三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

聖霊降臨後第2主日の聖餐式

2014年06月29日 | 聖公会の礼拝
日本聖公会 聖路加国際大学 聖ルカ礼拝堂
(住所:東京都中央区明石町10-1)

聖路加国際病院の旧館玄関の右側に、1930年竣工時の定礎石(下写真)が見える。そこに刻まれた「神の栄光と人類奉仕のため」という文言は、戦時中に軍部から覆い隠すことを強制された。さらに旧館塔上の十字架も憲兵隊の圧力を受けて撤去された。ニッポンの軍国主義、ニッポン人の愛国心ほど醜悪なものはない。今や「昭和のテレビ中毒世代」はヘラヘラ笑いながら、安倍晋三という極右の笛吹き男と共に、狂気の再来を夢見ている。「悟りのない民は滅びる」(ホセア4・14)。

6月22日(日)、聖路加国際大学の聖ルカ礼拝堂(日本聖公会)で、聖霊降臨後第2主日の聖餐式に参列した。今年の4月、聖路加看護大学は病院との法人一体化に伴って、校名を聖路加国際大学と改称し、聖ルカ礼拝堂も病院から大学に附属するチャペルとなった。午前10時30分、司祭と奉仕者が厳かに入堂。福音朗読は、イエスが「魂も体も地獄で滅ぼすことのできる方を恐れよ」と言われた場面(マタイ10・24-33)。この日は聖歌隊によって、プーランクの続唱アンセムが奉唱された。

関正勝司祭は、「先日、私は仙台へ行きましたが、今も被災地では『なぜ』という思いがあります。神に『なぜ』と問うことは無意味とする見解もありますが、『なぜ』と問うことによって、私たちは神を求める。今日の福音でイエスが言われた『恐れるな』に希望を求めつつ、私たちは『なぜ』という告白の中から、神と新しい世界に出会うのです」と話された。大震災後、私は「神に『なぜ』と問わない」風潮に違和感を覚えていた。関司祭も指摘されたが、「なぜ」と問うことは、むしろ「神理解」と思う。


聖路加国際病院旧館の定礎石。揮毫は徳川家達公爵。
(上下12個の穴は戦時中に遮蔽板で覆った傷跡)

<追記>
サッカーW杯のブラジル大会で「史上最強のサムライブルーが世界を制覇する!」と豪語していたニッポンは、あっけなく一次リーグ「最下位」という結果で敗退。その“夜郎自大(やろうじだい)な国民性”は、かつて「忠勇無双の皇軍が米英中国を撃滅する」と喚き散らしていた狂気が漂う。今も昔も相手(国)を見くびってきたニッポンは、集団的自衛権に基づく「戦争」でも同じ過ちを繰り返すだろう。「精鋭無比の自衛隊が武装勢力との戦いに勝利する!」。ニッポン人の慢心は「自滅」を招くだけだ。

◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲譜(キリエ、大栄光の歌、サンクトゥス、アニュス・デイ)、オルガン前奏:「来たれ聖霊、創り主なる神」(ウッドマン)、参入聖歌:6「光 空に満つ」、続唱アンセム(聖歌隊奉唱):「恐れとおののき」(プーランク)、奉献聖歌:389「主イェスよ われらの礎となり」、陪餐聖歌(聖歌隊奉唱):200「聖なる 聖なる 聖なるかな」、陪餐奏楽(オルガン):「喜びをもて汝を装いせよ」(ペータース)、派遣聖歌:403「いともかしこし イェスの恵み」。(番号は「日本聖公会聖歌集」による)

◆主な参考文献など:
・「聖路加国際病院の100年」 聖路加国際病院100年史編集委員会編(聖路加国際病院・2002年)
・「東京教区時報 ≪コミュニオン≫第15号」 東京教区広報委員会編(日本聖公会東京教区・2014年)
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ランチタイム・パイプオルガン・コンサート

2014年06月24日 | 音楽を聴く
日本聖公会 神田キリスト教会
(住所:東京都千代田区外神田3-5-11)

6月18日(水)、神田キリスト教会(日本聖公会)で、ランチタイム・パイプオルガン・コンサートを聴いた。JR秋葉原駅で下車。今やアキバは「オタクの聖地」と化し、街中に美少女アニメの看板が溢れている(下写真2)。私のような元オーディオ少年にとっては、一抹の寂しさを禁じえない光景だ。その只中にある神田キリスト教会は、オタク文化の大海原に浮かぶ聖なる島のようである(?)。喧騒のアキバに響くランチタイム・パイプオルガン・コンサートは毎月第3水曜日に開催(入場無料)。

この日の演奏は、神田キリスト教会主任オルガニストの和田純子さん。プログラムに記されたプロフィールによれば、和田さんはウィーン国立音楽大学で学ばれ、海外でのコンクール入賞・入選もある。さて、今回のコンサートの冒頭を飾ったのは、前奏曲とフーガ ハ短調(BWV.549)。青年時代のバッハがオルガニストとして活躍しながら、ブクステフーデの音楽に大きな感銘を受けた頃の作品だ。この日の掉尾を飾った「我ら唯一の神を信ず」(BWV.680)と共に、バッハの劇的表現力を堪能。

バッハと私の出会いは小学生時代にさかのぼる。下校時の音楽が「G線上のアリア(管弦楽組曲第3番の第2楽章)」だったのだ。今でもこれを聴くと、夕映えの校舎の情景を懐かしく思い出す。だが、私はバッハに傾倒することはなく、もっぱらロマン派の音楽を聴いていた。その後、自発的に教会を巡り始め、パイプオルガンの生演奏を聴く機会も増えて、ようやく私はバッハの魅力に目覚めたのである。そして、その音楽が「録音」の技術ではとらえきれないスケールの大きさであることも。


神田キリスト教会のパイプオルガン
(1997年に設置されたオランダ・ライル社製)


聖と俗の交錯。秋葉原の街角で。

◆第202回「ランチタイム・パイプオルガン・コンサート」演奏曲目(全てJ・S・バッハ作曲):
前奏曲とフーガ ハ短調(BWV.549)、「クラヴィーア練習曲集」第3巻より5曲(「キリエ、永遠にいます父なる神よ」BWV.669、「全世界の慰め主、キリストよ」BWV.670、「キリエ、聖霊なる神よ」BWV.671、「いと高きところには神にのみ栄光あれ」BWV.676、「我ら唯一の神を信ず」BWV.680)。

◆主な参考文献・CDなど:
・「バッハ」 樋口隆一著(新潮文庫・1985年)
・CD「バッハ:管弦楽組曲集」 ミュンヒンガー指揮/シュトゥットガルト室内管弦楽団(KING:K30Y-1511)
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三位一体主日の聖餐式

2014年06月19日 | 聖公会の礼拝
初夏の気配が漂う立教大学モリス館
(住所:東京都豊島区西池袋3-34-1)

G7における安倍晋三の「中国包囲網」は全くの空振りに終わった。欧米の関心はウクライナ危機であったが、ここでも「陰口番長」の安倍は嫌中感情をまき散らし、ニッポンの無様な独り相撲を印象付けた。我が身の醜態を省みず、隣国への憎悪と粗探しには精を出し、半狂乱になって「ニッポン人の誇り」を取り戻す「斜陽国家」のていたらく。そして、相変わらず「昭和のテレビ中毒世代」はヘラヘラ笑いながら、大日本帝国の「臣民根性」丸出しで、お上の権威に迎合。もうどうしようもない。

6月15日(日)、立教大学チャペル(日本聖公会)で三位一体主日(聖霊降臨後第1主日)の聖餐式に参列した。午前10時、振り香炉と十字架を先頭に、司祭団が厳かに入堂。福音朗読は、イエスが「世の終わりまで共にいる」と言われた場面(マタイ28・16-20)。中川英樹司祭(立教大学チャプレン)は「イエスの弟子になるとは、全ての人が神の愛で結ばれること。そして、神の愛とは神が私たちと共にいてくださること。その愛によって、神は神として存在しておられると言えましょう」と話された。

この日は三位一体を祝うのに相応しく、幅広い時代の礼拝音楽が選曲された。聖歌隊はルネサンスのラテン語聖歌を奉唱し、ハンドベルクワイアは陪餐アンセムを奏楽。そして、会衆は19世紀英国の聖歌を力強く合唱。まず、福音朗読前の続唱聖歌は、ダイクス(1823-76年)の三位一体を讃えた「聖なる 聖なる 聖なるかな」。これは「英国聖歌の珠玉」と称されている。そして、陪餐と派遣の聖歌は、「見よや十字の旗高し」などを作曲したサリヴァン。チャペルに気高く雄渾(ゆうこん)な調べが響く。


三位一体主日、立教大学池袋キャンパスにて
(後方の煉瓦造の建物は、1918年竣工の旧寄宿舎)

<付記>
この日、奉献聖歌として歌われた「ハレルヤ 主イェスは」も19世紀英国の傑作聖歌の一つ。作曲者のローランド・プリチャード(1811-87年)は織物工場の副監督を務めながら、多くの優れた聖歌を残した。1866年作の「ハレルヤ 主イェスは(Alleluya!sing to Jesus!)」は、瑞々しい気品にあふれた「キリスト賛歌」である。輸入CD「BEST HYMNS 100」(6枚組)収録のキングス・カレッジ聖歌隊の歌声が素晴らしい。

◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲譜2(キリエ、大栄光の歌、サンクトゥス、アニュス・デイ)、入堂聖歌:16「今日もまた新しく」、続唱聖歌:200「聖なる 聖なる 聖なるかな」、奉献聖歌:250「ハレルヤ 主イェスは」、奉献アンセム(聖歌隊奉唱):「Exsultate justi(正しき者よ、主によりて喜べ)」(ヴィアダーナ)、陪餐アンセム(ハンドベル奏楽):「≪聖なる 聖なる 聖なるかな≫によるコラール前奏曲」(ホプソン)、陪餐聖歌:265「つつしみて 近く寄り」、派遣聖歌:397「わがために行きて」。(番号は「日本聖公会聖歌集」による)

◆主な参考文献・CDなど:
・「聖歌のしらべ 古今聖歌集作曲者略解」 佐藤裕著(聖公会出版・1987年)
・CD「BEST HYMNS 100」 合唱:ケンブリッジ・キングス・カレッジ聖歌隊ほか(EMI:0 97563 2)
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牛込聖バルナバ教会(日本聖公会)

2014年06月14日 | 聖公会の教会
日本聖公会 牛込聖公会 聖バルナバ教会
(住所:東京都新宿区矢来町65)

地下鉄東西線の神楽坂(かくらざか)駅で下車。地上に出ると、新潮文庫のキャラクター「Yonda?」のパンダちゃん(の看板)がお出迎え。直ぐそこに新潮社の社屋が見えた。以前、私も新潮文庫で北杜夫氏の作品を愛読したものである。ここ数年、新潮社は「ヘイトスピーチの牙城」に成り果てたのか、恥ずべき『週刊新潮』が執拗に「嫌中韓」を煽っている。『週刊文春』と共に、かくも品性下劣な悪徳雑誌が廃れないのは、差別的な憎悪表現を愉しむ「愛読者」が支持しているからだろう。

さて、聖バルナバ教会(日本聖公会)の沿革をおさらいしよう。「1875年以来、当教会は移転を繰り返して、名称も牛込(うしごめ)昇天教会から現在の聖バルナバ教会に変わった。その間、姉妹教会として目白聖公会を生んでいる。戦災で礼拝堂を焼失した後、現在の矢来町の土地を入手。およそ140年の間には多くの事があった。初代教会の発展に尽くした聖バルナバに倣い、どんな困難にあっても祈りながら前進し、力を合わせて行く覚悟である」(『東京教区90年のあゆみ』を要約)。

聖バルナバ教会に着いた。モダンな「門構え」であり、敷地内には日本聖公会の管区事務所もある(管区とは全国11教区の連合体)。教会の扉を開けると、オルガニストが演奏練習中だった。こぢんまりとした聖堂内にパイプオルガンの壮麗な調べが響き渡っている。時々、聖バルナバ教会ではこのオルガンによるコンサートが行われていると聞く(東京聖テモテ教会神田キリスト教会などもオルガン・コンサートを開催)。機会があれば、この豊かな音色が流れる聖餐式に参列したいと思う。


聖堂内観(1992年竣工)

◆主な参考文献など:
・「東京教区90年のあゆみ」 2013フェスティバル実行委員会編(日本聖公会東京教区・2013年)
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聖霊降臨日の聖餐式

2014年06月09日 | 聖公会の礼拝
日本聖公会 聖マルコ教会
(住所:東京都府中市美好町3-8-2)

宮城・仙南民商(民主商工会)さんのTwitterから。「『増税しました。解雇自由にします。残業代無くします。年金減らします。生活保護は締め付けます。配偶者控除無くします。共働きしてください。子供は産んでください。保育所はそんなに増やしません。保育士の待遇は改善しません。代わりに法人税は下げます。』すげーな、安倍ちゃん」(4月23日付)。さらに、秘密保護法、原発輸出・再稼働、ヤスクニ参拝、武器輸出、カジノ推進、TPP、集団的自衛権、改憲。すげーな、安倍ちゃん。

6月8日(日)、府中の聖マルコ教会(日本聖公会)で聖霊降臨日の聖餐式に参列した。この日は五旬祭、いわゆるペンテコステである。京王線の分倍河原駅で下車。旧甲州街道を西へ歩くと、聖マルコ教会の正門が見えてきた。ここも多摩の百年教会(注)の一つで、小さな鐘塔付きの古い木造の聖堂は長い歴史が窺える佇まいだ。午前10時30分、赤いチャジブル(祭服)をお召しになった司祭が入堂。福音朗読は、フィリポがイエスに「御父をお示しください」と言う場面(ヨハネ14・8-17)。

中村邦介司祭は、「使徒言行録を書いたルカは聖霊の働きに、パレーシア(大胆)という言葉を添えています。これは自分を空(から)にして、自分を超えるものに自分を明け渡すこと。つまり、私たちの心の中に聖霊の入る余地が必要となります。それによって、聖霊は私たちの内側から深い自発性を促し、自分を省みる力、自分を否定できる力(悔い改め)を与えて、私たちを神の恵みに導くのです」と話された。中村司祭の説教は私に深い感銘を与えた。聖霊来り給え、我が悔い改めざる心に。


1959年竣工の聖マルコ教会聖堂
“ 鳩のようにくだる み恵みの聖霊よ・・・(聖歌195) ”

(注):多摩地域で百年以上の歴史を有する教会は次の通り(カッコ内の数字は創立年)。カトリック泉町教会(1877年)、カトリック八王子教会(1877年)、日本聖公会・聖マルコ教会(1885年)、日本聖公会・八王子復活教会(1908年)、日本基督教団・青梅教会(1888年)、日本基督教団・八王子教会(1905年)、日本基督教団・原町田教会(1910年)。

◆聖餐式で歌われた聖歌:
ミサ曲譜(キリエ、大栄光の歌、サンクトゥス、アニュス・デイ)、入堂聖歌:195「鳩のようにくだる」、答唱詩編:典礼聖歌69「神よ あなたのいぶきを」、昇階唱:典礼聖歌266「アレルヤ唱(復活後の主の祝祭日)」、奉献聖歌:258「人の知恵も」、陪餐聖歌:280「仰ぐみ弟子を」、退堂聖歌:305「み栄えを世に告げる」。(番号は『日本聖公会聖歌集』による。なお、聖マルコ教会の礼拝はカトリックの『典礼聖歌』を併用)
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