三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

続・東方正教会の聖体礼儀

2013年06月07日 | 東方正教会
日本正教会 東京復活大聖堂教会
(住所:東京都千代田区神田駿河台4-1-3)

6月2日(日)、東京復活大聖堂(通称ニコライ堂)でサマリア婦の主日聖体礼儀に参祷した。携香女の主日以来、私にとって東方正教会の奉神礼(典礼)は2回目。聖堂内ではロシア人(と思われる)女性たちがイコンに十字を描いてお辞儀し、接吻している。そのエレガントな所作にウットリ。また、この日はロシア人(と思われる)男の子が堂役(侍者)を務めていた。府主教座下のジェーズル(権杖)を捧持したり、プロスフォラ(聖パン)を運ぶ姿が健気(けなげ)でカワイイ。

午前10時、聖体礼儀(ミサに相当)の開始を告げる鐘と共に、ダニイル府主教と司祭が厳かに入堂。ア・カペラの荘重な聖歌がドームに響き渡る。私が聖体礼儀の進行を把握するには、この聖歌を集中して「聴く」ことが必要だ(注)。この日の聖体礼儀は約3時間を要したが(奉献礼儀:35分、啓蒙者の聖体礼儀:50分、信者の聖体礼儀:95分ほど)、それはカトリックの簡素な現行典礼とは対照的に、正教会の奉神礼は連祷などの長い祈りを果てしなく歌い続けているからである。

「聖歌が奉神礼の肉とするなら、連祷は骨といえる」(高橋保行著『ギリシャ正教』より)。連祷の形式はカトリックの「諸聖人の連願」を思わせるが、これを聖体礼儀中に何度も繰り返す(大連祷、小連祷、重連祷、増連祷など)。聖歌隊が「主憐れめよ(賜えよ)」と応唱する度に、会衆は十字を描いてお辞儀する(その回数は50を超えていたと思う)。連祷と聖歌、そして乳香の匂いを通して、今ここに神の国が近づいてくるようだ。機会があれば、土曜の徹夜祷にも参祷したいと思う。<続く>


大聖堂入口
“ 来たれ、ハリストスの前に伏し拝まん ”

(注):聖体礼儀中は「ただ今から聖体拝領です」などのアナウンスは一切ない。ぼんやりしていると、前後関係を見失ってしまう。だから、輔祭(助祭)の「謹みて聴くべし」などの言葉、イコノスタスの王門の開閉、そして特徴的な聖歌を手がかりに、目と耳で進行の流れを確認しなければならない。例えば、「聖、聖、聖なる哉(「サンクトゥス」に相当)」が歌われたら、すでにアナフォラ(奉献文)に入っており、間もなく聖変化の瞬間を迎えることに注意する。

◆主な参考文献など:
・「ギリシア正教入門」 高井寿雄著(教文館・1980年改版)
・「ギリシャ正教」 高橋保行著(講談社学術文庫・1980年)
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