Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

心外術後の血圧と出血の関係

2019年11月03日 | 循環
McIlroy D, Murphy D, Kasza J, et al.
Association of postoperative blood pressure and bleeding after cardiac surgery.
J Thorac Cardiovasc Surg. 2019 Nov;158(5):1370-1379.e6. PMID: 30853233.


術後の血圧とドレーンからの出血量の関係を調べたが、収縮期血圧10mmHgの上昇で出血は2.2ml減少していた。

「術後は出血が心配だから血圧を上げたくない。収縮期血圧をXX以下にしてくれ。」
外科医がほんとによく言う言葉。

これ、根拠と言えるようなものをほぼ読んだことがない。
なので慈恵の外科医だけのローカルルールなんじゃないかと心配になるくらいなんだけど、先日もあるICUを見学している時に、そこのICUの医師と外科医がそういう話をしているのを耳にしたし、まあきっとそんなことはないんだろう。

で、この文献。
ちょー珍しい。
こういう研究がどんどん行われれば、この問題にケリがつくだろうに。

ただ、観察研究だとバイアスが明白すぎて、ちょっと無理だろう。だって出血したら血圧が下がるんだから、血圧と出血量の関係なんて観察研究で分かるはずがないと思うのさ。

でも介入研究に進むには観察も重要だし。
うーん、困ったもんだ。
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