夢の羅列<中野マイム> ※最終回
つづき。
ガラス扉の棚の上に真ん丸い水槽を私は見つけた。
真ん丸い水槽。
普通ならそこにはだいたい金魚が一匹二匹入っているような水槽である。
しかし私が見たのは金魚ではなかった。何か。
何といえばいいのだろうか。一番近いのは、
あれか。マリモか。
あの苔の玉みたいな、北海道に生息するやつ。
いやしかし私が見たのはマリモではなかった。なんというか、
スライムをご存知だろうか。緑のゲル状の、
端的にいうと、足のないクラゲみたいな、もっというと、
火星人のゲロみたいな、カテゴリーでいうと、あれは玩具か。
私のいうリアルのスライムと、ゲームキャラクターのスライムとは
感じる質感が違う。
キャラクターのスライムは、ぷるんと水まんじゅうみたいだが、
玩具の、たしか湯を加えて作るスライムは、つまり、もう一度書くが、
緑色のゲロみたいだ。
まあいいか。スライムをこんなに説明しても仕方がない。
そのスライムとマリモのハーフのような質感の「丸い何か」が、
水槽にいくつも重なって沈んでいた。
どれもくたぁーっとして、ダレた感じで重なっていた。
水槽は大きくはなく、直径で20センチほどか。ポンプなどはない。
部屋の中にはもうひとつ大きな水槽があるのだが、
その水槽のポンプは「ポコポコ」とけっこう大きな音がした。
私はもうこれしか話しの糸口はないと思い、
指をさしながら、「あれは……」とつぶやいた。
それにチョビ髭が反応した。
「あれか。あれは中野マイムだよ。知らないのか」
「!?」
(何だ、中野マイムって。)
中野で採れるマイムか。しかし、
マイムといえば、あのダンスのマイムしか思い浮かばない。
中野といっても、湖はないし、川はそんなにきれいでもないし。
私は混乱した。
マイムマイム、マイム。
その時、私は重大なことに気がついた。
オレはトイレに行きたいのだった。
ある種の寸前なのであった。
ひとつの限界なのであった。
けっこう長く引っ張った挙げ句、ここで何の意味も結論も、そして、
まったくの活劇アクションも笑いも残さずに終わるのは申し訳ないのだが、
私は一気に目が覚めた。
大きく息を吸って吐いた。
窓からはすぐ近くの家の池のポンプの音が聞こえてきた。
鯉が飼われているのである。
そしてトイレに行った。
終わり。
次回は、「フィリピーノ茶漬け。そしてまたトイレを探す」の巻。
つづき。
ガラス扉の棚の上に真ん丸い水槽を私は見つけた。
真ん丸い水槽。
普通ならそこにはだいたい金魚が一匹二匹入っているような水槽である。
しかし私が見たのは金魚ではなかった。何か。
何といえばいいのだろうか。一番近いのは、
あれか。マリモか。
あの苔の玉みたいな、北海道に生息するやつ。
いやしかし私が見たのはマリモではなかった。なんというか、
スライムをご存知だろうか。緑のゲル状の、
端的にいうと、足のないクラゲみたいな、もっというと、
火星人のゲロみたいな、カテゴリーでいうと、あれは玩具か。
私のいうリアルのスライムと、ゲームキャラクターのスライムとは
感じる質感が違う。
キャラクターのスライムは、ぷるんと水まんじゅうみたいだが、
玩具の、たしか湯を加えて作るスライムは、つまり、もう一度書くが、
緑色のゲロみたいだ。
まあいいか。スライムをこんなに説明しても仕方がない。
そのスライムとマリモのハーフのような質感の「丸い何か」が、
水槽にいくつも重なって沈んでいた。
どれもくたぁーっとして、ダレた感じで重なっていた。
水槽は大きくはなく、直径で20センチほどか。ポンプなどはない。
部屋の中にはもうひとつ大きな水槽があるのだが、
その水槽のポンプは「ポコポコ」とけっこう大きな音がした。
私はもうこれしか話しの糸口はないと思い、
指をさしながら、「あれは……」とつぶやいた。
それにチョビ髭が反応した。
「あれか。あれは中野マイムだよ。知らないのか」
「!?」
(何だ、中野マイムって。)
中野で採れるマイムか。しかし、
マイムといえば、あのダンスのマイムしか思い浮かばない。
中野といっても、湖はないし、川はそんなにきれいでもないし。
私は混乱した。
マイムマイム、マイム。
その時、私は重大なことに気がついた。
オレはトイレに行きたいのだった。
ある種の寸前なのであった。
ひとつの限界なのであった。
けっこう長く引っ張った挙げ句、ここで何の意味も結論も、そして、
まったくの活劇アクションも笑いも残さずに終わるのは申し訳ないのだが、
私は一気に目が覚めた。
大きく息を吸って吐いた。
窓からはすぐ近くの家の池のポンプの音が聞こえてきた。
鯉が飼われているのである。
そしてトイレに行った。
終わり。
次回は、「フィリピーノ茶漬け。そしてまたトイレを探す」の巻。