三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

復活節第2主日の聖餐式

2014年04月30日 | 聖公会の礼拝
日本聖公会 聖アンデレ教会
(住所:東京都港区芝公園3-6-18)

4月27日(日)、聖アンデレ教会(日本聖公会)で復活節第2主日の聖餐式に参列した。ご復活から8日目の主日を迎えた。午前7時30分、司祭団が厳かに入堂。大畑喜道主教は主教冠を戴き、牧杖を手にされている。福音朗読は、復活したイエスが弟子たちに現れた場面(ヨハネ20・19-31)。後半に登場するトマスの姿は、カラヴァッジョの名画「聖トマスの不信」(1599年頃)が有名だ(わき腹の御傷に指を差し込んでいる!)。トマスは「聖母被昇天」でも「見たから信じた」姿で描かれている。

笹森田鶴司祭は、「弟子たちは家に隠れ、不安に苛まされていました。そこにイエス様が現れて、『平和があるように』と言われました。それは、私たちを死や孤独の恐れから解放する宣言だったのです。さらにイエス様は復活という出来事を通して、私たちに『信じる』ということを教えられました。トマスが『わたしの主、わたしの神よ』と言ったように、『信じる』とはイエス様のよみがえりという関係の中で、今の私たちが生きていくこと。それを受け止めることが『信じる』ということなのです」と話された。

退堂聖歌「あまつ神の子ら」を歌う。先週の復活日に歌われた「ほろぶるものを」と共に、この喜び溢れる聖歌は復活賛歌の定番として知られ、18世紀ドイツのヴュルテンベルク公国の宮廷付カトリック礼拝堂で編纂された聖歌集(1784年)が初出と見られている(歌詞はダマスコの聖イオアン)。これが英米に伝えられ、現在ではドイツ本国よりも愛唱されている。キングス・カレッジ聖歌隊のCDで聴いてみよう。“The day of resurrection!Earth, tell it out abroad(復活日!地はそれを遍く告げよ)...”


聖アンデレ教会、聖堂入口のイースターの飾り
“ トマスの迷いも 晴れわたりて・・・(聖歌184) ”

◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲は読誦。入堂聖歌:166「救いの主は ハレルヤ」、奉献聖歌:181「主 生きたまえば」、退堂聖歌:184「あまつ神の子ら」。(番号は「日本聖公会聖歌集」による)

◆主な参考文献・CDなど:
・「鑑賞のためのキリスト教美術事典」 早坂優子著(視覚デザイン研究所・2011年)
・CD「キングズ・カレッジ合唱団の讃美歌集」 合唱:キングズ・カレッジ聖歌隊(London:POCL-5070)
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復活日(Easter Sunday)の聖餐式

2014年04月25日 | 聖公会の礼拝
立教学院諸聖徒礼拝堂の復活のろうそく
(住所:東京都豊島区西池袋3-34-1)

4月20日(日)、立教大学チャペル(日本聖公会)で復活日の聖餐式に参列した。昨年の降誕日(日中のミサ)と同じく、この日もハイ・マスによる荘厳な唱詠聖餐式(歌ミサ)だった。既にチャペル内は超満員。午前10時、振り香炉と十字架、トーチ隊(ろうそくを捧持する6名の侍者)を先頭に、司祭団が厳かに入堂。五十嵐正司主教(立教学院チャプレン長)は主教冠を戴き、司祭はビレッタ(四角い黒色の帽子)を被りながら、鮮やかなコープ(マントのような祭服)をお召しになっている。

入堂聖歌は「ほろぶるものを」。この不滅の復活賛歌を伴奏するパイプオルガンの響きに、華麗な金管合奏とティンパニとが加わって、チャペルはいきなり賛美の最高頂点に達した。そして、乳香の煙、アコライト(侍者)の美しい所作、「天使ミサ」のキリエ、聖歌隊が奉唱するラテン語聖歌、ハンドベルの澄んだ音色。この日は聖書も独特の節回しで朗唱された。まさに西方教会の粋を集めたような大礼拝は、ヴィクトリア朝時代のウェストミンスター寺院に於けるそれを彷彿とさせた(?)。

福音朗読は、イエスの墓が空になった場面(ヨハネ20・1-10)。五十嵐主教は「イエスの復活を信じて、喜び伝えること。これがキリスト教独自のメッセージです。そして、イエスのように人を愛する生き方をした時、私たちの人生も違った歩みとなるでしょう」と話された。礼拝後、さゆり会(立教チャペルの日曜学校)からイースター・エッグのプレゼント。それにしても、聖なる歓喜がほとばしるような「荘厳ミサ」だった。謹んで主のご復活をお慶び申し上げます。Jesus Christ is risen today, Alleluia!


復活日を迎えた立教大学モリス館
“ わがきみイェスの よみがえりにし・・・(聖歌159) ”


立教通りの古書専門店・夏目書房
(住所:東京都豊島区西池袋3-31-7)

<付記>
礼拝後、立教通りの古書専門店・夏目書房(上写真)に寄った。この辺りでは喫茶カーメル、理容オリオン、スミタ帽子店(立教各校の制帽・記念ペナント)などと共に、私の学生時代からの「老舗」として健在である。この日はペトロ・ネメシェギ神父の『キリスト教入門』(南窓社・1993年5刷)を入手。本書は大学の一般教養課程での「キリスト教概論」などのテキストになり得る分量だ(約400頁)。私も新入生のような初々しい気分で、本書からキリスト教の根本思想を丁寧に学び直そう。

◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲1(キリエ、大栄光の歌、サンクトゥス、アニュス・デイ)、参入唱(金管合奏):「This joyful Eastertide」(エヴァンズ編)、入堂聖歌:159「ほろぶるものを」、昇階唱(聖歌隊奉唱):ラテン語聖歌「Victimae paschali laudes(復活のいけにえに)」、続唱聖歌:176「あまつ神の子ら」、奉献アンセム(聖歌隊奉唱):「Exsultet」(モーガン)、奉献聖歌:167「戦い終わりて」、陪餐アンセム(聖歌隊奉唱):「Ye choirs of new Jerusalem」(スタンフォード)ほか、陪餐聖歌:185「あかつきの光」、派遣聖歌:163「たたえよ 天使 聖徒らよ」。(番号は「日本聖公会聖歌集」による)

◆主な参考文献・CDなど:
・「聖歌のしらべ 古今聖歌集作曲者略解」 佐藤裕著(聖公会出版・1987年)
・CD「BEST HYMNS 100」 合唱:ケンブリッジ・キングス・カレッジ聖歌隊ほか(EMI:0 97563 2)
<本CDに収録されたキングス・カレッジ聖歌隊による「ほろぶるものを(Jesus Christ is risen today)」の歌声が素晴らしい。そして、有名なフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルがパイプオルガンと「共演」した伴奏も聴きどころである>
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復活前夜礼拝(イースター・ヴィジル)

2014年04月22日 | 聖公会の礼拝
聖土曜日を迎えた立教大学モリス館
(住所:東京都豊島区西池袋3-34-1)

4月19日(土)、立教大学チャペル(日本聖公会)で復活前夜礼拝(イースター・ヴィジル)に参列した。「主イエス・キリストのご復活を祝う礼拝は、聖土曜日の夕刻のイースター・ヴィジル(Vigil。終夜の礼拝)から始められます。教会暦による一日の始まりは日没からだからです」(『私たちと礼拝』から要約)。聖餐式は行われないが、夕の祈りのように聖書のみ言葉を味わいながら、日没という神秘的な雰囲気の中で、「主イエス・キリストの死への勝利に与る主の過越の夜」を祝うのである。

午後6時、ヴィジルは第一部「光の礼拝」で始まった。暗闇の礼拝堂の中央で、新しい火と復活のろうそくの祝別が行われ、会衆が手にするろうそくにも火が灯された。司祭は復活のろうそくを高く掲げ、「キリストの光」を朗唱しながら祭壇に進む。この流れはカトリックの復活徹夜祭に於ける光の祭儀を思わせる。ろうそくが聖卓前に安置されると、司祭と会衆は次のように応唱した。「ハレルヤ、キリストはよみがえられた」「キリストは本当によみがえられた」。ここで「復活の賛美」を力強く歌う。

照明が点灯され、第二部「み言葉の礼拝」となる。旧新約聖書の朗読を通して、神の救いの御業、また御子が救い主として遣わされた神秘を黙想。市原信太郎司祭は、「『恐ろしかった』(マルコ16・8)という復活は喜びの光となりました。今宵の礼拝でろうそくが次々に灯されたように、それは全世界を遍く照らします」と話された。第三部「洗礼の約束の更新」を経て、第四部「夕の礼拝」。約10分間、跪きながらの大連祷である。明日のハイ・マス(荘厳ミサ)に向けて、私の心は悉く浄化された。


ご復活の灯りが洩れる立教学院諸聖徒礼拝堂
“ 死にて死に勝たれし よみがえりの主よ...(聖歌171) ”

◆復活前夜礼拝の聖書朗読個所、及び聖歌:
第一部:「復活の賛美」、第二部:第1朗読(創世1・1、26-31a)、第2朗読(創世22・1-2、9-13、15-18)、第3朗読(出エジ14・15-31)、第4朗読(ローマ6・3-11)、聖歌171「小羊の宴に」、第5朗読(マルコ16・1-8)、第三部:聖歌513「主よ わが身をとらえたまえ」、第四部:聖歌172「あの時のように」、オルガン後奏:「Valet will ich dir geben(われ汝に別れを告げん)」(バッハ)。(聖歌番号は「日本聖公会聖歌集」による)

◆主な参考文献など:
・「私たちと礼拝」 竹内淑子、竹内謙太郎共著(聖公会出版・2003年)
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神田キリスト教会(日本聖公会)

2014年04月19日 | 聖公会の教会
日本聖公会 神田キリスト教会
(住所:東京都千代田区外神田3-5-11)

4月16日(水)、神田キリスト教会(日本聖公会)で、ランチタイム・パイプオルガン・コンサートを聴いた。JR秋葉原駅で下車。すっかり「オタクの街」に変容したアキバだが、私のような元オーディオ少年にとっては、かつての「聖地」であった。ことに足繁く通ったのは、石丸電気のCD専門館(3号店)である。ここで貴重な掘り出し物を探していたのが懐かしい。しかし、オーディオの全盛期は過ぎ去り、石丸電気も昨年3月に閉店。今や美少女アニメが往時の電気街を席巻している。

神田キリスト教会の沿革をおさらいしよう。「1877年10月、米国聖公会から派遣されたクーパー宣教師、ブランシェー宣教師によって、ウィリアムズ監督(主教)臨席のもと献堂されました。その後、関東大震災、第二次世界大戦などの幾多の困難にもかかわらず、現在に至っています。1991年には、神田地域の人々に支えられて、現代にふさわしい素晴らしい聖堂が与えられ、1997年には、オランダのライル社製のパイプオルガンが設置されました」(神田キリスト教会案内書より)。

神田キリスト教会のランチタイム・パイプオルガン・コンサートは、毎月第3水曜日に行われている(入場無料)。この日の聴衆は約80名ほど、演奏は神田キリスト教会主任オルガニストの和田純子さん。プログラムに記されたプロフィールによれば、和田さんはウィーン国立音楽大学で学ばれ、海外でのコンクール入賞・入選もあるという。お昼休みの約30分間、バッハのスケールの大きなオルガン曲を堪能することができた。神に感謝しよう。この日は聖週間の復活前水曜日だった。


聖堂内観(1991年竣工)


聖と俗の交錯。秋葉原の街角で。

◆第200回「ランチタイム・パイプオルガン・コンサート」演奏曲目(全てJ・S・バッハ作曲):
トッカータ ニ短調(BWV.913)、天にまします我らの父よ(BWV.682)、前奏曲とフーガ ロ短調(BWV.544)。
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復活前主日(棕櫚の主日)の聖餐式

2014年04月17日 | 聖公会の礼拝
1918年竣工の立教学院諸聖徒礼拝堂
(住所:東京都豊島区西池袋3-34-1)

4月13日(日)、立教大学チャペル(日本聖公会)で復活前主日(棕櫚の主日)の聖餐式に参列した。この日から聖週間が始まり、主のエルサレム入城を記念して、シュロの行列行進が行われた。午前10時、チャペルの外でシュロの祝別の祈り(下写真)が捧げられた後、十字架捧持のアコライト(侍者)を先頭に、聖歌隊と会衆は「ユダのわらべの」を歌いながら入堂。昨年の記事でも触れたが、この聖歌はバッハの「ヨハネ受難曲」にも登場するテシュナー(1584-1635年)作曲の名コラールである。

ページェント形式の受難朗読(マタイ27・1-54)の後、市原信太郎司祭(立教池袋中学・高校チャプレン)は「イエスを十字架につけたのは、イエスを王であると言っていた私たちに他なりません。そして、人々が罵っても、イエスは殆ど口を開かず、十字架から降りなかった。だからこそ、イエスは神の子であり、そこに私たちの救いがあります。それらのことを、本日の福音書は明確に伝えています」と話された。私も「罵った者」の一人だろう。2年前の枝の主日、稲川圭三神父のお説教を思い起こした。

この日の聖書朗読(劇)はマタイによる「受難物語」だった。そこで、バッハの「マタイ受難曲」の該当箇所(第2部の第41曲から)を聴いてみた。「Lass ihn kreuzigen!(十字架につけろ)」の痛切な合唱、そしてハスラー(1562-1612年)作曲の「おお、血と傷にまみれし御首(みかしら)」の肺腑をつくようなコラールが圧巻である。ちなみに、ハスラーのこの旋律は「受難のコラール」の王座を占め、バッハの「マタイ受難曲」では5回も登場。現行版の『日本聖公会聖歌集』にも収録されている(第145番)。


チャペルの外でシュロの祝別の祈りを捧げる
“ ユダのわらべの ほめしイェスに・・・(聖歌137) ”

◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲譜3・新版(サンクトゥス、アニュス・デイ)、入堂聖歌:137「ユダのわらべの」、続唱聖歌:147「裏切り者おまえは」、奉献アンセム(聖歌隊奉唱):「Solus ad victimam」(レイトン作曲)、奉献聖歌:150「父よ彼らを赦したまえ」、陪餐アンセム(聖歌隊奉唱):「There is a green hill」(サムション作曲)・「Wilt thou forgive」(ヒルトン作曲)、陪餐聖歌:257「血しおを流し」、派遣聖歌:151「み国の来る時に」。(番号は「日本聖公会聖歌集」による)

◆主な参考文献・CDなど:
・「聖歌のしらべ 古今聖歌集作曲者略解」 佐藤裕著(聖公会出版・1987年)
・CD「バッハ:ヨハネ受難曲」 ガーディナー指揮/モンテヴェルディ合唱団(Archiv:POCA-2522/3)
・CD「バッハ:マタイ受難曲」 レオンハルト指揮/テルツ少年合唱団(harmonia mundi:BVCD-3001/03)
・CD「BEST HYMNS 100」 合唱:ケンブリッジ・キングス・カレッジ聖歌隊ほか(EMI:0 97563 2)
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