だ。そのまま直進する。此処からは完全な登山道、幾つか沢を越える。地図に水場マークがある武尊沢を越えると、急登の度合いが強まってきた。
木の根を掴んで強引に登って行く。いつまでも続く登りに、脚がだんだん重くなる。吹く風が少しづつ爽やかになってきたようで稜線間近な雰囲気、そして沖武尊と剣ヶ峰を結ぶ稜線に飛び出した。右に曲って5分程の登りで、誰も居ない剣ヶ峰(2020m)に到着した。
山頂からの展望は抜群、爽やかな青空は空きの風情を思わせ上信越の山々が手に取るように見渡せる。秩父山地の奥には富士山まで確認できた。山頂南面の遠からぬ位置に川場スキー場があり、スキーがてら何度も拝んだピークに、今居ると思えば若干の感動がある。
剣ヶ峰から沖武尊山方面
剣ヶ峰から沼田市街地方面
武尊山最高峰、沖武尊との間にはたおやかな尾根が繋がり、その稜線に一筋の道が刻まれてオイデオイデと誘っているようだ。単独の男性が登って来たのと入れ替わるように、沖武尊へ向け出発する。しばらく進んで振り返れば、剣ヶ峰が鉛筆の芯のように尖って見えた。
振り返って見る剣ヶ峰
尾根の中間地点まで、緩やかに降って行く。赤シャツの単独男性が向うからやって来た。平日にも係わらず、この山を歩く人はけっこう居るようだ。中間部を過ぎると、今度は登りが続く。山頂間近はキツイ登りだが、爽やかに吹く風と青々しい風景が疲れを癒してくれる。やがて前武尊と沖武尊を繋ぐ稜線に辿り着き、僅かに左へ向かえば武尊山最高峰、沖武尊(2158m)の山頂、周囲の展望は剣ヶ峰にも益して素晴らしい。
沖武尊山山頂
山頂から剣ヶ峰方面
山頂から前武尊山(右端の山)方面
山頂から谷川岳方面
男性が一人居て話しかけてくる。彼もこの好天に上機嫌の様子、聞けば武尊牧場スキー場から来たとの事。何年か前に妻と二人で登ったコースだ。やがて彼は会釈して、山頂を去っていった。食事がてらしばらく誰も居ない山頂の雰囲気を堪能する。
食事を終えると、山頂を後に手小屋沢避難小屋経由のコースを下山する。降るにつれ、幾人かの登山者とすれ違う。このコースを選択する人が多いようだ。しばらくすると、緩やかな道は鎖やロープが張られた岩場の降りへと変った。タラタラ降りに飽きていたので、変化に富んだ道は返ってありがたい。
下山の道から沖武尊山
やがて沢音が聞こえると、手小屋沢避難小屋への分岐、小屋は登山道から右に少し降りた場所にあり屋根だけが僅かに見えた。地図によると此処で道が二手に分かれるはずだが見当たらない。ひょっとして見落としたかなと不安になった頃分岐点に着いた。右は宝台樹スキー場へ降る道、武尊神社と記された左の道を降下する。
朝方登った林道まで急勾配でグングン降って行くが、道はシッカリしている。武尊山は山岳信仰の山でもあるから、この道も昔から使われていたのであろう。30分程で登山道分岐に降立った。右に曲って休まず林道を登山口へと降って行く。朝方登る時には気付かなかったが、けっこう傾斜のきつい道だ。
お昼過ぎに登山口の武尊神社へ戻った。時間も早いので、観光名所でもある「裏見の滝」を見物に行って見る。遊歩道を歩いて5分程の所にあり、先日の雨で水嵩の増した滝は迫力充分で中々見応えがあった。
裏見の滝
見物を終えると水上町の日帰り温泉「ふれあい交流館」へ車を走らせ、山の汗を落した。この温泉は今年6月谷川岳に妻と登った時にも訪れたのだが、地元の人相手の素朴な良い温泉です。料金も割引券を使えば450円と大変リーズナブル、今日も時間が早いせいか入浴客は少なく伸び伸びとお風呂を楽しめた。入浴後、一般道を渋川市まで南下して渋川ICから関越道で夕刻我家へ戻った。
4回目は今年の3月30日(水)に、山友Jさんと二人で川場スキー場から雪の沖武尊山を往復した。その記録については、下記をクリックしてご覧ください。