元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

採用の場合の前の会社への問い合わせについて

2012-05-21 05:03:37 | 社会保険労務士
 採用の際、何かを感じたら必ず前の会社に聞いてみよう!!

 同業の他者であるタクシー会社に勤務し、その会社を懲戒免職で首になりその事実を隠していた例など職歴の詐称については、労務提供の内容や質を判断する上で欠かせないものであるので、裁判では懲戒免職は有効とされていますし、こと犯罪歴になれば、罪を償っているからか必ずしも有効とはされていませんが、状況に応じては、有効とされる場合もあるようです。

 裁判でも、職歴詐称は、それほどまでに重要なものとされていますので、採用の場合には、少なくとも履歴書に職場の履歴は書くでしょうから、何らかのこの人は「おかしいのではないか」という直感を感じたら、前の会社に勤務状況を問い合わせるべきです。いったん採用してから、解雇等をする場合に問題となるのであって、採用する前に、問題を見つけ採用しないのであれば、なんら問題はありません。

 何か問題を起こした人であれば、「あの人を採用するんですか」というような変な返答が戻ってくるかもしれません。

 そこで問題になるのが、個人情報保護法ですが、この法律は、情報取得の際、その利用目的等を周知し、その取得した情報を目的外に使用したり、同意なく第三者に提供することを制限する法律であって、必要な情報を確認することを規制するものではありません。ただ、相手の会社は、「個人情報ですから本人から聞いてください」というような受け答えをする例が多いようですが、聞いたら悪いということではありませんで、逆に「コメントしたくありません」といった、こちらにとっての必要な「情報」が聞けるかもしれません。

 また、使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、国籍、信条、社会的身分、労働組合運動に関する通信をしてはならない(労基法22条4項)がありますが、これは4つの内容が限定されているうえ、「あらかじめ謀り」とあるように、照会に回答することまでを禁止するものではありません。

 採用に当たっては、慎重に慎重を重ねても悪くはありません。
 
 <参考>社長は労働法をこう使え!ダイヤモンド社、向井蘭著
     問題社員の法律実務 日本経済連出版 石井妙子著
     個人情報保護 日本経済新聞社 岡村久道・鈴木正朝著
     

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