古いアルバムで山の写真を探していたら、20年くらい前の懐かしい写真を見つけた。それは当時ボランティア活動で参加していた視覚障害者と伴走する会の写真であった。
会に参加したきっかけは、越後湯沢で開催された障害者スキーツアーに参加した時に視覚障碍者のW子さんと知りあって、互いにマラソンが趣味だという事が分かり、彼女から視覚障碍者と一緒に走る(伴走)会へ誘われたのが始まりだった。
練習場所は荒川河川敷にある戸田公園で、毎月1回週末に開催されていた。私は何人もの視覚障害者の人達と一緒に走り、いろんな話をして、実りある一時を過ごさせてもらっていた。
練習場所の荒川堰堤上
そんなある日、W子さんから「皇居で開催される視覚障害者10kmマラソン大会に出場するのだけど伴走者を探してる」と聞いたので、思わず立候補の手を挙げた。
伴走の練習をするW子さんと私
10月の体育の日にマラソン大会が開催され、W子さんと私は皇居外苑を2周する10kmレースに、他のランナーらと共に半蔵門公園からスタートした。ただ一緒に走っていればよいと思っていたが、W子さんと手足の歩調を揃え、彼女にコースの情報を伝えたりと、伴走者のやるべき事は意外と多く技術を要する。
それでもW子さんが参加者の中では断トツの健脚者だったので、我々はレースを楽しみながら走る事ができ、見事に女子の部で優勝した。優勝したのはW子さんで、黒子の私に優勝賞品は無かったけれど、自分が優勝したかのように嬉しかった。
女子の部で優勝したW子さんと私
その後私は仕事が忙しくなり、伴走の会とはだんだん縁が薄れていった。噂によれば、W子さんは伴走の会に参加していた健常者の男性と結婚して、幸せな家庭を築かれたらしい。
私が伴走の会で活動したのは約2年間ほど、さほど長くは無かったが古い写真を見ていると、人生の良いメモリアムだったんだなあと懐かしさが蘇ってくる。