日本正教会 東京復活大聖堂教会
(住所:東京都千代田区神田駿河台4-1-3)
(住所:東京都千代田区神田駿河台4-1-3)
7月27日(土)、正教会の東京復活大聖堂(通称ニコライ堂)で徹夜祷(主日前晩祷)に参祷した。主日や祭日の前夜に行われる徹夜祷(晩祷)とは、時課の晩課・早課・一時課を組み合わせ、翌日の聖体礼儀に備える奉神礼のこと。今月13日に続き、私にとって正教会の晩祷は2回目。聖堂内は照明が消え、献燈台の蝋燭の火だけが輝く神秘的な世界となった。ランパード(燈明)に照らされたイコンに、やや愁いを含んだ表情の生神女(しょうしんじょ。聖母のこと)が浮かび上がっている。
「君や祝讃せよ」。午後6時、徹夜祷の開始を告げる輔祭(助祭)の高誦と共に、ダニイル府主教と司祭が厳かに入堂。晩課の冒頭で歌う「首誦聖詠(起端の聖詠。歌詞は詩編104に基づく)」が流れると、聖堂内を香炉で清める全堂炉儀が行われた。乳香の特徴的な香りが漂う。大連祷の後に歌う「カフィズマ」は「坐誦経」とも呼ばれる。正教会の祈りの基本姿勢は起立だが、この歌の後は座ることを許されたので、「坐誦経」という名称になった。「アリルイヤ(アレルヤ)」の声が響き渡る。
「生神女讃詞」が歌われた後、第二部の早課となる。ここでも連祷と誦経(しょうけい)が繰り返されたが、早課の中心は福音経の読みである。この日は外国人司祭が(ロシア語で?)誦読された。その後、信徒たちはカトリックの拝領行列のように並び、台上に置かれた福音経とイコンに接吻、司祭から祝福を受けた。突然、大きな雷鳴が轟いた。ちょうど聖堂内は蝋燭だけが灯っていたが(停電に非ず)、モイセイ(モーセ)が十戒を授かったシナイ山もかくや、と思われる徹夜祷になった。
暮れなずむ空と大聖堂
“ 我等日の没(い)りに至り晩(くれ)の光を見て・・・ ”
<付記>
前回と同じく、この日も私は徹夜祷の式順を見失い、早課の途中(福音後のカノン辺り)で「迷子」になってしまった。機会があれば、入口受付の聖堂奉仕会の方々にお尋ねしてみよう。なお、この日の徹夜祷は約1時間55分を要した(午後8時頃に終了。実際に「徹夜」はしません)。
◆主な参考文献など:
・「ギリシア正教入門」 高井寿雄著(教文館・1980年改版)
・「ギリシャ正教」 高橋保行著(講談社学術文庫・1980年)