4月1日で月曜日って、どこもきっと慌ただしいことでしょうね。
慈恵ICUもいろいろ変わります。
良い変化でありつづけますように。
Milstone AM, Elward A, Song X, et al.; for the Pediatric SCRUB Trial Study Group.
Daily chlorhexidine bathing to reduce bacteraemia in critically ill children: a multicentre, cluster-randomised, crossover trial.
Lancet. 2013 Jan 25. [Epub ahead of print] PMID: 23363666.
アメリカの10のPICUで、普通の清拭とクロルヘキシジンを使った清拭とを比較した、cluster-randomized crossover研究(つまりは、施設毎で二つの清拭方法の順番をランダマイズ)。Primary outocmeは血培の陽性率。Intention-to-treatでは有意差出なかったけど(3.52 vs. 4.93 / 1000days)、Per protocolでは有意差あり。クロルヘキシジンによる皮膚障害は1.2 / 1000daysに発生。
大人に続き、子供でもクロルヘキシジンの清拭は有効ですよ、という話。
Daneman N, Sarwar S, Fowler RA, et al.; on behalf of the SuDDICU Canadian Study Group.
Effect of selective decontamination on antimicrobial resistance in intensive care units: a systematic review and meta-analysis.
Lancet Infect Dis. 2013 Apr;13(4):328-341. PMID: 23352693.
Selective digestive / oropharyngeal decontamination(SDD or SOD)、つまりは非吸収性の抗菌薬を内服しているとICU患者の感染が減るよ、というのは繰り返し示されているけど、それが普及しない理由として耐性菌の出現が危惧される、というのがある。そこで、これまでの研究をメタアナリシスして、SDD/SODによる耐性菌の発生について解析。その結果、ほとんどの耐性菌は増えるどころか減った。
ただし、ほとんどの研究は、SDD/SODの研究に参加した患者さんについて報告していて、ICU全体として耐性菌がどうなったかは不明。
CLOTS Trials Collaboration, Dennis M, Sandercock P, Reid J, et al.
The Effect of Graduated Compression Stockings on Long-term Outcomes After Stroke: The CLOTS Trials 1 and 2.
Stroke. 2013 Apr;44(4):1075-9. PMID: 23482600.
脳梗塞患者に対し、大腿までの弾性ストッキングと何もなしを比較したCLOTS 1 trialと、大腿までと膝までを比較したCLOTS 2 trialを再解析し、DVTの発生頻度ではなく死亡率について検討。有意差は無いけど、大腿までのストッキングの群では少しだけ死亡率が増えた。
内科系疾患のDVT予防は難しっすねー。
で、今週のメインですが、たった1ページのレターにしてみましたよ。
O'Callaghan DJ, Wyncoll D.
What size tube doctor? Bigger may be better - at least for weaning.
Crit Care. 2013 Mar 27;17(2):422. PMID: 23535005.
レターとはいっても、他の文献についてのコメントではなくて、ちょっとしたデータでもなくて、単なる意見。
1ページなので、さらっと要約すると、
・最近、こんな経過をたどった症例が数人いたので、このレターを書く気になった。
・長期人工呼吸患者でウィーニングが困難な患者で、気切チューブのサイズを大きくしたらすぐに人工呼吸器がはずれた。
・気道抵抗は挿管チューブの内径の4乗に反比例するので、呼吸仕事量に大きく影響する。
・1960年代に行われた研究で、気切チューブの内径が10mm以上にならないと、口からの呼吸に比べて呼吸仕事量が小さくならない。
・単純計算すると、内径7mmのチューブは8mmに比べて呼吸仕事量が70%増える。
・5.5mmの気切チューブで成人患者のウィーニングをしようと思う人は少ないだろうが、気切チューブに内筒を入れると、だいたいそれくらいになる。
・気切のタイミングについての研究は多いが、そのほとんどでチューブの内径についての記載がない。
・結論として、ほとんどの成人では女性で8mm、男性では9mm以上のチューブを使うことをスタンダードとするべき。
というレター。
人工呼吸器からの離脱が困難なときに、チューブのサイズを大きくしてみたり、内筒を抜いてみたり、あまりやっていないことに改めて気がついて、反省。
そうそう、こんなのもあるよ。
Hernandez G, Pedrosa A, Ortiz R, et al.
The effects of increasing effective airway diameter on weaning from mechanical ventilation in tracheostomized patients: a randomized controlled trial.
Intensive Care Med. 2013 Mar 8. [Epub ahead of print] PMID: 23471512.
SBTの最中にカフをデフテートした方が、ウィーニングが早く、肺炎が少なく、嚥下が良くなる、というRCT。
とは言え、
気切チューブのサイズをアップするのって、そんなに簡単じゃないよね。
どちらかというと、交換するときに入らなくて、サイズを小さくすることの方が多いかも?
内筒を抜いたままにするのはチューブの閉塞につながるので、どこかのタイミングで入れないといけないし。そのときにまた呼吸不全が起こったりして?
カフをデフレートするのも、誤嚥の問題があるし。
どれも簡単ではないけどね。
本日はこれにて。
呼吸が少ないからって、1ページのレターを無理矢理メインにしたわけではありません。
断じて。
慈恵ICUもいろいろ変わります。
良い変化でありつづけますように。
Milstone AM, Elward A, Song X, et al.; for the Pediatric SCRUB Trial Study Group.
Daily chlorhexidine bathing to reduce bacteraemia in critically ill children: a multicentre, cluster-randomised, crossover trial.
Lancet. 2013 Jan 25. [Epub ahead of print] PMID: 23363666.
アメリカの10のPICUで、普通の清拭とクロルヘキシジンを使った清拭とを比較した、cluster-randomized crossover研究(つまりは、施設毎で二つの清拭方法の順番をランダマイズ)。Primary outocmeは血培の陽性率。Intention-to-treatでは有意差出なかったけど(3.52 vs. 4.93 / 1000days)、Per protocolでは有意差あり。クロルヘキシジンによる皮膚障害は1.2 / 1000daysに発生。
大人に続き、子供でもクロルヘキシジンの清拭は有効ですよ、という話。
Daneman N, Sarwar S, Fowler RA, et al.; on behalf of the SuDDICU Canadian Study Group.
Effect of selective decontamination on antimicrobial resistance in intensive care units: a systematic review and meta-analysis.
Lancet Infect Dis. 2013 Apr;13(4):328-341. PMID: 23352693.
Selective digestive / oropharyngeal decontamination(SDD or SOD)、つまりは非吸収性の抗菌薬を内服しているとICU患者の感染が減るよ、というのは繰り返し示されているけど、それが普及しない理由として耐性菌の出現が危惧される、というのがある。そこで、これまでの研究をメタアナリシスして、SDD/SODによる耐性菌の発生について解析。その結果、ほとんどの耐性菌は増えるどころか減った。
ただし、ほとんどの研究は、SDD/SODの研究に参加した患者さんについて報告していて、ICU全体として耐性菌がどうなったかは不明。
CLOTS Trials Collaboration, Dennis M, Sandercock P, Reid J, et al.
The Effect of Graduated Compression Stockings on Long-term Outcomes After Stroke: The CLOTS Trials 1 and 2.
Stroke. 2013 Apr;44(4):1075-9. PMID: 23482600.
脳梗塞患者に対し、大腿までの弾性ストッキングと何もなしを比較したCLOTS 1 trialと、大腿までと膝までを比較したCLOTS 2 trialを再解析し、DVTの発生頻度ではなく死亡率について検討。有意差は無いけど、大腿までのストッキングの群では少しだけ死亡率が増えた。
内科系疾患のDVT予防は難しっすねー。
で、今週のメインですが、たった1ページのレターにしてみましたよ。
O'Callaghan DJ, Wyncoll D.
What size tube doctor? Bigger may be better - at least for weaning.
Crit Care. 2013 Mar 27;17(2):422. PMID: 23535005.
レターとはいっても、他の文献についてのコメントではなくて、ちょっとしたデータでもなくて、単なる意見。
1ページなので、さらっと要約すると、
・最近、こんな経過をたどった症例が数人いたので、このレターを書く気になった。
・長期人工呼吸患者でウィーニングが困難な患者で、気切チューブのサイズを大きくしたらすぐに人工呼吸器がはずれた。
・気道抵抗は挿管チューブの内径の4乗に反比例するので、呼吸仕事量に大きく影響する。
・1960年代に行われた研究で、気切チューブの内径が10mm以上にならないと、口からの呼吸に比べて呼吸仕事量が小さくならない。
・単純計算すると、内径7mmのチューブは8mmに比べて呼吸仕事量が70%増える。
・5.5mmの気切チューブで成人患者のウィーニングをしようと思う人は少ないだろうが、気切チューブに内筒を入れると、だいたいそれくらいになる。
・気切のタイミングについての研究は多いが、そのほとんどでチューブの内径についての記載がない。
・結論として、ほとんどの成人では女性で8mm、男性では9mm以上のチューブを使うことをスタンダードとするべき。
というレター。
人工呼吸器からの離脱が困難なときに、チューブのサイズを大きくしてみたり、内筒を抜いてみたり、あまりやっていないことに改めて気がついて、反省。
そうそう、こんなのもあるよ。
Hernandez G, Pedrosa A, Ortiz R, et al.
The effects of increasing effective airway diameter on weaning from mechanical ventilation in tracheostomized patients: a randomized controlled trial.
Intensive Care Med. 2013 Mar 8. [Epub ahead of print] PMID: 23471512.
SBTの最中にカフをデフテートした方が、ウィーニングが早く、肺炎が少なく、嚥下が良くなる、というRCT。
とは言え、
気切チューブのサイズをアップするのって、そんなに簡単じゃないよね。
どちらかというと、交換するときに入らなくて、サイズを小さくすることの方が多いかも?
内筒を抜いたままにするのはチューブの閉塞につながるので、どこかのタイミングで入れないといけないし。そのときにまた呼吸不全が起こったりして?
カフをデフレートするのも、誤嚥の問題があるし。
どれも簡単ではないけどね。
本日はこれにて。
呼吸が少ないからって、1ページのレターを無理矢理メインにしたわけではありません。
断じて。