昨日はホントもう限界だと思った。Tちゃんと二人、一昨日までは店が終った後も何処かの店に寄ったり、店で飲んだりして愚痴ったりする余裕がまだあったのだけど、昨日はさすがに疲れ切って飲む気にもならず、シャッターを閉めると、そのままタクシーに乗り込んでしまった。実を云うと、Mちゃんが広島に帰ったのは、お祖父さんの病状が悪化した為ではなく、他の事情があったからだ。それがどんなことかは省略するけど、とにかくMちゃんはウチの店を辞めるつもりはなく、一週間もすれば帰って来るつもりでいた。処が、何があったのか携帯がつながらなくなり、一週間経っても戻って来る処か何の連絡もない。それからの一週間、今日は連絡があるか、明日は戻って来るのか、このままずっと戻って来なかったらどうしたらいいのかと毎日毎日苛立つ日が続いて、肉体的より精神的に二人共参ってしまっていたのだった。もう限界だと思って昨日の日記には改めてスタッフ募集のことを書いた。今日もTちゃんと顔を合わせるのが辛かった。Tちゃん一人に犠牲を強いてしまって、何をする術もない自分が経営者として恥ずかしかったし、殊更Tちゃんと会話するのを避けていた。そんな土曜日の11時過ぎ、Mちゃんから二週間ぶりにメールが入った。そこには何と東京に戻ってきたと云う文字。すぐ店に顔を出せと俺がメールを返したのは勿論のことだ。三十分後、疲れ切った顔をしたMちゃんが店に姿を現した。