北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「天平の嵐/図書館劇場番外編(千田稔語りかけ/2020.5.8スタート週1回ペース/全12回収録時間各10数分)」を観た。千田稔(せんだみのる1942生れ)氏は、京大(文学部)卒、同大学院(地理学専攻)博士課程中退。追手門学院大学/奈良女子大学/国際日本文化研究センター教授を務めた。現在は日文研名誉教授、奈良県立図書情報館の館長である。歴史地理学者として著書多数。------
千田稔館長は奈良図書情報館の開館(2005)以来、2ヶ月に1回のペースで“図書館劇場”なる催しを開催してこられた。ところがコロナ禍で図書館を一時閉館する事態になった。その寂しさを紛らわすべく、千田稔氏自身がユーチューバーとなって、劇場を楽しみにしてきたファンに向けて、千田稔氏独特の語りを映像作品としてネットにアップして下さったのだ。どの回も面白い。作りは丁寧であり、字幕つきでもあり、語りの聞き取りは完璧にできる。昔の紙芝居の様でもあり、12回の視聴はあっという間にできてしまう。------
タイトルは“天平の嵐”となっているのだが、壬申の乱から説き起こして、天武天皇/持統天皇/文武天皇を経て、元明/元正/聖武天皇に至る時代を駆け足ではあるが語っているのだ。そしてその中心にあるのは奈良時代の政局を動かした天然痘の流行であり、今般のコロナ禍と酷似しているように見受けられるというのである。-------
自宅待機であったり、ネット利用の在宅勤務で、youtubeを観る人は格段に増えたことだろう。千田稔館長は早速にyoutubeを利用してこのような“天平の嵐”を配信して下さり、劇場で肉声を聴くごとく楽しませてくださるその熱意には頭が下がるのである。