Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

オゼルタミビルとインフルエンザ

2014年04月14日 | 感染
集中治療とは直接の関係はないのだけれど。
先週ではやっぱりこれが一番でしょう。

Oseltamivir for influenza in adults and children: systematic review of clinical study reports and summary of regulatory comments
BMJ 2014;348:g2545 (Published 10 April 2014)


製薬会社からオゼルタミビル(タミフル)のインフルエンザについての効果を検証したRCTの生データをもらい、それをまとめたメタ解析。
オゼルタミビルは、
・症状の持続時間を大人で16.8時間、小児で29時間短くする
・入院の頻度は減らさない
・肺炎の定義が曖昧な研究では肺炎の頻度を1%減らすが、より詳細な定義を使用した5つの研究では有意差無し
・小児では定義が曖昧な肺炎も減らさない
・嘔気(3.66%)と嘔吐(4.56%)を増やす
・予防投与では、症状のあるインフルエンザを半分にする(絶対値で3.05%、家族は13.6%)が、症状の無いインフルエンザや感染の伝播を減らす根拠は無い
・精神的副作用が増える(1.06%)、投与量が増えるほど副作用も増える
・予防投与では頭痛も増える
だった。

ちなみに、ザナミビル(リレンザ)もあって、
Zanamivir for influenza in adults and children: systematic review of clinical study reports and summary of regulatory comments
BMJ 2014;348:g2547 (Published 10 April 2014)

同様の結果。

僅かな効果で副作用がいっぱい。
重症化を防げるかどうかも分からないし、予防投与で感染を減らせるかどうかも分からない(症状が出ないことと他の人に感染しないことは別なので)。

で、BMJは、この薬(たち)に限らず、新薬の承認プロセスに問題があるのでは、と言っている。

Multisystem failure: the story of anti-influenza drugs
BMJ 2014;348:g2263 (Published 10 April 2014)


専門外だし、ちゃんと読んでないし、この件についてはこれ以上言えることはありませんが。
製薬会社が、多かれ少なかれ、都合の悪いデータを隠すことが起こりうるかと言えば、そりゃーねー、とは思う。
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