元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

休憩時間は何時からいつまでという「休憩時間の位置」は、就業規則に必ずしも特定しなければならないものではない。

2017-01-07 17:19:50 | 社会保険労務士
 就業規則において、「正午からの2時間の間に1時間の休憩時間を置く」というような幅のある規定も可能!!

 労働時間は、原則、一日8時間、一週間に40時間を超えてはならないとされているが(労働基準法32条)<*注1>、就業規則においての記載の方法としては、「始業及び就業の時刻」を記載することになっており(労働基準法89条)、これから労働しない「休憩時間」を除いた残りの時間が労働時間とされている。すなわち、就業規則上では、一日及び一週間の労働時間の制限は、始業時刻と終業時刻の指定によって決まってくるのであって、労働する時間の位置も自ずと決まっているというわけである。

 これに対して、休憩時間については、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合にあっては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないとされているが(労働基準法34条)、一方、就業規則の記載については、「休憩時間」としか述べていないのであって(労働基準法89条)、どの時間帯に休憩するかという「休憩時間の位置」については、法律上は特段、就業規則に規定しなければならないものではない。ただし、今述べたように、休憩時間は労働時間の途中に与えなければならないところという規定はあるので、これを就業規則においては満足をしなければならないのは言うまでもない。

 一般的には、休憩時間は、昼休み時間に置くことが多く「休憩時間は、正午から午後1時までの1時間とする」というような就業規則が普通である。しかしながら、前の議論からいえば、就業規則においては、「一時間の休憩時間を労働時間の途中におく」とだけ記載すればよく、休憩時間の位置は規定しなくても、労働法規上の就業規則の「休憩時間」の記載は事足りることにはなる。

 しかし、それでは、労働者はいつ休んでいいのか、極端にいえば、今日は正午から、明日は午後3時からの休憩となると、労働者の体の調子もくずれることになるので、いつから○時間の休憩をするという就業規則を置くのが普通であろう。

 ここで、例えば、サービス業において、今日は客が多く、就業規則に決められた昼休みの休憩が取れなかったというようなケースもある。就業規則の休憩時間に働いているのだから、その時間は労働時間であり、少なくともその時間の賃金(一日8時間を超えることになれば割増賃金)を支払わなければならないが、それでも休憩時間を与えなかったという法的な義務違反は、残ってくるのである。

 そこで、石嵜信憲氏は、「就業規則の法律実務」(第4版P362・中央経済社)において、次のような就業規則を紹介している。
 
 第39条(休憩)
 1 休憩時間は、午前12時から午後2時の間の1時間とする。
 2 会社は、業務上の必要性がある場合、前項に定める休憩時間の位置を変更することがある。

 このように、1項では、休憩時間の位置について、全く特定しないのではなく、ある程度の幅をもたせておき、労働者の予見が可能な範囲内で決めていくというものである。これなら、昼間の客が多い場合にも、どうにか対応できるのではないか。さらに、不測の事態に備えて、2項で休憩時間の位置の変更権が可能な規定をおいている。

 <*注1>もちろん、最近問題になっているところであるが、36協定において、時間外労働をさせることはできる。

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