Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
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重症患者の診断間違い

2019年11月02日 | ICU・システム
Bergl PA, Taneja A, El-Kareh R, et al.
Frequency, Risk Factors, Causes, and Consequences of Diagnostic Errors in Critically Ill Medical Patients: A Retrospective Cohort Study.
Crit Care Med. 2019 Nov;47(11):e902-e910. PMID: 31524644.


256の緊急ICU入室症例のうち、7%に診断間違いがあり、その全てで患者さんに害があった、と。

ICUって、ずっと診断している気がする。
病棟で何だかわからないけど具合が悪くてICUに来た患者さんの診療から、朝のラボデータで肝障害があったけど何でだろう、まで。

そりゃ確かに、人工呼吸器の設定はどうするべきとか、経管栄養の組成はどうするべきとか、敗血症では早期の重症度判定と抗菌薬投与が重要だとか、いかにも集中治療っぽいけれど。こういうのって、根拠もある程度までしかなくって、目の前の患者さんにどう当てはめるかが不明確なので、ある程度の知識があれば大外れはないし、その判断が予後に影響するかどうかわからないことが少なくない。

でも診断って、答えが一つしかなくって、それを当てるか外すかが予後に直結する。
なので集中治療でもっとも重要なものは何かと言ったら、診断だと思うのですよ。
でも、診断って研究対象になりにくいし、知識として教えることもできないので、情報の量も増えにくいし、個人の能力も向上しにくい気がする。

なのでこういう研究は重要だな、というのが紹介理由。
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