三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

三位一体主日の聖餐式

2013年05月28日 | 聖公会の礼拝
ツタの若葉に覆われた立教大学モリス館
(住所:東京都豊島区西池袋3-34-1)

5月26日(日)、立教大学チャペル(日本聖公会)で三位一体主日の聖餐式に参列した。復活節第5主日に続き、図書館旧館2階の仮チャペルに向かう。この日、ようやく私は閲覧室時代の「指定席」を確保。窓越しに見える風景が懐かしかった。午前10時、振り香炉と行列用十字架を先頭に、司祭団が厳かに入堂。なお、このプロセッション(入堂行列行進)で、振り香炉、十字架、蝋燭を捧持するアコライト(侍者)を、それぞれサリファー、クロスベアラー、トーチベアラーと呼ぶ。

入堂聖歌「聖なる 聖なる」を歌う。ダイクス(注)作曲の「英国聖歌中の珠玉の秀歌」で、キングス・カレッジ聖歌隊のCDを通してご存じの方も多いと思う。ダイクスはS・ウェズレー、モンクらと共に、19世紀英国の代表的な聖歌作曲者である。私も不協和音を顧みず熱唱(?)。さて、この日の福音朗読はカトリックの三位一体の主日と同じ箇所。説教は立教小学校のチャプレンが担当されたが、「真理」の説明にかなり四苦八苦されていたようだ。私の鈍い頭は混乱してしまった。

礼拝後、この日もキャンパスを散策した。モリス館前の道を西へ進むと、緑のトンネルのような並木道に入る。これが歌手・灰田勝彦氏の名唱で親しまれた「鈴懸の径(すずかけのみち)」である。1942年の流行歌だが(この年、ミッドウェー海戦大敗)、戦時中とは思えない抒情歌の傑作である。私は立教を去ってから、倍賞千恵子さんの歌で「鈴懸の径」を聴く機会があった。「友と語らん 鈴懸の径。通いなれたる 学舎(まなびや)の街・・・」。あの頃に戻って、やり直せたらと思う。


池袋キャンパスの鈴懸の径(すずかけのみち)
“ やさしの小鈴(こすず)、葉かげに鳴れば・・・ ”

(注):John Bacchus Dykes(1823-1876年)。英国聖公会司祭。英国の代表的な聖歌集『 Hyms Ancient & Modern 』の編纂に参与。ダイクスのもう一つの傑作聖歌「 Eternal Father 」は米英海軍・海兵隊の賛歌に転用され、米国大統領の国葬の際に演奏されたこともある(近年では、レーガン元大統領の葬儀で軍楽隊が演奏)。『日本聖公会聖歌集』にも収録されている(342「とこしえの父は」)。

◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲譜2(キリエ、大栄光の歌、サンクトゥス、アニュス・デイ)、入堂聖歌:200「聖なる 聖なる」、続唱聖歌:436「天よりくだり」、奉献聖歌:339「み座(くら)を囲める」、陪餐アンセム:Friedell作曲「Draw us in the Spirit's tether」(聖歌隊奉唱)、陪餐聖歌:246「憂いを脱ぎ去り」、派遣聖歌:201「父子聖霊の」。(番号は「日本聖公会聖歌集」による)

◆主な参考文献・CDなど:
・「聖歌のしらべ 古今聖歌集作曲者略解」 佐藤裕著(聖公会出版・1987年)
・「私たちと礼拝」 竹内淑子、竹内謙太郎共著(聖公会出版・2003年)
・CD「キングズ・カレッジ合唱団の讃美歌集」 キングズ・カレッジ合唱団(London:POCL-5070)
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三位一体の主日のミサ

2013年05月26日 | ミサ聖祭
カトリック渋谷教会の聖母子像
(住所:東京都渋谷区南平台町18-13)

「旧日本軍に従軍慰安婦は必要だった。沖縄の在日米軍も風俗業の活用を」。自らの不倫経験(笑)に基づく橋下徹の妄言は、国際社会の激しい嫌悪を招いた。AP通信、ABC、BBC、ニューヨーク・タイムズなど、欧米の主要メディアが一斉に反発。だが、ニッポンのテレビは橋下に弁明の機会をせっせと与えて、従軍慰安婦問題そのものには触れようとしない。安倍、石原、橋下。こんな連中を増長させてきたのがニッポンの有権者だ。いつも懲りずにテレビの言いなり。

5月26日(日)、渋谷教会で三位一体の主日ミサに与った。午前8時、ミサ開祭。福音朗読は、イエスが聖霊の働きについて話された場面(ヨハネ16・12-15)。司式の外国人司祭(お名前を失念しました)は、「イエスは一つの真理を表された。私たちはその証人となり、愛の強さを分かち合いましょう」と話された。ところで、この日の第二朗読の箇所は、私が卒業したプロテスタント系高校での主題聖句だった。やや古い訳文だが、今でも暗誦できる(注)。最も好きな聖句の一つ。

さて、聖母月も今週で終わりとなる。子供向けの伝記『イエズスのおかあさん』を読み返す。「マリアにいのりましょう。わたしたちが、マリアにならって、神さまを愛し、みんなにしんせつにし、どんな苦しいことがあっても、じっとがまんして、心にうつくしい花をさかせることができるように。いつか、わたしたちも、天国にいって、いつまでも、こうふくになることができるように」(本書より)。たかが子供の本と侮れない良書と思う。矢野シスターが描く「いわさきちひろ風」の挿絵もいい。


カトリック渋谷教会聖堂

(注):「患難は忍耐を生み出し、忍耐は錬達を生み出し、錬達は希望を生み出す。そして希望は失望に終ることはない」(ローマ5・3-5)。私の高校時代は既に新共同訳の聖書を用いていたが、この聖句は「口語訳(1955年)」の聖書から採ったと思われる。「練達」ではなく、「達」の表記がいい。

◆この日のミサ中の主な歌:
ミサ曲1(典礼聖歌203-206)、入祭:典礼聖歌20「いのちあるすべてのものは」、奉納:典礼聖歌169「わが主をたたえよう」、拝領:典礼聖歌20「いのちあるすべてのものは」、閉祭:典礼聖歌387「神はキリストのうちに」。

◆主な参考文献など:
・「イエズスのおかあさん」 脇田晶子著、矢野滋子絵(女子パウロ会・1977年)※現在、本書は『イエスのおかあさんマリア』と改題されている。小学校中級以上向け。
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東方正教会の聖体礼儀

2013年05月22日 | 東方正教会
日本正教会 東京復活大聖堂教会
(住所:東京都千代田区神田駿河台4-1-3)

5月19日(日)、東京復活大聖堂(通称ニコライ堂)で携香女の主日聖体礼儀に参祷した。私にとって東方正教会の奉神礼(典礼)は初めてである。ユリウス暦に重きを置く正教会は復活大祭(パスハ)を終えたばかり。その2週間後の日曜を「携香女の主日」として祝う。携香女とはイエスの遺体に塗る香油を携えたマグダラのマリアたちのこと。なお、正教会ではイエス・キリストを「イイスス・ハリストス」、聖霊を「聖神」、聖母マリアを「生神女(しょうしんじょ)マリヤ」と呼んでいる。

午前10時、聖体礼儀(ミサに相当)の開始を告げる鐘と共に、ダニイル府主教と司祭が厳かに入堂。ア・カペラの聖歌がドーム内に響き渡る。この世のものとは思えないほど美しい。イコノスタス(注)の向こう側で司祭がパンとぶどう酒の準備をする間(奉献礼儀)、聖所では祈りが捧げられ、祭服を召す府主教の着衣式も行われた。やがて王門が開くと、啓蒙者の聖体礼儀(言葉の典礼)。連祷とアンティフォン(倡和詞という歌)を繰り返し、福音経の誦読。歌は絶えることがない。

「ヘルヴィム(ケルビム)の歌」が流れると、信者の聖体礼儀(感謝の典礼)。領聖(聖体拝領)の前に説教という位置づけが意外。首司祭の山口義人神父は、「今日、私たちは携香女に敬意を表し、彼女たちの固い信仰、ハリストスへの愛を記憶します。身近な者に幸いを与える女性の愛は、ハリストスの教えの賜物、そして教会全体の宝です」と話された。荘厳な聖体礼儀は約2時間半に及んだ。しかし、それは天の国のようであり、本当にキリストの息吹きを感じるほどであった。<続く>


大聖堂入口
“ 父と子と聖神の国は崇め讃めらる、今も何時も世々に。アミン ”

(注):イコノスタスは聖堂内正面に見える壁。その向こう側が至聖所であり、聖体機密(秘跡)が執行される。壁の中央に王門、左右に南門・北門と呼ばれる扉があり、聖体礼儀中に司祭や輔祭(助祭)が出入りする。例えば、小聖入では司祭が福音経を掲げて進み(キリストの宣教を表す)、大聖入ではパンとぶどう酒の捧物を運ぶ(キリストの葬儀を表す)。ともに門を経て「行進」する。聖変化は至聖所内となるが、その瞬間は鐘塔の打鐘(喜音)によって知ることができる。

<付記>
上述のように、聖体礼儀は奉献礼儀、啓蒙者の聖体礼儀、信者の聖体礼儀の三部から成る。この日の聖体礼儀は聖金口(せいきんこう)イオアンが編纂したもの。聖体礼儀中、司祭と聖歌隊はひたすら歌い続ける。会衆が歌う場面は少なく、「真福九端」「ニケヤ信経」「天主経(主の祈り)」など。2時間半、会衆は殆ど起立して臨む。これは「神により死の床から起こされた人間の姿勢」であり、それによって「生じる苦痛を幾度となく感ずるたびに、この意味を思い起こす」という。

◆主な参考文献・CDなど:
・「ギリシャ正教」 高橋保行著(講談社学術文庫・1980年)
・「聖体礼儀のお話し」 東京大主教教区教務部編(日本ハリストス正教会教団東京大主教教区・1990年)
・「神さまの国へ ~聖体礼儀について」(日本ハリストス正教会教団 全国宣教委員会・2009年)
・CD「正教会聖歌集」 大阪・豊橋正教会聖歌隊ほか(日本ハリストス正教会教団府主務庁:CD-001)
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聖霊降臨の主日のミサ

2013年05月20日 | ミサ聖祭
聖イグナチオ教会の聖母子像
(住所:東京都千代田区麹町6-5-1)

アベノミクスとやらの「あぶく銭」を貪るニッポンとは対照的に、オバマ政権と欧米メディアの安倍晋三に対する批判が強まってきた。韓国の朴槿惠(パク・クネ)大統領の訪米は、オバマ氏の「安倍嫌悪」を際立たせる結果となった。朴氏はオバマ氏との共同会見、及び米議会で演説する機会を与えられた。それに対して、2月訪米時の安倍は米側から共同会見を断られ、また従軍慰安婦問題で安倍への非難を突き付けた米議会から招かれるはずもなかった。

今月1日、米議会調査局は「安倍の歴史認識が東アジアの国際関係を混乱させ、米国の国益をも害する。安倍は強硬な国粋主義者」とする報告書をまとめた。欧州でも英国のメディアが安倍への嫌悪を隠そうとしない。「エコノミスト」誌に続き、「フィナンシャル・タイムズ」紙がヤスクニ参拝を非難。だが、安倍は「(中韓などの)どんな脅かしにも屈しない」と開き直っていた。こんな男を増長させてきたのが、ニッポンの刹那主義的な有権者だ。もうどうしようもない。

5月19日(日)、聖イグナチオ教会で聖霊降臨の主日ミサに与った。この日は五旬祭、いわゆるペンテコステである。午前8時30分、ミサ開祭。福音朗読は、イエスが弟子たちに聖霊を送る約束をされた場面(ヨハネ14・15-16、23b-26)。司式の長町裕司神父は「聖霊はキリストの霊、キリストの愛。その表れは慰め、平安。聖霊は共にいてくださる助け主です」と話された。ミサ後、私はJR四ツ谷駅から御茶ノ水へ向かった。目的はニコライ堂での聖体礼儀(ミサに相当)である。


上智大学から望む聖イグナチオ教会

◆この日のミサ中の主な歌:
ミサ曲1(典礼聖歌203-206)、入祭:カトリック聖歌226「きたりませ」、続唱:典礼聖歌352「聖霊の続唱」(聖歌隊奉唱)、奉納:典礼聖歌386「風がどこから」、拝領:(聖歌隊奉唱)、閉祭:典礼聖歌405「ひとつになろう」。
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東京聖三一教会(日本聖公会)

2013年05月16日 | 聖公会の教会
日本聖公会 東京聖三一教会
(住所:東京都世田谷区代沢2-10-11)

5月12日(日)、東京聖三一教会(日本聖公会)で復活節第7主日の聖餐式に参列した。京王井の頭線の池ノ上駅で下車。「東京聖三一教会の三一(さんいち)とは、三位一体の神というキリスト教の教えの言葉から名付けられました。東京聖三一教会は、1889年に東京・築地の外国人居留地で米国人宣教師によって創立され、1927年に青山に移転、その後、1959年に(現在地の)代沢に移り、麹町のインマヌエル教会と合同して現在に至っています」(教会案内書)。

午前10時30分、聖餐式の開始を告げる鐘が鳴り、司祭と奉仕者が厳かに入堂。祭壇後方の大十字架が浮かび上がるステンドグラスが美しい。福音朗読は、最後の晩餐における「大祭司の祈り」の場面(ヨハネ17・20-26)。高橋宏幸司祭(香蘭女学校チャプレン)は、「祈りの心とは母親に抱かれて眠る幼子の信頼そのもの。祈りは神様から注がれた賜物です。私たちのために、いつもイエス様が共に祈り続けてくださる。そこに全幅の信頼があるのです」と話された。

奉献聖歌「主イェスよ われらの礎となり」を歌う。この気高い調べは、ケンブリッジ・キングス・カレッジ聖歌隊のCDを通してご存じの方も多いと思う。作曲者のヘンリー・パーセル(1659-1695年)と言えば、元吹奏楽部員の私は「トランペット・チューンとエア」が思い浮かぶ。原曲のチェンバロ作品を金管合奏にアレンジしたもの。復活前主日の記事でも触れたが、ウィリアム・バードの「戦いの組曲」とともに、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの名演が懐かしく甦る。


礼拝堂内観(1961年竣工)

◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲譜(キリエ、大栄光の歌、サンクトゥス、アニュス・デイ)、入堂聖歌:191「いばらのかむりを」、昇階聖歌:239「すべての神の民を」、奉献聖歌:389「主イェスよ われらの礎となり」、陪餐アンセム:188「主は昇る高く」(聖歌隊奉唱)、陪餐聖歌:501「聖なる水は」、退堂聖歌:378「勝利の王なるキリストよ」。(番号は「日本聖公会聖歌集」による)

◆主な参考CDなど:
・CD「キングズ・カレッジ合唱団の讃美歌集」 キングズ・カレッジ合唱団(London:POCL-5070)
・CD「戦い/P.J.B.E.バロック・コンサート」 フィリップ・ジョーンズ・ブラスEns.(London:F26L-20387)
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