平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

アイシテル ~海容~ 第6話

2009年05月21日 | ホームドラマ
 「生きてこその償い」

★智也(嘉数一星)は家の中でひとりだったんですね。
 だから恵まれている清貴(佐藤詩音)に嫉妬した。怒りを覚えた。
 でも前回も書いたが、大人になるとは<自分がひとりであること>を知ることであると思う。
 自分は世界の中心でない。他人は自分を見てくれるわけではない。
 そのことを認識するのが大人になるということ。

 そして生きるとは何とか他人との絆を築こうとして傷つきもがくことだと思う。
 友達、恋人、そして子供時代とは違った親子関係……そんな新しい自分の世界を創造していくことだと思う。
 この点で<ひとりであること>から<殺人>というマイナスの方向に向かってしまった智也は間違い。
 それは創造ではなく破壊。

★心に響く言葉とそうでない言葉がある。
 例えば響く言葉は……
 智也(嘉数一星)の「あの時のキャッチボール楽しかった」。
 さつきの母・敏江(藤田弓子)の「あなた達がいたから頑張れた。あなた達の笑顔を見たくて頑張った」。
 前回の美帆子(川島海荷)の「じゃあ、あなたが死ねば」もそう。

 しかしさつき(稲森いずみ)の言葉は……?
 「罪の大きさを息子にわからせるために私達が生きていくことをお許し下さい」
 前回の「息子がなぜこの様なことをしてしまったかわかりません」よりは進歩したと思うが、まだ心に入って来ない。
 そして手紙という手段もマイナス。
 じかに会って話した方がいろいろなニュアンスが伝わるのに。
 字面だけを追えば「生きていくことを許してもらう」言い訳にしか聞こえない。
 遺族が完全に納得する言葉を発するのは難しいと思うが、この作品のラストでさつきはそんな言葉を見つけることが出来るのだろうか?
 さつきが真の言葉を見つけた時、このドラマの絡まった糸はすべて解ける様な気がする。

※追記
 ところでこの作品のタイトルはなぜカタカナで「アイシテル」なのだろう?
 「愛してる」「あいしてる」よりは無機質な感じがしますよね。
 作者がカタカナに込めた意味もこの作品を読み解く鍵になるかもしれない。


コメント
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