奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1443)

2020-08-05 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「大阪~都市の記憶を掘り起こす(加藤政洋著・ちくま新書2019刊)」を読んだ。加藤政洋(かとうまさひろ1972生れ)氏は、富山大学(人文学部)卒、大阪市大大学院(文学研究科)博士課程修了、博士(文学)。専門は人文地理学。現在は立命館大学(文学部)教員。------

この本の章立ては次の通り。“路地と横丁の都市空間”、“大阪南北考”、“ラビリンスの地下街”、“商都のトポロジー”、“葦の地方へ”、“ミナミの深層空間”、“大阪1990”、“界隈の解体”-----

表紙の帯解説に執筆動機が書かれている。本書はこの10年間に大阪の街を歩きながら感じたこと、考えたことを元にして、現代都市としての大阪を特徴付ける場所と空間について、明治期以降の歴史性を踏まえて叙述するものである。-------

“大阪万博2025”に備えて、地理学者から見た“大阪”を新書に纏めた希少な本である。大阪北部方面の発展に寄与した“大阪万博1970”に関連する話は除外されているようであり、寧ろ、大阪南部方面の歴史を交えた話が多く書かれている。もっと言えば、江戸期から引き継いだ大阪市域の町の形成が詳しく論じられている。大阪市域のコアな歴史を知らない現在の“大大阪”に住み“大阪都構想”を目指す大阪府民に向けても、過去の大阪の偉大な歴史を地理的観点から解き明かしてくれるのである。-----

大大阪が日本の第2の首都として、未来に向けて発展の道を歩む際の、1里塚としての役割を果たしたいとの思いが、加藤政洋氏の脳裏にはあるのであろう。東京も面白いが、大阪も中々に面白いのだ。文系の学問の有用性が話題となるのだが、人文地理学の社会に果たす役割がとてもよく分かる気がする本である。この本の白眉は、大阪市が1990からの30年間で行ってきた都市計画の顛末/評価であり、先の轍は踏むなとも書いているように思えた。

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