元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

契約社員の雇止めは、3回以下なら可能か?!

2012-05-12 05:06:10 | 社会保険労務士
雇止めの大臣基準からくる勘違い!!

 例えば、2か月間雇いますといった、期間の定めのある労働者、いわゆる契約社員でも、2か月経った場合に契約を更新して、その更新が3回以上となった場合には、正規の職員と同様に、契約期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。これは、あくまでも厚生労働大臣の定める基準であって、法律そのものではないんですが、ただこれは労働基準法14条によって、「契約の締結・満了時に紛争が起きることを防止するために、大臣が基準を定めることができる」という法の規定に基づいて定められた基準です。

 ところで、この基準からすると、3回以上更新したら、雇止めはより厳格になりますので、そこから発展して、契約更新が3回までの契約社員は、雇止めできるということを何となく感じていましたら、そうではないんですね。*

 向井蘭弁護士は、裁判所は、契約更新の回数よりも、仕事の内容や契約した目的がどうなのかということだと考えていると言います。これは、臨時の仕事でない場合や、正社員と同じ作業をさせており、そのような期間雇用のある社員が常時いる場合が問題になるのであって、契約回数が問題ではないといいます。契約した回数が1回だけでも、会社側が負けること(=雇止めができない)もあるとしています。もともと、期間雇用の労働者は、臨時の仕事をしてもらうため雇うものでしょう。

 逆の場合として、回数更新を重ねても雇止めが有効になるものとして、確実になくなる仕事をしてもらう場合とか、いずれ契約を更新しないことを告げている場合を挙げていますが、例えば、大学講師、英会話講師の場合は、会社が勝つケースが多いとしています。

 そして、経営者に肝に銘じて欲しいのは、次のようなことを向井弁護士はおっしゃっています。
「とくにフルタイムで契約社員を常時多数雇っている場合、臨時の仕事を任せたいというよりは、経営状態が悪化したときは辞めてもらいたいという軽い気持ちで契約している使用者が多いでしょう。そういうケースは確実に会社が負けます」
 そして、「(そういった)意識が強いほど、会社側に厳しくなります。常にある仕事なら、正社員として雇うべきというのが裁判官の価値判断であり、経営者のこのような考えは非常に嫌われるのです。」(向井蘭著「社長は労働法をこう使え!」ダイヤモンド社)

* 3回以内まで認められるというのは、向井弁護士は、派遣社員(派遣法の3年ルール)からくる勘違いではないかと指摘されています。 



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