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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

重症患者における高蛋白質投与の効果

2023年02月10日 | 消化器・血液
Heyland DK, Patel J, Compher C, et al.; EFFORT Protein Trial team.
The effect of higher protein dosing in critically ill patients with high nutritional risk (EFFORT Protein): an international, multicentre, pragmatic, registry-based randomised trial.
Lancet. 2023 Jan 25:S0140-6736(22)02469-2. Epub ahead of print. PMID: 36708732.


栄養の全てが分かったわけではないけれど、カロリーも、タイミングも、投与方法も、そして蛋白も、同じ結果。

ICUでは、極端なことをしない、つまり中庸が大事。
補液もそうだし、早期リハもそうだし、栄養もそうだし。

「なんだ、集中治療って簡単じゃん」と思ったあなたへ。
自分が中庸をしているって、簡単に分かるの?
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重症患者における持続的経腸栄養と間欠的経腸栄養の比較

2022年11月12日 | 消化器・血液
Heffernan AJ, Talekar C, Henain M, et al.
Comparison of continuous versus intermittent enteral feeding in critically ill patients: a systematic review and meta-analysis.
Crit Care. 2022 Oct 25;26(1):325. PMID: 36284334.


14研究のメタ解析。持続投与で便秘が増える以外は二群に差はなし。

しばらーく前に自分で調べた時、ほぼ情報が得られなくて諦めた話題。思いのほか研究が行われていてビックリ。ただ、どの研究もNが小さい。100を超えているのはこれだけ

研究ネタとしては、まだまだアリじゃないだろうか。簡単にできそうだし、死亡とかじゃなくて、もっとマイルドなアウトカムを設定しても、臨床的には関心を持たれそう。
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NOMIに対する血管拡張薬の動脈内投与、その反応性の予測

2022年05月03日 | 消化器・血液
Rittgerodt N, Pape T, Busch M, et al.
Predictors of response to intra-arterial vasodilatory therapy of non-occlusive mesenteric ischemia in patients with severe shock: results from a prospective observational study.
Crit Care. 2022 Apr 4;26(1):92. PMID: 35379286.


ドイツの1つの病院の8つのICUで、腸管壊死のないNOMIと診断された42例にPGE1の動注をした。全体の死亡率は71%、24時間で乳酸が2mmol/L以上下がると死亡率は59%、反応しないと85%。

Single armだし、治療についてのメッセージはあまりないように思うけど、
8つのICUで3年間、プロトコルを設定した上で前向きに調査すると、手術適応のないNOMIは18707例中42例に発生した、という情報は面白いのでは。
例えば自治さいたまは年間1500例くらいなので、3-4ヶ月に1例は動注の適応のあるNOMIが発生する計算。

プロトコルもちゃんとしている印象。興味のある方は使ってみては。
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重症脳卒中に対する経管栄養の投与方法についての研究は、ちょっと不思議。

2022年03月09日 | 消化器・血液
Zhao J, Yuan F, Song C, et al.; OPENS Trial Investigators.
Safety and efficacy of three enteral feeding strategies in patients with severe stroke in China (OPENS): a multicentre, prospective, randomised, open-label, blinded-endpoint trial. Lancet Neurol. 2022 Feb 24 Epub ahead of print. PMID: 35219379.


不思議な研究である。
Nが300を超えたところで、なんと死亡率のせいで早期中止になった。経管栄養のターゲットが40-60%の群で死亡率が倍近く多い。
しかし、primary outcomeである神経予後はこの群の方が良い(有意差はないけど)。
そのため、神経予後をアウトカムとした研究でよくある修正Rankin scaleの図が、見たことない形になっている(1-2が多く、6=死亡も多くて、中央が少ない)。

残念ながら、
"Hypocaloric enteral nutrition might be associated with increased mortality compared with modified full enteral nutrition."
という結論には賛同できません。
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腸管虚血の発症に関連する因子についての研究の読み方。

2022年03月06日 | 消化器・血液
Piton G, Le Gouge A, Boisramé-Helms J, et al.; Clinical Research in Intensive Care and Sepsis (CRICS) group.
Factors associated with acute mesenteric ischemia among critically ill ventilated patients with shock: a post hoc analysis of the NUTRIREA2 trial.
Intensive Care Med. 2022 Feb 22. Epub ahead of print. PMID: 35190840.


この研究のpost-hoc。腸管虚血の発症に関連していたのは、経管栄養の投与、年齢、高いSAPS-II、低いヘモグロビン、そしてドブタミンの投与。

念のため言っておきますが、これを読んで、
「あれ、ノルアドってあまり腸管虚血に関係ないのかな?」
「ドブタミンって心拍出量を増やすから腸に良いのかと思ったら悪いのかな?」
と思うのは正しくないですよ、多分。

まず対象患者の90%以上にノルアドが投与されているので、その投与の有無を評価するのはとても難しい。
それとドブタミンの投与が必要なくらい心拍出量が低下している患者と考えるべきなので、ドブが悪いという意味では多分ない。

それよりも、
・2000例以上を対象として前向きに一生懸命に腸管虚血を診断しても、せいぜい24例しか見つけられない。
・だから十分なNで多変量解析してリスク因子を出す研究の実施は相当難しい。
・ましてや、どれくらいのノルアドの量だったら安全か、なんていう研究はもっと難しい。
のだな、ということが分かる研究だと思います。

これで話を終わりにすると臨床に役に立たない研究なのかと怒られそうなので、
「昇圧剤投与中に経管栄養を行なっていいか」について考えるときは、年齢や重症度や心拍出量で発生頻度は大きく変わることを意識しましょう、というのは臨床で使えそうなメッセージかしら。
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消化管出血に対するトラネキサム酸の効果はちょっと微妙かな。

2022年03月03日 | 消化器・血液
Dionne JC, Oczkowski SJW, Hunt BJ, et al.; ESICM Transfusion Taskforce and the GUIDE Group.
Tranexamic Acid in Gastrointestinal Bleeding: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Crit Care Med. 2022 Mar 1;50(3):e313-e319. PMID: 34709209.


メタ解析。高容量のRCTが5つ、低容量(2g以下)が7つ。
結果は、高容量は効果はなくて合併症が増える、低容量は再出血や手術の必要性が減る、と。

本文にはフォレストプロットがないので、supplementを確認。
一つを除いてどれもNが小さく、この結果の乖離が、高容量だと副作用が前面に出るからか(less is more)、低容量の研究はどれもNが小さくpublication biasも否定できないからか、は判断できない。

でも、
「出血を見たらとりあえずトラネキサム酸を1g ivする」
という僕がいつもやっていた対応は今もacceptableのようだ、ということは確認。

トラネキサム酸は好きな薬(安いし、それなりに効果ありそうだし、少量ならほぼ副作用もないし)で、過去ログを確認したらこんなにあった。
くも膜下出血の超急性期にトラネキサム酸
頭部外傷とトラネキサム酸:メタ解析
慈恵ICU勉強会 200107
トラネキサム酸を脊髄腔に入れると、
喀血にトラネキサム酸のネブライザー
慈恵ICU勉強会 180904
消化管出血とトラネキサム酸
慈恵ICU勉強会 171114
トラネキサム酸の雑学
慈恵ICU勉強会 170117 170124
トラネキサム酸の文献
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感染性壊死性膵炎への介入のタイミング

2021年10月15日 | 消化器・血液
NEJMだし、ご存知とは思いますが。

Boxhoorn L, van Dijk SM, van Grinsven J, et al.; Dutch Pancreatitis Study Group.
Immediate versus Postponed Intervention for Infected Necrotizing Pancreatitis.
N Engl J Med. 2021 Oct 7;385(15):1372-1381. PMID: 34614330.


思ったこと。
介入しないことでのメリットがほぼないと思われる一部の介入(敗血症性ショックに対する抗菌薬とか昇圧剤とか)を除き、早期介入は観察研究などを根拠に推奨されることが少なくないが、その多くは多施設RCTで有効性が示されない。
この一般論が改めて確認された。
理由の一つは、待っていると勝手に改善してその介入が不要になるから。

集中治療では待つことも大事。
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AMIの輸血の域値

2021年02月20日 | 消化器・血液
Ducrocq G, Gonzalez-Juanatey JR, Puymirat E, et al.; REALITY Investigators.
Effect of a Restrictive vs Liberal Blood Transfusion Strategy on Major Cardiovascular Events Among Patients With Acute Myocardial Infarction and Anemia: The REALITY Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2021 Feb 9;325(6):552-560. PMID: 33560322.


TRICCからもう22年。
それ以降、ICUでの輸血の域値は7-8g/dlになった。
でもそれには”ただし”があって、高齢者と心筋虚血は例外とされていた。

ずっと違和感があった。
その違和感が一気に解消された感じがして、嬉しい。
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ECMO中の抗凝固モニタリング②

2020年12月12日 | 消化器・血液
ちなみに①はこちら

Figueroa Villalba CA, Brogan TV, McMullan DM, et al.
Conversion From Activated Clotting Time to Anti-Xa Heparin Activity Assay for Heparin Monitoring During Extracorporeal Membrane Oxygenation.
Crit Care Med. 2020 Dec;48(12):e1179-e1184. PMID: 33009103.


アメリカのPICUで、ECMO中のヘパリンのモニタリングをACTから抗Xa活性に変更したら、膜の交換頻度が半分になり、ヘパリンの投与変更回数が5分の1になり、出血の合併症が減った。

①にも書いた通り、ヘパリンは昔っから世界中で使われている薬なのに、いまだに確立したモニタリング方法がない。
ACTでは絶対に無理、APTTも相当無理、TEGとXa活性はそれらよりマシそう、でも十分な根拠はないし、どちらも測定が大変。
どないせーっちゅうじゃい。
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大きなRCTによる臨床の変化

2020年08月19日 | 消化器・血液
Trentino KM, Sanfilippo FM, Leahy MF, et al.
Change in Clinical Practice Associated With a Large Randomized Controlled Trial Comparing RBC Transfusion Strategies.
Chest. 2020;158(2):719-721.


この研究は、結果が結果だったのでちょっとザワついた。
慈恵の勉強会でもやった。検討の結果、あまり気にしないことにした。
でも気にする人はいるはずで、実際どうだったのかをオーストラリア人が調べた。
そしたら、明らかに変化していた。
図がキレイ。

こういう研究、日本でもやったらどうだろうか。
P〇〇とか、シ〇〇〇〇ッ〇とか、ト〇〇〇〇〇ュ〇〇とか、あるじゃん?
DPCに触れる人、やって、やってー。
お願い!
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