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新国立小劇場「デカローグ5・6」

2024-05-22 11:14:42 | 演劇
5月21日(火)の昼に新国立小劇場で「デカローグ」を見る。「デカローグ」は10話からなるので、その5番目と6番目。来月は7~10話となる。平日の昼間だったが、客席は9割程度埋まっていた。

「デカローグ」とは「十戎」の事だから、各エピソードはそれぞれの戒律に対応している。今回の5話は「ある殺人に関する物語」で、これは「汝、殺すなかれ」に対応しているのはわかりやすい。田舎の村に居づらくなった19歳の青年が都会で暮らすが、居場所がなく、タクシー強盗を働き運転手を殺してしまう。弁護についたのは新米弁護士で、死刑反対論者だが、青年は結局死刑になってしまう。芝居の冒頭に、「死刑制度というのは、犯罪の抑止のためではないのか?そうでなければ、単なる犯罪に対する報復になってしまう。抑止の点でほかの手段はないのか?」と弁護士は悩む。

一ひねりした問題設定で面白いが、殺人場面をリアルに演じるのは感心しない。主題はそこではないだろう。テレビ映画だとそうした映像表現もあると思うが、演劇だったら、もっと台詞に重点を置いた方がよいのではと感じた。

第6話は「ある愛に関する物語」。これは「汝の隣人を愛せ」に対応するのだろう。郵便局に勤める内気な青年が、友人の母の家に下宿して、隣のアパートの若い魅力的な女性を望遠鏡で除く話。まるでヒッチコックの「裏窓」のようだ。女性は男出入が多く、次から次へと男性が訪れて情事を重ねる。男性は思い切った手段で女性に近づくが、女性から「何が望みか」と聞かれて「ただ愛している」と答える。女性は彼も部屋に連れ込んで相手をしようとするが、青年は傷ついて自殺を図る。それを見た女性は「真の愛」があることに気付くが、彼の住まいをたずねると、友人の母親から、「彼の面倒は私が見るので、構わないで」と断られてしまう。これも、十戎の意味が一ひねりされていて面白かった。

残りのエピソードもどのように料理しているのか、楽しみになった。

帰りがけにスーパーで買い物して家で食事。ほうれん草のお浸し、米ナスの田楽、さつま揚げ、タイ飯、わかめスープなど。純米大吟醸を飲む。

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