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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

経管栄養の持続投与と間欠投与

2020年07月28日 | 消化器・血液
McNelly AS, Bear DE, Connolly BA, et al.
Effect of Intermittent or Continuous Feed on Muscle Wasting in Critical Illness: A Phase 2 Clinical Trial.
Chest. 2020;158(1):183-194.


ICUにおける経管栄養の投与方法についてのRCTはほとんどない気がするので、それだけで興味深い。
間欠投与による周期性によってアミノ酸の利用が高まるのではないかという仮説も面白い。

持続インスリンが使いやすいのと、インアウトバランスが分かりやすい。
それくらいだろうか、持続のメリットで言い切れそうなのは。
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ECMO中の抗凝固モニタリング

2020年02月17日 | 消化器・血液
Chlebowski MM, Baltagi S, Carlson M, et al.
Clinical controversies in anticoagulation monitoring and antithrombin supplementation for ECMO.
Crit Care. 2020;24(1):19. Published 2020 Jan 20.


ヘパリンって今も昔もすっごくよく使われるけど、ちゃんと使おうとするとすっごく難しい。20年くらい前に、ちゃんと勉強しようと思って調べた時にそう思った。
先日、この文献がふと目に止まり、久しぶりに勉強しようかしら、20年前と比べてどれくらい進歩したかしら、と思って読んだ。

とりあえず、モニタリングの精度はTEG>APTT>ACTということでよさそうだ、ということは確認できた。
小規模ながら、以前は行われていなかった比較研究や介入研究もあるようだ。
でも、その程度。

TEGはもちろん完璧ではないけど、現状ではもっともモニタリングの方法としてよさそうだ。でも特殊な装置が必要なので、みんな使ってますというわけにはいかない。
そうするとAPTTでやろう、ということになるけど、ACTを使う人は今も多いみたいだし、APTTにも大きな問題がある(商品多すぎ、商品間の違い大きすぎ)。

すっごく古い薬なのに。
不思議。
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肝不全の高アンモニア血症とCRRT

2020年02月05日 | 消化器・血液
Warrillow S, Fisher C, Bellomo R.
Correction and Control of Hyperammonemia in Acute Liver Failure: The Impact of Continuous Renal Replacement Timing, Intensity, and Duration.
Crit Care Med. 2020 Feb;48(2):218-224. PMID: 31939790.


54例の肝不全患者をCRRTしたらアンモニアが下がったよ、というsingle-arm study。
こんな研究でCCMに載ってしまうなんて。
Dr. Bellomoのネームバリューもあるのだろうけど、情報が欠如していることも大きな理由なんだろうな。
・CRRTでアンモニアは下がるか
・下がるとしたらドーズはどれくらい必要か
・下げることが予後改善につながるのか
分からないことばかり。

肝不全って、僕がICUを始めた四半世紀前も、よく分からないからいろいろな人がいろいろなことを言う病気だったけど、今も情報量はそんなに変わらない。1施設あたりの症例数が少ないから仕方ないけど、いい加減、何とかならないだろうか。
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消化管出血の危険因子

2019年10月27日 | 消化器・血液
Granholm A, Zeng L, Dionne JC, et al.; GUIDE Group.
Predictors of gastrointestinal bleeding in adult ICU patients: a systematic review and meta-analysis.
Intensive Care Med. 2019 Oct;45(10):1347-1359. PMID: 31489445.


8つの研究のメタ解析。AKI、男性、凝固異常、ショック、慢性肝疾患、人工呼吸が消化管出血の危険因子だった。

消化管出血、ストレス潰瘍と言えば、カナダのCTGをすぐ思い出す。
まず観察研究してリスク因子を検討、それとともにsystematic reviewをして過去の情報を検討、それらを元にRCTを行い、H2Bとサクラルファートを比較した。

最近はPPIなんて薬も出てきて、それをプラセボと比較した研究も行われ、消化管出血は減らすけど予後には影響しないなんて結果が出て、じゃあ患者のリスクに合わせて賢く予防をしようということでリスク因子が検討された。

結果的に、そのリスク因子はCCTGが示したものとほぼ同じ。
30年近くかけて、ぐるっと回っている。

なんか面白い。
そしてちょっとガクッと来た。
EBMというのはこういうものか。
そうかも。
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外科コンサルトした患者のアウトカム

2019年10月15日 | 消化器・血液
Briggs A, Handzel RM, Kutcher ME, et al.
Predisposed to failure? The challenge of rescue in the medical intensive care unit.
J Trauma Acute Care Surg. 2019 Oct;87(4):774-781. PMID: 31233441.


アメリカのある内科系ICUで外科コンサルトが必要になった911例について後ろ向きに検討。186例で実際に手術が施行され、死亡率は37%。64例でダメージコントロール的手技、死亡率46%。26例は外科介入が適応となる病態だったが、何らかの理由で施行されず、死亡率100%。

数年前、ある患者さんが突然ショックとなり、明らかな外科手術の適応のある病態が見つかり、夜間に外科コンサルトしたところ、外科医と麻酔医から術中死の可能性があるという理由で拒否された。その患者さんは、もちろん翌日死亡した。

今度同じことがあったら、この数字を見せてあげようと思う。
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消化管という臓器

2019年07月13日 | 消化器・血液
Padar M, Starkopf J, Uusvel G, et al.
Gastrointestinal failure affects outcome of intensive care.
J Crit Care. 2019 Aug;52:103-108. PMID: 31035184.


消化管の臓器不全を、
・maximum gastric residual volume ≥ 500 mL
・absent bowel sounds
・vomiting or regurgitation
・diarrhea
・suspected or radiologically confirmed bowel distension
・gastrointestinal bleeding
と定義して、その数が多いほど予後は悪く、SOFAの各臓器スコアと同程度の予後予測能があった、と。

非常に正しい。
でも、電子カルテからパパッと出せないので、臨床応用は進まないだろうね。
もしくは世界的に記録方法を統一するとかしないと。

そうそう、
JCCの同じ号に、便秘と下痢についてのメタ解析も載っていたので、こちらも紹介。

Hay T, Bellomo R, Rechnitzer T, et al.
Constipation, diarrhea, and prophylactic laxative bowel regimens in the critically ill: A systematic review and meta-analysis.
J Crit Care. 2019 Aug;52:242-250. PMID: 30665795.


消化管機能が予後に関連するのなら、そこに介入したら予後は改善するのか?
はてさて。
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重症度が高い患者にPPIで予防

2019年06月05日 | 消化器・血液
Marker S, Perner A, Wetterslev J, et al.; SUP-ICU investigators.
Pantoprazole prophylaxis in ICU patients with high severity of disease: a post hoc analysis of the placebo-controlled SUP-ICU trial.
Intensive Care Med. 2019 May;45(5):609-618. PMID: 30863936.


SUP-ICUのpost-hoc解析。
サブグループ解析とはいえ、重症度が高い群で介入が有害だ、という結果になるとさすがに調べようと思うのは人情。もしかしたら重症度スコアの収集に問題があったかもしれないけど、残念ながら結論には至らず。

結構重要な問題ではある。
普通、逆に考えるもんね。
さて、追試は行われるのかな?
重症患者はPPIが有害かもしれないことを仮説とする多施設RCT??
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敗血症における血小板減少

2019年04月16日 | 消化器・血液
文献は読めていないけれど、とりあえず貯めておいたものをまとめて書いておく。

Menard CE, Kumar A, Houston DS, et al.
Evolution and Impact of Thrombocytopenia in Septic Shock: A Retrospective Cohort Study.
Crit Care Med. 2019 Apr;47(4):558-565. PMID: 30855327.


カナダの2つのICU、約1000例の敗血症患者の観察研究、なのだけど。
結果はいいとして、面白いのは、本文の中にDICについての記載が、
"We were unable to determine if a diagnosis of disseminated intravascular coagulation existed to contribute to both the observed thrombocytopenia and subsequent outcomes. "
しかないこと。
日本の一部だと、敗血症で血小板が下がったらニアリーイコールDICだと騒がれるのに。

CCMにもDICについての文献は掲載されるから、DIC大好きチームとDIC気にしないチームの存在って、日本だけではないらしいということが分かる。

ちなみにDICによるアウトカムの影響はこの程度です。
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VTE予防に低分子ヘパリン

2019年03月11日 | 消化器・血液
Stelfox HT, Brundin-Mather R, Soo A, et al.
A multicentre controlled pre-post trial of an implementation science intervention to improve venous thromboembolism prophylaxis in critically ill patients.
Intensive Care Med. 2019 Feb;45(2):211-222. PMID: 30707246.


多施設RCTで未分画ヘパリンよりも低分子ヘパリンの方がVTE予防効果が高い結果になったので、みんなで頑張って低分子ヘパリンを導入する努力をしたところ、使用頻度は増えたけど、患者予後には影響がなかった。
Editorialは、RCTと観察研究についてまじめに議論している。

Editorialにも書いてある通り、未分画ヘパリンは安いし、腎機能に影響されないし、APTTでモニタリングできるし、リバースもできるし、量の調整も容易だし、低分子よりもいろいろメリットがある。慈恵ICUでも未分画を使っているけど、VTEを意識することはほぼないので、ちょっとホッとする結果。
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慢性肝不全の急性増悪と乳酸

2019年01月29日 | 消化器・血液
Drolz A, Horvatits T, Rutter K, et al.
Lactate Improves Prediction of Short-Term Mortality in Critically Ill Patients With Cirrhosis: A Multinational Study.
Hepatology. 2019 Jan;69(1):258-269. PMID: 30070381.


慢性肝不全の急性増悪患者のICU入室時の乳酸値は予後を予測する(AUROC=0.71)。

ほお。
いや、乳酸ってちょっと好きなんですよ。
なんでかな。
数字一つで予後予測がある程度できるところと、嫌気性代謝とか末梢循環不全の指標だなんていう”迷信”があるところかな。
なので乳酸とタイトルに書いてあったのでついダウンロードしてしまった。

Hepatologyって肝臓の世界では超メジャー雑誌のはずで(impact factrorはなんと14)、そんな雑誌に載っていたのが、言って見れば常識じゃねーの?と思えてしまう研究だった。急性肝不全の移植の適応に乳酸って考慮されるはずだし。
Nがボチボチ大きいからかなー?
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