11月20日(水)
冲方 丁さんが書いた「天地明察」という小説は以前映画化されたから知ってる人も多いだろうが、読んでみたら実に面白い本だった。
主人公の「渋川春海」は江戸時代初期の人で、碁の棋士として幕府に召し抱えられる。しかし彼は碁以外に算術、天文学、神道にも秀でた俊才で、その能力を乞われて正確な新暦作成の事業に生涯を掛ける。これがこの小説の主なストーリーです。
江戸時代というのは何となく地味で変化に乏しい時代と思っていたが、この本は読むとそれが見当違いであり、江戸時代の文化は実に多彩で幾つかの分野では世界に誇るべきものであった事を知る。
又登場人物も実在者をモデルとしており、それぞれの個性が魅力的でノンフィクションを見るような臨場感があった。時代もの小説はあまり好きで無かったが、この本は別格で一気に読み通してしまった。流石に2010年本屋大賞第1位を獲得しただけの事はあるなと実感した。