健康保険や厚生年金保険の社会保険と雇用保険は、短時間就労者の加入の基準が異なります。
会社によっては、パート等の短時間就労者をあまり使っていない事業所もあります。そんな事業所の方と話していると、社会保険や労働保険特に雇用保険に加入させるかどうか、あまり意識しておらず、いざ雇用する段になってあわてるだけだといいんですが、はなはだしい場合は、忙しいのにかまけてどうするかをも忘れてしまい、そのままになってしまうこともあるようです。
そこで、私なりに、整理してみました。
健康保険や厚生年金保険の社会保険については、いわゆる3/4基準というのがあります。
その者の1日又は一週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が、当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上であって、その者の労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等を総合的に勘案して、常用的雇用関係が認められる場合には、原則として一般の被保険者として扱われます。(昭和56年被保険者資格取扱基準)
基準を原文に近く引用しましたので、何のこっちゃということになるかもしれませんが、「平成23年度版社会保険の実務」(広報車)では分かりやすく記載されていましたので、それを引用します。
次の1,2の、勤務時間及び勤務日数の両基準を満たしたときに被保険者になります。
1 一日、または一週間の所定労働時間が、その事業所で同種の業務を行う一般社員の労働時間の労働時間のおおむね4分の3以上であること。
2 一か月の所定労働時間が、その事業所で同種の業務を行う一般社員の労働日数のおおむね4分の3以上であること。
上記4分の3以上はひとつの目安で、個々の事例について就労形態等を総合的に勘案し、年金事務所が最終的に判断します。
となっています。
次に、雇用保険については、21年の改正前までは、パートについては、ア、1週間の所定労働時間が20時間以上であること かつ、イ、1年以上引き続き雇用されることが見込まれること とされていました。
22年の改正により、
ア、1週間の所定労働時間が20時間以上であること は変わりませんが、
イ、同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれることとなり、
1年以上から31日以上となって、事業者にとっては、加入させなければならないパートさんが増えたことにになります。ただし、「かつ」がありますので、ア、イ両方とも満たした場合に、加入しなければならないことには、留意してください。
雇用保険と社会保険では、その職場が一般的に週40時間働く職場であると考えた場合には、社会保険ではその3/4の週30時間がパートさんが加入しなければならない一つの判断基準であるのに対し、雇用保険では、判断基準が一週間のパートさんの所定労働時間が20時間になっていることから、加入しなければならないハードルは低いということです。もともと社会保険と雇用保険では、現在は、基準そのものに違いがあることです。
そして、さらに、22年の改正で継続して1年以上の雇用が、31日以上の雇用であれば、雇用保険では、加入しなければならなくなったことです。もしも、週20時間の雇用で、31日雇う予定の場合(「以上」ですので、20時間、31日から含めます。)、社会保険は加入しなくてもよい場合でも、雇用保険には加入しなければなりませんので、事業者の方は、御注意ください。
なお、労災保険はどうなるんだということですが、労災保険の場合は、パートさんであろうと例外はありますが、基本的には「労働者」であれば、計算の基礎に含めます。
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