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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

スクラルファートとH2Bの比較

2017年08月27日 | 消化器・血液
Alquraini M, Alshamsi F, Møller MH, et al.
Sucralfate versus histamine 2 receptor antagonists for stress ulcer prophylaxis in adult critically ill patients: A meta-analysis and trial sequential analysis of randomized trials.
J Crit Care. 2017 Aug;40:21-30 PMID: 28315586.


21もRCTがあるのは知らなかったのでちょっと驚いた。
メタ解析なので結果にあまり興味はないのだけど、ストレス潰瘍の予防が必要かどうかという議論を横に置いておくと、少なくともスクラルファートはストレス潰瘍予防の選択肢の一つであることは言える。

先日、なんかの理由でPPIもH2Bも使えなくなった患者さんに対して、若者が「ストレス潰瘍予防できないね」という話をしていて、おいおいと思ったので、もしかしたらそんな人が他にもいるかもしれないから紹介しておこっと。
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PPIは死亡のリスク

2017年07月15日 | 消化器・血液
Xie Y, Bowe B, Li T, et al.
Risk of death among users of Proton Pump Inhibitors: a longitudinal observational cohort study of United States veterans.
BMJ Open. 2017 Jul 4;7(6):e015735. PMID: 28676480.


PPIなんか嫌いだシリーズ。
これまで何度もやったけど、ついに死亡が増えるまで来た。いえーい。

ま、集中治療とは関係ない研究ですし、観察研究ですし、バイアス入りまくりでしょうし。
でもあえて紹介するのさ。

ちなみに、右上の小さな検索ウィンドウに「PPI」と入れて、「このブログ内で」を選択してから虫眼鏡を押すと、いろいろ出てくるよ。
もっと書いている気がするのだが、まあいっか。
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ストレス潰瘍予防をしない

2017年07月06日 | 消化器・血液
Alhazzani W, Guyatt G, Alshahrani M, et al.; Canadian Critical Care Trials Group.
Withholding Pantoprazole for Stress Ulcer Prophylaxis in Critically Ill Patients: A Pilot Randomized Clinical Trial and Meta-Analysis.
Crit Care Med. 2017 Jul;45(7):1121-1129. PMID: 28459708.


カナダのCTGがメインでやった、PPIのストレス潰瘍予防についてのpilot RCT。結論は、PPIを投与しなくても有害そうじゃないし、こういうRCTはやれそう、だ。

他にもいくつか同様の研究が行われているので、今後数年で世界中のプラクティス(PPIが使われることが多いらしい)が変わるかもしれない。
PPIがよいという結論になるか、H2Bがよいとなるか、それとも何もしなくてもよいとなるか。楽しみ楽しみ。

これまた直感なのだけど、PPIがよいという結論にはならない気がするので、基本的に使わないようにしています。さあ、直感は当たるかな?
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重すぎる人と軽すぎる人にとっての経静脈栄養

2017年06月18日 | 消化器・血液
Wischmeyer PE, Hasselmann M, Kummerlen C, et al.
A randomized trial of supplemental parenteral nutrition in underweight and overweight critically ill patients: the TOP-UP pilot trial.
Crit Care. 2017 Jun 9;21(1):142. PMID: 28599676.


以前の観察研究の結果をベースに(お、ちゃんとやってらっしゃる)、軽すぎる人(BMI<25)と重すぎる人(BMI>35)を対象に、追加の経静脈栄養の有効性について検討する予定のRCT(TOP-UP study)のためのpilot研究。125例を対象に行われ、この研究デザインでやれそうだな、というのが結論。

栄養については分からないことだらけなので、どんどん研究はやってほしいけど。
そりゃアメリカ人にとってはBMI<25はunderweightかもしれないが、日本人では普通ですよ?
この研究の結果がポジティブだったら、どうしたらいいのかしら?

Health Effects of Overweight and Obesity in 195 Countries over 25 Years
The GBD 2015 Obesity Collaborators
June 12, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1614362


NEJMに出たばかり。
Figure 2がちょー綺麗。
そして、アメリカ人ちょーデブ、日本人ちょーガリ。
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小児に対する早期のアミノ酸投与

2017年06月11日 | 消化器・血液
Vanhorebeek I, Verbruggen S, Casaer MP, et al.
Effect of early supplemental parenteral nutrition in the paediatric ICU: a preplanned observational study of post-randomisation treatments in the PEPaNIC trial.
Lancet Respir Med. 2017 May 15. [Epub ahead of print] PMID: 28522351.


PEPaNICのpost hoc解析。
アミノ酸を早期に静脈投与すると有害かもしれない。

そのためのRCTではないので、何かを証明しているわけではないのだけど。どうも最近、蛋白投与が重要というのが流行していて、その流行の程度と根拠の強さにバランスがイマイチ取れていない気がしていたので、こういう冷や水は歓迎したい。

小児だし、静脈投与だし、流行の先端を行っている人たちは気にしないだろうけど。
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出血予防の輸血

2017年04月27日 | 消化器・血液
先々週に出た文献。
Cabrini L, Pappacena S, Mattioli L, et al.
Administration of blood products to prevent bleeding complications associated with central venous catheter insertion in patients at risk: a systematic review.
Br J Anaesth. 2017 Apr 1;118(4):630-634 PMID: 28403417.

CV挿入前に予防的に凝固や血小板数の異常を是正するための輸血の有用性についての文献のsystematic review。13文献。まともに検討されていない、が結論。

先週に出た文献。
Warner MA, Chandran A, Jenkins G, et al.
Prophylactic Plasma Transfusion Is Not Associated With Decreased Red Blood Cell Requirements in Critically Ill Patients.
Anesth Analg. 2017 May;124(5):1636-1643. PMID: 28181937.

こっちはアブストラクトがあるから読んでね。

輸血って、ICUではとっても日常的な医療行為なのに、ほんとに分からないことばかりだね。
ということは、研究ネタとしてアリということでもある。特に観血的処置前の輸血はそれなりのNでできるのではないか?
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急性膵炎の総説

2016年11月30日 | 消化器・血液
REVIEW ARTICLE
Acute Pancreatitis
Chris E. Forsmark, M.D., Santhi Swaroop Vege, M.D., and C. Mel Wilcox, M.D.
N Engl J Med 2016; 375:1972-1981November 17, 2016


普通のレビューなんですけど。
ちょっと昔を思い出した。

十数年前、急性膵炎で補液されて、呼吸が悪いってことでICUにやってきた患者さん。フロセミドの持続をしていたら、急性膵炎なんだから補液しないとダメだろと周りから言われ、困った。クレアチニンも上がらないし呼吸不全は改善傾向になったのに。
同じようなことが数年前にもあって、消化器内科医と議論になり、こちらが根拠を示した後で、「でも当科としては補液をするべきだと考える」と言われて困った。

このレビューの、Management of Acute Pancreatitisの最初のところに、Fluid Resuscitationについての記載がある。その中に、
”Vigorous fluid therapy is most important during the first 12 to 24 hours after the onset of symptoms and is of little value after 24 hours.”
という記載がある。

もう困らないでいい。NEJM読んでないの?と言えばいい。よかったよかった。
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PPIと肝硬変

2016年11月17日 | 消化器・血液
もうシリーズ化している、PPIなんか嫌いだ、という話。

Dam G, Vilstrup H, Watson H, et al.
Proton pump inhibitors as a risk factor for hepatic encephalopathy and spontaneous bacterial peritonitis in patients with cirrhosis with ascites.
Hepatology. 2016 Oct;64(4):1265-72. PMID: 27474889.


肝硬変のsatavaptan(知らん薬だが、vaptanだからあれだな)による腹水コントロールについての三つの研究のデータベースを使用。865例中、39%でPPIが投与されていた。1年の観察期間中、189例に肝性脳症が発生、PPIのハザード比は1.36だった。同様に、86例にSBPが発生、PPIのハザード比は1.36だった。

まあ、慢性期の話ですけどね。
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経管栄養の投与量

2016年11月12日 | 消化器・血液
Al-Dorzi HM, Albarrak A, Ferwana M, et al.
Lower versus higher dose of enteral caloric intake in adult critically ill patients: a systematic review and meta-analysis.
Crit Care. 2016 Nov 4;20(1):358. PMID: 27814776.


経管栄養の投与量を比較したRCT(もしくはquasi RCT)21研究をまとめたメタ解析(N=2365 vs. 2362)。投与量が少ない群は多い群に比べ、病院死亡率(RR 0.953)、ICU死亡率(RR 0.885)、院内感染(RR 0.982)、人工呼吸期間、ICUおよび入院期間に差は無し。血流感染(11研究、RR 0.718)、RRTの必要性(5研究、RR 0.711)は投与量が少ない群で少なかった。

とはいってもメタ解析だし。本当に少ない方がいいかどうかはわからない。というか、いつのまにやら少ない方がいいかもしれないことになっている。ついこの間まで、ターゲットにいかに早く達するかが話題だったのに。

20年前、僕がICUを始めた頃、栄養投与をどうすればいいかについての情報はほとんどなかった。21世紀になってRCTがいろいろ行われるようになったけど、やっぱりどうしたらいいのかよくわからない。
極端なことをしなければ、何(経管・経静脈)をどう(投与量、微量元素、ビタミン、蛋白)投与しても、予後に与える影響はそれほど大きくない、という気もする。
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PancreaticoduodenectomyのRCT2つ

2016年10月27日 | 消化器・血液
この単語、PDとしか呼ばないからちゃんと見たことがなかったし、自分でMedlineで調べたこともないし。へー、こんなスペルなんだ。
Pancreato-だと思ってた。英語の勉強になった。

Laaninen M, Sand J, Nordback I, et al.
Perioperative Hydrocortisone Reduces Major Complications After Pancreaticoduodenectomy: A Randomized Controlled Trial.
Ann Surg. 2016 Nov;264(5):696-702. PMID: 27429037.

フィンランドの1施設RCT。150例のPD症例に対し、麻酔導入時から8時間毎にハイドロコルチゾンを合計8回投与するかプラセボを投与するかでRCT。Primary outcomeは術後合併症の頻度。その結果、ステロイド投与群で有意に合併症が減少した(18% vs. 41%, p<0.05)。

Perinel J, Mariette C, Dousset B, et al.
Early Enteral Versus Total Parenteral Nutrition in Patients Undergoing Pancreaticoduodenectomy: A Randomized Multicenter Controlled Trial (Nutri-DPC).
Ann Surg. 2016 Nov;264(5):731-737. PMID: 27429039.

フランスの9施設RCT。PD症例204例を対象に、術翌日からNJチューブからの経管栄養を開始するか、経静脈栄養を開始するかで比較。Primary outcomeは術後合併症の頻度。その結果、早期経管栄養群で合併症発生頻度が有意に高かった(75.5% vs. 64.4%, p=0.04)。経静脈群の方が栄養総投与量が多く、経口摂取も早かった。

ちょっとICUチックな研究ではないが、ステロイドとか早期経管栄養とか、ICU的なイメージと逆じゃない?
面白い。
ステロイドを術前から予防的に使用すると良いという研究はチョコチョコ見るね。経管栄養も一時期よりも評価が下がっているし。予定手術症例では有益性よりも有害性の方が大きいのかなー。
あー、面白い。
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