元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

メンタルヘルス・マネジメントとは?(その3=リーダーシップの違い)

2012-02-09 05:37:07 | 社会保険労務士
リーダーシップのメンタルヘルスに及ぼす影響<欧米型と日本型のリーダーシップ>

欧米と日本のリーダーシップの違いについて、メンタルヘルスマネジメントのテキスト※では、次のように述べています。
 
 欧米では、リーダーはリーダーらしく部下の先頭に立って「俺についてこい」という率先垂範で、部下はこの人には能力があるのでついていっても間違いないと判断すればついていく、といったスタイルがリーダーシップの最大の条件です。

 一方、日本の場合は、管理職である課長以上のリーダーは、部下の後ろにいてがんばってくれと号令する観戦者型であるといわれています。つまり、日本型のリーダーシップは、リーダーの行動レベルが決め手になるのではなく、目に見えないリーダーの雰囲気・人柄を統合した「人望」という要素が大切にされています。メンタルヘルスケアーのリーダーシップも、この人望というものの果たす役割が大きく影響します。
 
 日本における望ましいリーダーシップの定義が次のようにいわれています。

 集団の目標を達成するために、まず、その目標選択能力を持ち、各部下が連帯感を持ちながら、喜びに溢れ、各自の能力をフルに発揮できるよう援助するとともに、部下がリーダーに対して献身しようと思わせる能力。
 メンタルヘルスケアーの場面においては、日本型のリーダーシップこそが必要です。(以上、メンタルヘルスマネジメントのテキスト※)

 メンタルヘルスの管理においては、部下の仕事の配分や進捗状況を見て、部下の日頃の性格・行動を等を見極め、いつもと違うところがあったならば、声掛けを行い、メンタル面での変化がないかどうかを把握していかなければなりません。いつも部下の状況を見ながら、メンタルの不調者を早期発見することが、監督者の役割であるとされています。この早期の発見・早期の手当がなければ、早期の回復は望めないとされています。こういったメンタルヘルスマネジメントでは、日本型のリーダーシップがよりあっているということだと思われます。

 メンタルヘルス・マネジメントの監督者としては、織田信型の率先垂範ではなく、豊臣秀吉型の人の機微を熟知し、人情味あふれた観戦型がいいというわけでしょう。

 ここで一言付け加えると、率先垂範型の信長の部下についた明智光秀が、中国征伐の命を受け(さらにいくいくは九州平定の命を受け、その地に封じられることが推測され、彼には左遷とうつった。)形として秀吉の部下に任じられたことに不満を持ったことや、織田信長の部下の失態に対し粛清をもって望むという態度から、かなりノイローゼぎみで(とされる)あった光秀が、「本能寺の変」を起こしたという理由は想像に難くない。
 ⇒同ブログのリーダーシップ論「豊臣秀吉の「情・知の管理」



 *メンタルヘルスマネジメント検定試験Ⅱ種(大阪商工会議所編)P52
 <参考>信長・秀吉・家康の戦略戦術(佐々木克明著、三笠書房)

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メンタルヘルス・マネジメントとは?(その2、ストレスが強とは)

2012-02-06 06:14:10 | 社会保険労務士
「強」とされるストレス要因が労災認定基準に挙げられています。

 管理監督者が部下職員のメンタル面で注意すべきものとしては、特に「強」とされる社会的心理的ストレス要因があります。この「強」とされるストレス要因については、本人がもともと個別的に持っている要因がなかろうとも、だれでも精神障害の発症の危険性があります。だれでもうつ病等が起こり得る可能性があるということです。

 この強となるストレス要因として、厚生労働省は、労災の判断基準として「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断基準について」(以下「労災認定基準」「基準」という。)の中で、業務上の心理的負荷と業務以外の私生活に分けて、心理的負荷となるストレスを上げています。

 業務上であろうと、業務外であろうと、どちらでもメンタル面で不調におちいる可能性がありますが、労災認定の基準ですので、一応は業務外の心理的負荷であるとすれば、この労災認定の対象からは外れることになります。
 (一応はとしたのは、これ以外の「弱」「強」のストレスであっても、仕事の量・質・責任の変化、裁量性の変化、環境の変化、支援・協力等の変化によっては、強となりうる可能性があります。)

 しかし、会社としては、業務外の要因の発症であっても、注意していなくていいかというとそうではありません。原因が会社外にあるとしても、メンタル面の不調者は、例えば睡眠不足から注意力が散漫となり、事故を起こす可能性が大きくなりますので、会社がそのまま働かせていると、安全配慮義務違反(従業員を契約して雇ってもらっている以上、安全に配慮して雇用する義務があるとされており、労働契約法にも明記された。)違反から、損害賠償をされる危険性だってありますので、やはり注意が必要です。

 では以下に、労災基準で挙げている心理的負荷を示します。
 1 職場における心理的負荷
  ・重度の病気やけがをした。
  ・交通事故(重大な人身事故、重大事故)を起こした。
  ・労働災害(重大な人身事故、重大事故)の発生に直接関与した。
  ・会社の経営に影響するなどの重大な仕事上のミスをした。
  ・退職を強要された。
  ・ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた。
 2 職場以外の心理的負荷 
  ・離婚又は夫婦が別居した。
  ・自分が重い病気やけがをした又は流産した。
  ・配偶者や子供、親または兄弟が死亡した。
  ・配偶者や子供が重い病気やけがをした。
  ・親類のだれかで世間的にまずいことをした人が出た。
  ・多額の財産を損失した又は突然大きな支出があった。
  ・天災や火災などにあった又は犯罪に巻き込まれた。

 このような事例は、基準では「人生でまれに経験する強い心理的負荷」としていますが、最近の世相をみると、将によく起こり得る事例です。自分が気をつけていても、自分に責任がなくてもあり得る、外から飛び込んでくる事件・事故等です。ストレスの原因となるものも、だれにも起こり得る可能性があり、そのことによりメンタル不調に陥る可能性があるということです。

 なお、生理的に必要な最低限度の睡眠時間を確保できない出来ないほどの極度の長時間労働は、無条件で心理的負荷は「強」とされますので、管理監督者・使用者は、十分注意すべきです。


  参考;厚生省「心理的負荷による精神疾患等に係る業務上外の判断基準について」、メンタルヘルス検定試験公式テキストⅡ種




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