桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2005・6・13

2005年06月14日 | Weblog
若い頃、趣味だった映画や演劇がそのまま仕事になった。仕事になると趣味の楽しさがなくなって、別の趣味(料理や友人とお喋りすること)が出来た。50近くになってその趣味が飲食店という形で仕事になった。まだ八年。まだ趣味の部分から抜け出てない。だから楽しい。わざわざ俺を訪ねて来てくれた友人たちとお喋りして、一緒にお酒を飲んで、自己流の料理を出して、これでお金を貰えるなんて恵まれすぎている。だったらさ……自己批判する。趣味で何時間も遊んでいるんだから店にいない時間は「仕事」したら?そうなんだよ。イベントスペースの営業やら企画やら一杯やることがあるって云うのにお前さぼっているだろ?はい、ご尤もです。ついついお店にいることが仕事だと錯覚しちゃって、それ以外の時間は体を休めることにあてちゃって……不味いです。いくら立ち仕事が多くて腰が痛くたって、趣味でやっていることなんだから我慢して貰わなくちゃ……そう自分に言い聞かす。言い聞かして自分を鼓舞する。皆、俺のことを若いって言ってくれるじゃない?もっと頑張れる筈。でも、現実の体力年齢は57歳には違いなく、カウンターの中ではLちゃんの非難の視線を浴びながらついつい椅子に座ってしまうし、部屋では一仕事終えると居眠りしたりゴロゴロしてしまう。どうしたらいいんだ?と深夜三時過ぎに残ったお客さんとお喋りしながら自問自答していたら、友人のSさんから電話。すぐ誰かが死んだなと直感した。新宿二丁目で『ゼエロン』と云うスナックをやっていた殿村朋子さん。俺が20代の頃初めて常連となった店のママだった。あの店では色々なことがあった。彼女には色々なことを教えて貰った。合掌。