日本正教会 東京復活大聖堂教会
(住所:東京都千代田区神田駿河台4-1-3)
(住所:東京都千代田区神田駿河台4-1-3)
7月13日(土)、正教会の東京復活大聖堂(通称ニコライ堂)で徹夜祷(主日前晩祷)に参祷した。主日や祭日の前夜に行われる徹夜祷(晩祷)とは、時課(注)の晩課・早課・一時課を組み合わせ、翌日の聖体礼儀に備える奉神礼のこと。古くは夜を徹しての大儀式だったが、この日のニコライ堂での徹夜祷は約2時間15分ほどであった(実際に徹夜はしない)。なお、ラフマニノフの有名な「晩祷」は、この徹夜祷の典礼音楽であり、ロシア正教聖歌の神髄ともいうべき傑作(と思う)。
「君や祝讃せよ」。まだ日が高い午後6時、徹夜祷の始まりを告げる輔祭(助祭)の高誦と共に、ダニイル府主教、仙台のセラフィム大主教が厳かに入堂。この日は日本正教会の大きな会議(全国公会)が開催されたらしく、聖所内にカミラフカ(円筒型の帽子)を戴く多くの神品(聖職者)の姿を見かけた。天井の照明が落とされ、第一部の晩課が始まった。聖堂内は献燈台の蝋燭の火だけが輝く神秘的な世界になった。連祷と誦経(しょうけい)が繰り返され、聖歌の美しい調べが響き渡る。
セラフィム大主教の司祷(司式)で第二部の早課が始まった(ようである)。ここでも連祷と誦経が繰り返された。「ポリエレイ」という聖歌が流れると、再び聖堂内の灯りがともされ(多油祭)、やがて福音経の誦読となる。私はこの辺から徹夜祷の式順を見失い、「迷子」になってしまった。延々と続く連祷と誦経。「生神女小讃詞(聖母賛歌)」が流れたので、最後の一時課が終わりに近づいてきたらしい。それにしても、荘厳な徹夜祷の「宗教的恍惚感」は筆舌に尽くし難いほどであった。<続く>

夜の大聖堂入口
“ 主は神なり、我等を照らせり・・・ ”
(注):一日を3時間ごとに区分した祈祷の日課(聖務日課)。晩課・晩堂課・夜半課・早課・一時課・三時課・六時課・九時課の8つ。「時課の内容としては、主に聖詠(詩編)を読み、祈祷文を歌ったり読んだりする構成となっています」(日本正教会公式サイトより)。
◆主な参考文献・CDなど:
・「ギリシア正教入門」 高井寿雄著(教文館・1980年改版)
・「ギリシャ正教」 高橋保行著(講談社学術文庫・1980年)
・CD「ラフマニノフ:晩祷」 ミーニン指揮/国立モスクワ合唱団(Arts Core:ATCO-1005)