Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

医者の統計の理解度

2014年10月03日 | EBM関連
Martyn C.
Risky business: doctors' understanding of statistics.
BMJ. 2014 Sep 17;349:g5619. PMID: 25230984.


フリーライターのエッセイ。
この文章の前にはこの文献があって、
その前には40年前にNEJMに発表されたこの文献がある。

どちらの文献も、
“If a test to detect a disease whose prevalence is 1/1000 has a false positive rate of 5%, what is the chance that a person found to have a positive result actually has the disease, assuming you know nothing about the person's symptoms or signs?”
(有病率が1000人に1人の疾患を診断する検査の偽陽性率が5%だとすると、その検査が陽性だった人(症状などについての情報は無い)が実際にその病気である確率はいくつか?)
という質問を約60人の医者(医学生含む)に聞いたところ、正解(約2%)した人は1978年は18%、2013年は23%だった。
もっとも多かった答えは95%で、約半数の人がそう答えた。

で、このエッセイはこの話から発展させて、さらに予防医学の理解度が低い、というところまで行く。

さすがに、俺でも分かるぞ、これ。でも、すべての検査や診断において事前確率と感度/特異度を意識しているかと聞かれると、自信はないかなー。
他人の間違いはすぐに気がつくのだけれども。心エコーのIVCみたいに。

それにしても、答えが95%じゃないっていうのは、統計を知らなくてもクイズというものを知っていれば分かりそうな気がするけど。だって1000人に1人という情報を使ってないもん。
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2 コメント

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解説希望 (K)
2014-10-06 11:07:42
部外者にもかかわらず、ずうずうしくもコメントさせていただきます。

(1)対象者が1,000人とすると、有病率が0.1%なので病気あり(+)が1人とすると病気ない人(-)は999人。

(2)検査が陽性として判定された人数は不明であるが、検査偽陽性とは、病気(-)の人に検査結果陽性の判定がでることであるので、(1)の1人が5%にあたる。

・・・すでにこのあたりまでで間違っていますでしょうかね。。
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Unknown (Xe)
2014-10-06 15:39:02
内野先生、いつも楽しくブログを読ませていただいています。ありがとうございます。
そしてすみません、横からのコメント失礼します。

偽陽性とは「疾患でないのに検査が誤って陽性になってしまうこと」になります。(なので、1-特異度が偽陽性率になります。これは検査特性であり検査前確率には左右されません)

この集団でいうと、1000人のうち999人が健常者で、そのうち5%が「誤って検査陽性」になってしまうことになります。
つまり、999人x0.05でだいたい50人が健常者にも関わらず検査陽性になります。

一方、感度によりますが、病気の人は1人なので、真の陽性は多くても1人です。

ということで、ざっくりと言って、この集団において検査陽性だった場合、真に病気である確率は、1/51で約2%になります。(感度が低ければもっと下がる)

感度・特異度と言われるとわかりますけど、偽陽性といわれると、少し分かりにくい、ですね。
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