Zooey's Diary

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「落下の王国」

2008年09月19日 | 映画
この映画、予告編やテレビのCMを観た時から、非常に気になっていたのでした。
トルコの、メヴレヴィーの旋回舞踏のシーンが入っていたのです(写真)。
(この映画のHPのトップページにも載っている)
アメリカの映画に何故、イスラム神秘主義の旋回舞踏が入るのか?
私は、どうしてもそれが気になって観に行ったようなものです。
"ザ・セル" のターセム 監督が、構想26年、撮影4年をかけて作り出したという作品。
どこまでも「落ちる」物語です。
映画撮影で陸橋から「落ち」、歩けなくなったスタントマンの青年ロイが、病院で、木から「落ち」て骨折した幼い女の子アンドレアに出会う。
ロイは失恋して絶望の底に「落ち」ており、少女に面白い話を聞かせて、自殺する為の薬を取りに行かせようとする。
ぷくぷくと太った可愛い女の子アンドレアもまた、深く傷ついて「落ち」ていた。
その現実の「落ちた」痛みが、ロイの語る物語に深く反映しているのです。

ロイの創作話、それは、子供の好奇心をくすぐる復讐劇であり、荒唐無稽なお伽話であり、壮大な叙事詩でもあります。
その背景に、世界24ヶ国以上、13ヶ所の世界遺産が使われているのです。
CGを使わないで撮影したという 世界中の絶景が、息を呑むほどに美しい。

少女の好奇心と生きる力が、いつしかロイの絶望を打ち破り、ロイが傷を乗り越えて再生していく姿を、彼が語る物語を通して描いています。
少女の傷というのは、作品中でははっきり語られないのですが
人種差別を受け、家を焼かれ、父親を殺されたのでしょうか。
そう解釈すると、この話はぐっと深みを増すのです。

難を言うなら、ロイの語る物語が、あまりに荒唐無稽すぎ、冗長すぎ。
そのせいか、期待したほどには感動しませんでした。
旋回舞踏のシーンも、美しいだけで、殆ど意味はない。
ただ、これを観たら、間違いなく世界旅行に行きたくなります。
原題は"the fall"というのです。
この邦題は、珍しくよくできていると思いました。

☆3

「落下の王国」
コメント (2)
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