奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2000)

2022-02-13 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「最澄と徳一~仏教史上最大の対決(師茂樹著・岩波新書2021刊)」を読んだ。師茂樹(もろしげき1972生れ)氏は、早大(第1文学部)卒、東洋大学大学院(文学研究科)博士後期課程単位取得退学、博士(文化交渉学/関西大学)。現在は花園大学(文学部)教授。--------

この本「最澄と徳一」の目次は次の通り。“奈良仏教界の個性/徳一と最澄(徳一とは誰か/薄明の中の相貌/東アジアの中の最澄)”、“論争の起源と結束/2人はどう出会ったか(対立に巻き込まれる最澄/対立解決に向けた動き/徳一との接近遭遇)”、“釈迦の不在を如何に克服するか/教相判釈という哲学(守護国界章の論争を読む/教相判釈という思考方法/どのように批判したのか/最澄による三時教判批判)”、“真理の在り処を巡る角逐(問答という伝統/異なる思想どうしの対論/ブッダになれない衆生の存在証明/言葉の力)”、“歴史を書くと云うこと(創られる思想史/偶然から必然へ/歴史叙述という実践)”、“論争の光芒/仏教にとって論争とは”-------

この本「最澄と徳一」の扉の抜き刷り文は次の通り。これは問答か、謗法(ほうぼう)か。今から1200年前、天台宗の最澄と法相宗の徳一が交わした批判の応酬は、質量ともに仏教史上まれに見る規模に及ぶ。相容れない二人が、5年に亘る濃密な対話を続けたのは何故か。彼らは何をどのように語り合ったのか。真理を求める論争を解きほぐして描く、仏教史の新たな見取り図。--------

師茂樹氏は、どちらかというと徳一の味方をして、この本「最澄と徳一」を書いている。平安仏教の聖地/比叡山から発した鎌倉仏教に席巻されている、現代日本の仏教界に、南都仏教の雄/法相宗の教学を読者に知らしめて、その哲学性の深さを教えると共に形骸化している日本仏教に活を入れているのだ。

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