Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「2012」(少々ネタバレあり)

2009年11月26日 | 映画
古代マヤ文明では、2012年12月21日に世界が終わると予言しているという。
その世界終末に向けて、世界各国の首脳陣によって極秘に進められる巨大船の建造と
それに乗り込もうとする人々の生き残りをかけた脱出劇。
「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」などを製作した
“ディザスタームービー”の巨匠ローランド・エメリッヒ監督の作品。
物凄い迫力の特殊効果撮影です。

大地震、大噴火、大津波、ありとあらゆる大災害がのっけから降りかかるのですが
その規模たるや都市単位、国単位というのだから凄い。
それを大画面いっぱいに見せつけられるのですが
その割に、中身がスカスカ…
登場人物たちに感情移入できない。

結局のところこの「ノアの箱舟」計画というのは、一般人には秘密裏のうちに進められ、
一人10億ユーロ(1300億円)の乗船券を買える、ごく一握りの世界の大富豪と、
各国の首脳陣のためだけの救済計画なのです。
それをたまたま知ってしまった冴えない一般人ジャクソン(ジョン・キューザック)は
自分の家族を乗り込ませるために決死の脱出劇を展開するのですが…
究極の利己主義・勝ち組思想に、中途半端な家族愛、人類愛を持ち込むものだから、見ている方はしらけてしまう。
最後の方で、巨大船のうちの一隻が地震で駄目になり、その乗船客たちが雪崩のように他の船に乗り込もうとするのを、 無視して出発するか自分たちの船に入れてあげるかというところで
科学者が人類愛を熱く語り、各国首脳が納得して結局救済するというシーンがあるのですが
それだって、10億ユーロの乗船券を買えた大富豪のうちだけの話じゃありませんか…
世界中の殆どの一般人は、今地球に何が起こっているかという事実を知らされることもなく
大災害に呑み込まれて死んでいったのですから…
世界中で何億という人々が虫けらのように死んでいったのに
ジャクソンが間一髪のところで助かったとき、それを目の当たりにした人々が
抱き合って歓喜の涙を流すシーンもおかしい。

その何万人をも乗せる巨大船の建造は、中国の奥深くでひっそりと行われるのです。
その秘密基地を初めて見た「選民」たちが
「中国にしてよかった。他の国では不可能だった」と言うシーンがあるのですが、
これ中国の人はどう観たのだろう?と疑問に思いました。
それはとりもなおさず、安価な労働力や独裁体制、言論統一のおかげだということなのでしょうから。
そうしたらやはり中国でも、この作品に対する賛否両論が起きているようです。
”映画は当局の検閲を「ノーカット」で通過した。
「国力が向上したのだから当然だ」と、素直に受け止める見方は多い。
ただ、その一方で、有名俳優がブログで「中国を描いたシーンとセリフは非友好的。むしろ、からかわれている」と反発、上映停止を提案するなど、
逆に「皮肉」と感じる観衆も少なくないようだ。”
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20091123-OYT1T01093.htm

だってその巨大船の建造に関わった中国の何万人という労働者も
その船には乗れなかったのですから…
素直に喜べないのは当然でしょう。

☆3
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする