昨日の続き。
「血圧が不安定なので除水ができなかった」と当直医から申し送られることが少なくない。
CRRTをしている患者さんの血圧が下がったので除水量の設定をゼロにした、という意味。
いつも思うが、不思議な言葉だ。
もちろん、超急性期で補液が必要で、CRRTを導入したけど除水の設定をゼロにしておくことはある。
そうじゃなくて、ある程度の日数が経って、でも経過がイマイチで、ノルアドがちょろっと流れていて、AKIも改善せずCRRT依存で、体がムクムク、という患者さんの場合。
そういう時にこれを言われると、なんだかなー、と思う。
例えば。
経静脈栄養などなど合計で持続点滴が100ml/hrで流れている患者さんと、何らかの理由で栄養が投与されておらずインが少ない患者さんとでは、CRRTで除水100ml/hrしているのを血圧が不安定なのを理由にゼロにした場合、意味が違うじゃんか、当然。
後者は何らかの理由でマイナスバランスにできない、つまり「血圧が不安定なので除水ができなかった」と言っていいが、前者は「除水ができない」どころか補液が必要なほど循環が不安定という状況であって、重症度が明らかに高い(もしくは、ちょっと一過性に血圧が下がっただけなのについ除水を止めてしまったかのどちらか)。
「除水ができない」という言葉が適当に使われていることがわかる、もっと良い例がある。
クエン酸CRRT。
慈恵では、手作りのカルシウムフリーの透析液を使ってクエン酸CRRTをしている。クエン酸が脱血側から100ml/hrで投与されるので、除水量の設定は100を引く、つまり150で設定したら実際は50ml/hrの除水をしていることになる。面白いことに、クエン酸CRRTをしている患者さんの血圧が不安定になっても、だれも除水量をゼロにしない。
でもこれ、おかしい。100ml/hrの液体を透析回路から投与しようが、透析カテからせいぜい数十cmしか離れていない静脈から投与しようが、補液していることには変わりがなく、もし補液が必要なほど循環が不安定な状況だと思うなら除水の設定をゼロにすればいい。でも誰もしない。それどころか間違えてゼロにしちゃってインシデントレポートを書く人までいる。
血圧がフラフラする患者さんはいる。除水設定をゼロにしたい気持ちもわかる。
でも、すぐに除水を止めるくせに、なかなか除水を再開しない。その結果、いよいよムクムクになる。
すぐに止めるなら、血圧が安定したらすぐに再開してくれ。
簡単な解決方法は、急性期を除いて、CRRTの除水量の設定は持続点滴の合計と同じ値よりも下げないというルールにしてしまえばいい。どうしても補液が必要な病態になったと思いたいなら、補液すればいい。
インバランスが有害であるということは、少なくとも生理学的にも観察研究的にも示されていること。
頼むから、ムクムクの患者さんの除水をゼロにすることにもっと罪悪感を持ってくれ。
昨日よりも長くなった。
ふー。
「血圧が不安定なので除水ができなかった」と当直医から申し送られることが少なくない。
CRRTをしている患者さんの血圧が下がったので除水量の設定をゼロにした、という意味。
いつも思うが、不思議な言葉だ。
もちろん、超急性期で補液が必要で、CRRTを導入したけど除水の設定をゼロにしておくことはある。
そうじゃなくて、ある程度の日数が経って、でも経過がイマイチで、ノルアドがちょろっと流れていて、AKIも改善せずCRRT依存で、体がムクムク、という患者さんの場合。
そういう時にこれを言われると、なんだかなー、と思う。
例えば。
経静脈栄養などなど合計で持続点滴が100ml/hrで流れている患者さんと、何らかの理由で栄養が投与されておらずインが少ない患者さんとでは、CRRTで除水100ml/hrしているのを血圧が不安定なのを理由にゼロにした場合、意味が違うじゃんか、当然。
後者は何らかの理由でマイナスバランスにできない、つまり「血圧が不安定なので除水ができなかった」と言っていいが、前者は「除水ができない」どころか補液が必要なほど循環が不安定という状況であって、重症度が明らかに高い(もしくは、ちょっと一過性に血圧が下がっただけなのについ除水を止めてしまったかのどちらか)。
「除水ができない」という言葉が適当に使われていることがわかる、もっと良い例がある。
クエン酸CRRT。
慈恵では、手作りのカルシウムフリーの透析液を使ってクエン酸CRRTをしている。クエン酸が脱血側から100ml/hrで投与されるので、除水量の設定は100を引く、つまり150で設定したら実際は50ml/hrの除水をしていることになる。面白いことに、クエン酸CRRTをしている患者さんの血圧が不安定になっても、だれも除水量をゼロにしない。
でもこれ、おかしい。100ml/hrの液体を透析回路から投与しようが、透析カテからせいぜい数十cmしか離れていない静脈から投与しようが、補液していることには変わりがなく、もし補液が必要なほど循環が不安定な状況だと思うなら除水の設定をゼロにすればいい。でも誰もしない。それどころか間違えてゼロにしちゃってインシデントレポートを書く人までいる。
血圧がフラフラする患者さんはいる。除水設定をゼロにしたい気持ちもわかる。
でも、すぐに除水を止めるくせに、なかなか除水を再開しない。その結果、いよいよムクムクになる。
すぐに止めるなら、血圧が安定したらすぐに再開してくれ。
簡単な解決方法は、急性期を除いて、CRRTの除水量の設定は持続点滴の合計と同じ値よりも下げないというルールにしてしまえばいい。どうしても補液が必要な病態になったと思いたいなら、補液すればいい。
インバランスが有害であるということは、少なくとも生理学的にも観察研究的にも示されていること。
頼むから、ムクムクの患者さんの除水をゼロにすることにもっと罪悪感を持ってくれ。
昨日よりも長くなった。
ふー。
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