LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

講演会で発表された手記Ⅰ

2007年10月24日 | Weblog
☆今日から2回に分けて、13日の講演会で発表していただいた当事者の方お二人の手記をご紹介いたします。不特定多数の市民が参加する講演会での発表は、大変な勇気のいることだったと思いますが、快く引き受けてくださり、堂々と発表してくださいました。
アンケートの中には「当事者の方の体験発表は胸を打つものがありました。・・・なかなか語りにくいことをお聞かせいただき、ありがとうございました」「もっと当事者の話が聞きたい」という声もありました。

まずはじめにレズビアンの方の手記からご紹介いたします。彼女の「社会にまだ偏見は残っていても、まっすぐに生きていれば理解してくれる人は必ず現れる」という言葉は胸に響きました。そして「勇気」が必要というところも・・。多くのことを学ばせていただきました。本当にありがとうございました。




皆さん、こんにちは。

まず簡単に自己紹介をしますと、私は23歳のレズビアンで、
公務員として裁判所に勤務しております。
交際して約3年になるパートナーがいたんですが、
つい三日前に振られたばかりでして、
この講演の後別れ話をしに行くという
結構ハードな状況なんですけども、頑張ってお話したいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。


私が同性愛者であることを自覚したのはまだ6歳の頃でした。
世間の大多数は異性愛者であることもまだ知らないまま、
何気なく好きな子の名前を母に言ってしまったんですね。
すると母は何と「こいつレズやー」と叫びました。
その時初めて私は「え、自分は普通と違うんだ」と知ったわけです。
これが人生初の、しかも親へのカムアウトでした。
しかし母は実はほとんど偏見のない人でして、その後は
私のセクシャリティをすんなり受け入れてくれました。
親にカムアウトしたら号泣されたという話をよく聞きますが、
この点私は非常に恵まれていたようです。

その後私は学生時代も、社会人になってからも
全く自分のセクシャリティを隠さず生活してきました。
私は同性愛者としてはかなり特殊な部類といいますか、
少々危険を負ってでも自分をさらけ出して生きたかったんですね。
確かに理解のない人もたまにはいましたが、
私を受け入れ、共感してくれる友人たちも周りには沢山いましたから、
私は一人ではなかったんです。
社会の偏見はまだ残っていても、
まっすぐに生きていれば必ず理解してくれる人は現れる、
と私は経験から悟りました。

またその数年後、初めてちゃんとした恋人もできました。
まぁそれが先日振られた人なんですけども。
私は彼女から色々な話を聞き、大きな影響を受けました。
彼女は私と違って、同性愛者であることで
今まで相当苦労してきた人なんですね。
彼女から、自分が同性愛者である事を受け入れられず苦しんだ過去や、
カムアウトができず自分を隠して生きざるを得ない現状など、
生の声を間近で聞くうちに、私のように楽観的に生きているLGBTは
一握りにすぎないんだと改めて思い知らされました。
そして、この現状を変えるために
自分も何かがしたいと強く望むようになりました。
その一つが、今日ここでこうしてお話することだったわけです。

この現状を打破するために最も大事な事は何かと考えたとき、
私はある事に思い至りました。

それは、一歩を踏み出す勇気です。
例えば仮に、あなたが同性愛者や性同一性障害の人を
気持ち悪いと感じてしまったとします。
そしたらそれで終わってしまわずに、そう思うのはなぜだろう、
実際に彼らと話してみたらどんな感じだろう、と考えてほしいんですね。
話してみたら、彼らが自分と変わらない同じ人間であること、
つまり同性が好きか異性が好きかというのは、
お寿司が好きかカレーが好きか、という程度の違いにすぎないことが
分かってくるはずですから。
もし皆さんがこの先ご友人やお子さんからカムアウトされたときは、
どうか彼らと向き合って言葉を交わして下さい。
そして「言ってくれてありがとう」と言ってあげて下さい。
彼らがカムアウトするのは、あなたを信頼している証拠だからです。

また勇気が大切というのは当事者にとっても言えることで、
カムアウトして失うものよりも得る物の方がずっと大きいと私は
思うんですね。それはかけがえのない仲間だったり、
自分を解放できる喜びだったりします。
もしここに当事者の方がおられたら、慎重に、しかし勇気を持って
一歩を踏み出してみて下さいと伝えたいです。
あなたが信じる人はあなたを決して裏切りませんと。

いつか「あなたのセクシャリティは?」という質問が
「どんな食べ物が好きですか?」という質問と同じくらい
自然に交わされる、そんな世の中になる事を願って、
このお話を終わらせて頂きます。
ありがとうございました。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする