Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

集中治療系雑誌のimpact factor 2021

2022年07月03日 | EBM関連
今年はインフレがすごい。

特にICMの上がり方は異常、なんと去年の2.4倍、全医学雑誌の52位(去年は176位)になった。
他の雑誌も、CCRが2.6倍、CCが2.1倍、JICが1.9倍と、すごい上がり方。

きっと計算方法が変わったに違いないと思い、調べてみたところ、なんと変わったのは今年じゃなくて去年だった。
例年、IFが増えている雑誌の方が多いけど、去年はほとんどの雑誌が増えていた。
こちらから引用)

理由はここに書いてある通りで、以前は紙の雑誌の発行日で数えていたけど、去年からオンラインの発行日で数えるようになったので、一過性に文献数が増えた、ということだそうだ。

じゃあどうして集中治療系の雑誌のIFがこんなに上がったのだろう?
Clarivate(IFを発表している会社)の公式ブログに記載があった。
簡単に言えば、COVIDの文献がたくさん発表され、たくさん引用されたのが原因だそうだ。特に general medicine, critical care, public health, infectious diseases, immunology, basic biomedical sciencesでその影響が大きかったと。
なるほど〜。

で、これを読んで初めて知ったのだけど、過去45年間ずっと総合雑誌のトップだったNEJMを抜いて、今年初めてLancetがトップになったのだそうだ。
理由は、2021年に発表された全ての文献でもっとも引用された10文献のうち3つがLancetだったから。もちろん3つ全部がCOVID関連。

最後にインフレの進行速度について。
全ての雑誌のimpact factorの平均値と中央値を計算してみた。

わあ。ずっと徐々に上がっていたけど、ここ2年は計算方法の変更とCOVIDのせいで上昇速度が加速している。

6、7年で倍になってしまう数字って、どうなんだろう?
Impact factorが何点の雑誌という表現自体が、ちょっとどうなんだろうかという気になってしまう。
それとも、(日本以外の)お金と同じで、インフレが当たり前なのかな。
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