夢の羅列<階段>
夢の中で、
薄暗い住宅街の道を歩いていたら、
対向車が急に左折を始め、私の進行方向を塞ごうとした。
車の右フェンダーあたりと私とが「おっと」という感じになり、
危なかったので、私は運転手を睨んだ。
どうやらインド系が濃い顔立ちであった。
すぐに下がるかと思ったら車はジリジリと曲がってきたから、
私もさらに気分を害し、開いた窓ごしに文句を言おうとすると、
ハンドルを握った男は臨戦態勢というより、ひどく不安そうな面持ちで、
なんだか車のコントロールがうまく出来ないのか、
私の方などまったく見ずに悪戦苦闘している様子だった。
おいおい、ただ左に曲がるだけなのに。
私は、これは危ないな、と思い、すぐに私の方から下がり、車を迂回した。
その後何回か振り返ってみたが、
その度に車は何度も切り返しをしていて、しかし曲がれずにいた。
しばらく歩くと家に着いた。
家というよりも、アパートだった。
木造の洋館で、敷地は広くはなかったが、上に高かった。
玄関から入ると建物の真ん中が吹き抜けの階段で、
軋む音を聞きながら上がっていくと、
吹き抜けの両側にそれぞれ小さな部屋が階ごとに造られていた。
本当に小さい部屋だった。
4畳半、もしくは3畳ほどしかないようだった。
部屋の造りの変わっている点は、どの部屋も吹き抜け側が壁ではなく、
一面大きなガラス張りになっていることだった。
私が階段を上がる途中、
見上げた2階の西側の部屋の住人であろう女の影が家具の合間に見えた。
帰宅したばかりなのか影は動き回っていて、まだ落ち着かない雰囲気があった。
ふーん、狭そうだな。
などと思いながら階段を折り返し今度は反対の東側を見ると……、
真正面に全面ガラスだから目に入らざるを得ない。
……見ると若い男が寝ていた。
階段を2階に上がり切るとよく見えた。
こちらも同じく狭い部屋で、
古風に雑然とした部屋の真ん中に木製のベンチが置かれ、
痩せた男はそこに横になっていた。
そんなに若くもないか。
だいぶ疲れている様子だ。ぐっすりと寝ている。
よく寝て、疲れが取れればいいのだが。
そう思いながら私は階段をさらに上がっていくのだった。
やっぱり軋む音を聞きながら。
End
夢の中で、
薄暗い住宅街の道を歩いていたら、
対向車が急に左折を始め、私の進行方向を塞ごうとした。
車の右フェンダーあたりと私とが「おっと」という感じになり、
危なかったので、私は運転手を睨んだ。
どうやらインド系が濃い顔立ちであった。
すぐに下がるかと思ったら車はジリジリと曲がってきたから、
私もさらに気分を害し、開いた窓ごしに文句を言おうとすると、
ハンドルを握った男は臨戦態勢というより、ひどく不安そうな面持ちで、
なんだか車のコントロールがうまく出来ないのか、
私の方などまったく見ずに悪戦苦闘している様子だった。
おいおい、ただ左に曲がるだけなのに。
私は、これは危ないな、と思い、すぐに私の方から下がり、車を迂回した。
その後何回か振り返ってみたが、
その度に車は何度も切り返しをしていて、しかし曲がれずにいた。
しばらく歩くと家に着いた。
家というよりも、アパートだった。
木造の洋館で、敷地は広くはなかったが、上に高かった。
玄関から入ると建物の真ん中が吹き抜けの階段で、
軋む音を聞きながら上がっていくと、
吹き抜けの両側にそれぞれ小さな部屋が階ごとに造られていた。
本当に小さい部屋だった。
4畳半、もしくは3畳ほどしかないようだった。
部屋の造りの変わっている点は、どの部屋も吹き抜け側が壁ではなく、
一面大きなガラス張りになっていることだった。
私が階段を上がる途中、
見上げた2階の西側の部屋の住人であろう女の影が家具の合間に見えた。
帰宅したばかりなのか影は動き回っていて、まだ落ち着かない雰囲気があった。
ふーん、狭そうだな。
などと思いながら階段を折り返し今度は反対の東側を見ると……、
真正面に全面ガラスだから目に入らざるを得ない。
……見ると若い男が寝ていた。
階段を2階に上がり切るとよく見えた。
こちらも同じく狭い部屋で、
古風に雑然とした部屋の真ん中に木製のベンチが置かれ、
痩せた男はそこに横になっていた。
そんなに若くもないか。
だいぶ疲れている様子だ。ぐっすりと寝ている。
よく寝て、疲れが取れればいいのだが。
そう思いながら私は階段をさらに上がっていくのだった。
やっぱり軋む音を聞きながら。
End