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20211214 小説「逃亡者」感想少し

2021-12-14 15:11:01 | 本の要約や感想

20211214
画像は練馬ミヤモトファームの農家カフェ

先日、小説「悪人」の感想を書いたが、今日は折原一さんの「逃亡者」の感想を少し。

話は、ある主婦が殺人事件の被疑者となり全国を逃げ続けるというもの。

これは実際にあった15年目の時効あと一か月というところで逮捕された福田和子の事件の構図を少し借りている。

けっこうな長編だったが時間があれば一気に読める文章で、98パーセントは面白い。私は推理小説はめったに読まないがこれは結末以外は楽しめた。

結末はちょっと奇抜が過ぎてリアリティに欠けるような気がした。
時間をかけて読んだわりには何も残らないといった読後感だった。

しかし犯人の女性が全国を逃げ回り、各地で2,3年ずつの目立たない暮らしをするのだが、その描写にはリアリティがあってよかった。実際に行って見て歩いたんだろうなということがよくわかった。ロードムービー的サスペンスドラマといえば近いのかもしれない。昼にテレビでやりそうな。

犯人の女性が東北に暮らしている時に恐山に行く場面があるのだが、私は恐山なんか行きたくないな。イタコとか口寄せとか怖いよ。私の恐山に対するイメージは昔古本屋で見たかもしれない「アサヒグラフ恐山特集」みたいなおそらく50年前くらいのものなので、賽の河原にやたら小さい老婆が白装束でいそうな雰囲気が頭に浮かぶ。今はどうなのか。気の利いたカフェでもあるのか。

話が変わるが、今年亡くなった歌手のジェリー藤尾さんの伝記のような本をだいぶ前に読んだことがあり、それによると彼の父は日本人、母はイギリス人で上海に生まれ、戦後に来日した。

敗戦直後につき裕福ではない外国人は差別をされたようで、母は若くして亡くなり、ジェリーは順調にぐれて新宿に出てはケンカに明け暮れる毎日だったが、ある時からバンドボーイとなり、歌を歌い、ルックスの良さもありテレビや映画に出るようになった。

この人は今では知る人も少なくなってきたが素晴らしい人で、実に男らしい。その男らしさが節目節目で仇になったことも多々あったような気がする。

それでジェリーさんの本は彼の人生を独白するといった内容だったが、ほとんど私は忘れてしまった。しかしその中に彼が恐山に行ったことが書いてあり、やっぱり何か深い体験をしたようで、そのことだけを私は憶えている。

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